1章1話 挨拶……?
「ここが騎士団の基地か……国が管理してる割にはボロいな」
黒髪の青年が呟く。
青年、音女二葉は騎士団に異例の三星を倒して入団した期待の新星である。
胸の騎士の証でもある、徽章が光る。
この基地には、ここの隊長の希望により入れられた形になる。
「でも、こんな優秀君なのにこんな、汚い基地だなんてがっかりだな全く。どういう手段で勝ち取ったんだ?あのおっさん。一旦、食堂に向かえだとか言われたが、こっちだよな」
食堂は基本的に騎士達が集まってる場所らしい。
こんな愚痴ばかりを言ってる間に食堂に着いた。
扉を突き抜けて、騒がしさが伝わってくる。
「ふぅ」
一度息を吐き一気に入る。
バンッ!
食堂が一気に静まり返る。
(まぁ、そうなるよな)
視線の全てが自分に集まっている。
むず痒いがここで動揺してはただの新人だ。「期待の新星」なのだから二葉は平然なフリをして歩き出す。
動きに沿って全員の視線も動く。
「コルトスープ」
「はっ、はい」
食堂の人は慌てふためいている。
準備中も殆どの騎士が喋らない。
二人の兵隊が自分の噂をコソコソ話しているだけだ。
「はい、コルトスープ」
「ありがとう」
近くの誰もいない席に着く。
食堂に入って数分経つのに誰も何も言ってこない。
騎士にはプライドの高いものが多く、喧嘩が度々話題になっている。
(なんなんだよ、めんどくさいなぁ)
「なんですか?僕に言いたいことがあるなら言ってくださいよ」
二葉が痺れを切らした瞬間、空気が一気に笑いに包まれる。
「「ワーハッハ!」」
「お前はすごいな。流石、期待の新星だ」
「はい?」
フツバがキョトンとしている。
そこに一人の若い騎士が
「普通の奴は挨拶するもんなんだよ。普通なら、先輩達も怒るんだが、さすが期待の新星だ。誰もビビって怒られなかった。」
「あっ、そっか俺挨拶してないわ」
緊張のあまり、忘れていたがみんなは度胸として受け取ってくれたらしいから良かったが。
「なぁなぁ、お前本当に三星倒したんだよなぁ?」
さっきまで、コソコソ喋っていたやつが近寄って喋りかけてくる。
「まぁな」
あの戦いはギリギリだった。
流石、三星と言えた。
食堂は入る前のような騒がしさに戻った。
何だかわからんが認められた感じらしい良かった…のか?