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三章27話 嘘ですよね

どうもビタミンです。

さぁ、戦いも終わりこの章も終わりに近づいて参りました。

あとは事後処理で終了です。

次の章にも繋がるので是非読んで欲しいと思います。

それでは今回も楽しんで頂けると嬉しいです。

「フツバくん、生きてますか?」


 バンの服が破れ、所々に火傷を負っている。

 今のフツバにはウザいほどに綺麗な緑色の髪だ。

 

「どちらかと言えば死んでる」


 フツバが細い声で応える。

 バンが一度溜息を吐き、体に力の入らないフツバに肩を貸して立たせる。

 バンも連戦で中々にボロボロだがフツバほどではない。

 

「それにしても君の技強過ぎませんか?」


 気を失いかけていたフツバが声を聞き正気に戻る。


「最後の奴の事か。ちなみにあれはまだ五割も完成してないぞ」


「えっ!あれでですか。流石、ガーリンさん。考える技の格違うな」


「あぁ、あの人は、いやあの人達は本当にレベルが違う。俺達が脳内でしか描けないことを可能にしちまうんだよ」


「しかし、君がここに来ているということはガーリンさんは……」


 バンがフツバがここにいる意味を悟り顔を少し下げて気を落とす。

 フツバはバンに引っ張られずそのままの態度でいる。


「あの人は死んだよ。あの人は本当に凄い人だった」


 フツバが遠い空を見上げて思い出に想いを馳せる。

 

「それにしても来た時も思ったんですけどこれ一人でやったんですか?」


 辺りの雑魚魔獣の死骸の群れを見て気持ち悪くなりながら聞く。

 辺りには内臓が飛び散りなんとも見るに堪えない世界が広がっている。

 

「お前だってやろうと思えばできるだろ。なんか俺だけが化け物みたいな扱いやめろ」


「僕はもっと綺麗に殺しますよ」


「でもよ、来るまでえらく早かったな。一日前に出した手紙でもう着いてるってどうなってんの?」


「僕の事は後にして前の景色を少しは見たらどうです」


「うん?」

  

 フツバが担いでくれているバンから視線を逸らし前を向く。

 辺りから死骸は消え去り、前には朝日に照らされる街の姿が見えてきていた。

 街は少し壊れてしまっているが一軒丸々壊れているなんて事はないので良かった。

 入り口にはアトラとライラが地べたに座って寝ているのがフツバには分かる。

 パナセアだけがしっかりと起きていて二人の帰還に気づき、二人を起こす。

 二人はパナセアに起こされるとすぐにこちらを向き表情を明るくする。


「どうやらお迎えのようですよ」


「らしいな。傷に響くぞ、絶対」


 アトラが全力疾走でフツバの元へ向かってくる。

 ライラも走って向かってくるがアトラのスピードには敵わない。


「フツバさん!大丈夫でしたか⁉︎」


 アトラが滑り込んでフツバの顔を涙ぐんだ目で見つめてくる。


「何とかな。それよりこっちの被害がこんなもんで良かった」


 フツバが気を朦朧としながら口を開く。


「はい、そちらの方が一掃してくれましたので助かりました」


「そうか、ありがとな……バ……ン」


 フツバ体から本当に全ての力が抜けて倒れ込んで気絶する。


「フ、フツバーーー」


 ライラが気絶した後遅れてやってくる。

 遠くからフツバが倒れたのが見えていたのかすぐにフツバの心臓の心拍を確認する。

 

「良かった、生きてる」


 ライラもホッと安心の一息をつく。


「早く運びましょう」


「うん!」


 二人が協力してフツバの足を地面に擦らしながら運んでいく。

 バンがそれを見て自分が運ぶかの提案をしようとすると顔の目の前に手のひらが現れ止められる。


「あの二人にやらせてやれ。超心配してたんだからな」


 パナセアが安定して酒を飲みながら髪をかき上げる。


「それにしては寝てましたが」


 バンが苦笑い。


「それも可愛いところだろ」


 バンがその発言によにも奇妙なものを見たかのように目を見開く。


「何だ?」


「いえ、パナセアさんがそんなこと言うなんて珍しいなって思っただけですよ。普通ならアイツらは馬鹿だからなとか言いそうなのに」


「そう言えば良かったと今になって思ってるよ。お前も疲れただろお疲れさん。急に呼んだのにすまなかったな。私が怪我を見てやる」


 パナセアが怪我を見てくれるのなんて珍しい事なので驚いてその場から動けない。


「肩とか貸してくれないんですか?」


「歩けてただろ、さっき」


「無茶してたんですよ」


「じゃあ無茶しろ」


「本当に治療する人がいう事ですか?」


 バンが相変わらずの尖りに圧倒されながらもパナセアの後を歩き出す。

 バンが聞きたいことを思い出し、更に無茶をしてパナセアの横につく。


「肩は貸さないぞ」


 パナセアがノールックでそう答える。


「それはもういいですよ。それより、パナセアさん弟子はどうするんです?フツバくんが来たってことは弟子作らないといけないですか。頑なに作らなかったのが今となって仇となりましたね」


 バンが頑固物のパナセアを弄ろうとニヤけながら話しかける。

 パナセアが足を止めてバンを睨むように見つめる。


「いるぞ」


「はい?」


 何を言ったのか分からず聞き返す。


「いるぞ」


「ん?」


 あり得ない返答が聞こえて自分の耳が腐ったのだと思いもう一度聞き返す。

 酔ったパナセアが眉間に皺寄せる。


「いるってんだ!」


「ハ?どこにいるっていうです?そんなここ数百年作らなかっ人がそんなポッと作るわけないじゃないですか。珍しく、冗談言わないでくださいよ」


「冗談じゃないぞ、じゃあ先帰るから」


 パナセアが呆れて歩き出す。

 バンが中々冗談と認めないパナセアに嫌な予感を覚える。

 顔色を一段と悪くしてまた隣に追いついて聞く。


「え?本当にいるんですか?どこ?どこですか?」


「あ?そこの引きずってる二人の右側」


 バンが遠く先でまだフツバを引きずっている右の方を見る。


「あれが弟子ですか⁉︎確かに言われてみれば師匠に似て雑だ。じゃなくて、いや、いや、いや、無い無い。あんな平凡そうな女の子を弟子にって木でも狂ったんですか?薬の調合割合間違えました?」


 バンが数百年越しの弟子という事もあり、平凡そうなライラを認めない。


「ライラは平凡じゃないぞ。ライラ結構凄いぞ」


 顎を小刻みに震わしながら認めざるを得ないこの状況に恐怖する。

 

「ヤバいです。こっちの方に血の気が引いてきたました。パナセアさんが弟子を作るなんて。アイツらが聞いたら世界がひっくり返るかもしれないですよ」


「それは楽しみだ。むしろ見てみたいな」


 否定しないパナセアにもう認めるしかないと思うバンと否定し続けるバンが内心喧嘩している。

 こっちの方が疲れた気がしてしまう。

 

 この時バンは一旦考えることをやめた。



読んで頂きありがとうございました。

今回は落ち着いた回でした。

そろそろ皆さんにもバンの背景が見えてきたかなって感じですね。

ちなみに話の中でフツバも言っていましたがバンもフツバみたいな事は普通にできます。

それではまた次話でお会いしましょう。

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