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三章25話 二人の共闘

どうもビタミンです。

今回の内容は何も触れないようにしておきます。

それでは早速話に入っていきましょう

楽しんで頂けると嬉しいです。

 剣と白く硬質な拳が火花を散らしぶつかる。

 目にも止まらぬ速さで次から次に攻撃がぶつかる。

 お互いに一歩も譲らず、一つのミスで命を落としかねない鬩ぎ合い。

 しかしフツバの姿をした何かとサンライには明確な差があった。

 フツバの刃が躱され、フツバの腹に会心の一撃が撃ち込まれる。

 フツバがその攻撃の直前に反射的に少し飛び上がる。

 そこに撃ち込まれた攻撃でフツバは高速で回転しながら飛んでいく。

 フツバは大木の枝に足をつけて着地すると木が破裂するかのように粉々になる。

 

「なるほど、受け流すか」

 

 普通なら打ち付けられて大ダメージの筈の攻撃をフツバは回転し、それを着地と同時に足に受け流す事で威力を半減させる。

 そのままフツバは止まることを知らずサンライの目を目掛けて一突き。

 フツバの剣先がサンライの目に届く寸前でサンライの人差し指と中指に挟み込まれる。

 相変わらず異次元な腕力でフツバの剣を挟む。

 名も無きフツバも自分との確かな力量の差に驚愕の表情を隠すことをできない。

 目を大きく開き、サンライを睨んでいる。

 全力で引き抜こうとするフツバ、余裕の笑みでその様子を見るサンライ。

 すると何を思ったのかサンライが急に指を離す。

 フツバが力を持て余してしまい思わず後ろに下がってしまう。


「貴様は何なんだ?」


 サンライが片目を瞑りフツバを指さして聞く。


「俺は、ただ、戦うだけ、何でもない、だから」


 フツバが物の一歩でサンライの後ろに回り込む。


「竹のニ『流転突』」


 フツバは心臓を突き刺さんとばかりに瞬速な突きを繰り出す。

 それを口を横に大きく開いて笑うサンライ。

 右手に高密度に溜められた謎の真っ黒な玉を生み出し、それを握り潰すとサンライの右手に真っ黒なオーラのような物が纏われる。

 

「フン!」

 

 フツバの鋒とサンライの拳がぶつかり合う。


「なっっ、、、‼︎」


 フツバがぶつかった直後にこの戦が相手に捩じ伏せられてしまうことを理解する。

 フツバは反動で吹き飛ばされなす術なく森を四メートルほど木を無視して等速直線運動をしながら吹き飛ばされる。

 フツバの体はいつ止まるのか分からない程に減速せず飛んでいく。

 

「勝負あったか」


 ニヤリと笑う。

 その時にサンライが思い出す。


「確か、オトメ・フツバは殺してはいけなかったか。まぁ、仕方あるまい。もう見つけることも出来んか」


 今更になり、サンライが命令を思い出し自分が背いたことに気づく。

 今はそんな事より穢軼魔族(エスマゾク)になれたことの方が気分が良い。

 この夜も後一時間もすれば明ける。

 朝までに引き上げるのも命令の内だったことも思い出す。

 一度鼻から息を抜き、体に付いた土埃を手で叩き払う。

 森の中へ帰るべく、悠然と歩いていく。

 勝ち誇った背中、その背中に微かに風が吹く。


「何処に行くつもりですか?」


 後ろに突風が吹くと同時に現れたその男。

 サンライは後ろを振り向き驚愕する。


「貴様……」


 そこに立つのは深緑髪を一本にまとめ、二刀を腰に携える男。

 その男の手に抱えられた男。

 ついさっき吹き飛ばした筈の男オトメ・フツバが頭から血を大量に流しながら気絶した状態で抱えられていた。


「アイツらは負けたのか」


 バンがここに居る事はクラヌス達の負けを意味する。


「そうですね。ていうか、早く起きて!」

 

 バンがフツバを抱えている手をパッと離す。

 フツバが体全体で地面とぶつかる。

 その雑な扱いに少し引くサンライ。

 だがその衝撃でフツバが目覚める。


「痛ってぇ、起こし方が雑なんだよ」


 フツバがゆっくり血が垂れてきている目を開け、真上から見下ろすバンを睨みつける。


「こうでもしないと起きないでしょ。というかまだ動けます?」


「全身が痛いんだよな」


 フツバが出血箇所を手で抑えながら不満げに呟く。


「動けないなら良いですよ、ガーリンの弟子さん。その程度って事で良いですよ、ガーリンの弟子さん。木に突っ込んだ程度で動けなくなって良いですよガーリンの弟子さん」


 口早にフツバを煽りまくるバン。

 フツバがその言葉を聞いて形相を変え、跳び起きる。

 フツバが身長差的に背伸びをしても下からしか睨めないが必死に頭から血を吹き出しながら殺意を撒き散らし


「いや、動けますけどー。あなたがそんなに助けて欲しそうだから満を辞してやってあげますよ。ていうかあの程度の三人に時間掛けすぎなんだよ!俺なら一時間前に合流してたね。オイ、ザーコ」


 フツバがバチバチにメンチをきりながらバンに言い返す。

 バンも静かに苛立ち、言い返そうとする。

 しかしそこに言葉を挟まれる。


「そっちの状態のオトメ・フツバなら問題ない。二人まとめてかかってこい。十分以内に殺してやる。人間風情が」


 完全に気の抜けたまるでお遊びかのような態度のサンライ。

 その態度に二人が同時に怒りを覚える。


「「アァ?」」


 フツバが剣を抜剣、バンが二刀を抜刀し構える。


「それじゃあ、今は仲良くあの化け物に五英傑の弟子同士で共闘といきましょうか」


「遅れんなよ、バン」


 二人の強者が一匹の化け物に飛びかかった。


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