三章21話 竹の四
どうもビタミンです。
更新遅くてすいやせん。
善処して行きます!
「お前その見た目で遠距離攻撃ってマジかよ⁉︎」
フツバが地面から吹き上がってくる相手の攻撃をダンスのような軽やかなステップで避けていく。
ガンスは腕を貫かれたことに激怒し、片方は剣が刺さったままで地壊火砲を連発して来る。
足元に警戒していないと気づけないほどに隠密な攻撃なので流石のフツバも手間がかかる。
しかし足元ばかりを警戒していると横から槍が突っ込んでくる。
文字通り横槍を入れられる。
(クッソ!まだ一人しか能力使ってないのにこんなに厄介かよ。あの遠距離攻撃がえぐすぎるな。コイツの能力が発動してない内にあの漢をやらなきゃな)
フツバがガンスを先に倒す算段を立てる。
しかし近づける術はない。
槍と遠距離攻撃で避けるのに必死で反撃のタイミングが全くない。
しかもフツバには剣もない。
ガンスの腕に食われたままの剣を引き抜くかそれで片腕を落とすかをしないとこの盤面は積みだ。
「ヤバいッ!」
考え事をしながら攻撃を交わしていたフツバは癖で槍を飛んで体を宙に浮かせてしまった。
これではガンスの格好の的だ。
フツバが着地するしかない地面が赤く光り出す。
(実態のない攻撃を防ぐ方法は一つしかねぇか)
「分解せよ、結合せよ!」
フツバが足にヴェーラを宿す。
「間に合えーーー‼︎」
フツバの片足が着くと同時に地下から紫のモヤのような拳が突き上がるがフツバの足に触れた瞬間粉々に分解される。
「なっ!」
「そんなでガンス‼︎」
当たるのを確信していたガンスが口を大きく開く。
「マジで危なかったぜ。もう一撃顎とかにくらってたら俺また気絶する所だった」
フツバが間一髪の状況に冷や汗をかく。
フツバが片目を大きく開き相手を睨みニヤッと笑う。
「今度はこっちの反撃だ」
フツバが髪をかき上げ気合を入れる。
ガンスとサンライが瞬きをする僅かな時間でフツバが攻撃を繰り出そうとガンス目掛けて走りだす。
ガンスもすぐに手に力を加え、フツバの行先に攻撃を仕掛ける。
「お前の攻撃は出て来る場所が紫に光るってことは予習済みだ!」
フツバがダンスのステップのように華麗にガンスの攻撃を躱して行く。
しかしフツバにはガンス以外に考慮しなければならない事がある。
それは、
「横槍来るよねぇ‼︎」
フツバが背後からの攻撃に後ろに目が付いてるのかと錯覚する程のベストタイミングで空中へと飛び上がり、綺麗に躱す。
フツバはその体勢から反撃へと繰り出す。
空中に滞在する刹那の時間でフツバはサンライの胸部へ剣先を向け、槍使いに皮肉を言うかの如く突く。
その反撃は見た目にそぐわずサンライは吐血をし、片膝をつく。
「身体の作りは人間如きと同じらしいな」
フツバが鼻で笑う。
今の攻撃の狙いは一つ、相手の肺を潰す事。
防弾チョッキを着たとて被弾すれば肋骨が折れていたりする物、いくら鎧を着ていたとはいえ突きの様な一点にダメージを与えれる攻撃なら相手の片方の肺を潰すことも可能ということだ。
フツバはサンライに一言言い捨てるとすぐにまだ力を放出し続けるガンスへと向かう。
正直フツバは今のタイミングでサンライの能力も使われると思っていたが能力は音沙汰ない。
フツバはガンスに最後の一撃を撃てる間合いまで入る。
そしてフツバの剣は何故か収剣されており、フツバはそれに手を当てている。
その体勢は無力神殺に似た構えではあるが力の入り方が体全体と全く違う。
「竹の四『居合・斬空』」
フツバの体はガンスの後ろへ行くのではなく横へ移動している。
しかしガンスの体には体を真横に割く、一斬が姿を時遅くして現す。
元々負傷していた腕は両腕共に神経が切れて完全に力が入れれていない。
身体の重心が保てなくなり崩れ落ちていく。
「お前、どうやって俺を斬った?」
地べたからフツバを睨みつけながらガンスが聞く。
口に血が溜まりうまく喋れていない。
「俺は斬ってない。俺が斬ったのは名前の通り空気だけだ」
フツバが剣を掲げながら言う。
確かにフツバの剣には血が一滴も付いていない。
「まさか貴様風を斬り、その斬撃を飛ばしたと言うのか⁉︎」
「ご名答!サンライ」
もう各所に血が回らなくなってきたガンスは言葉を口にすることができない。
どんどん体勢が低くなっていく。
ガンスはよく耐えている。
身体はもう上下に裂けてもおかしくないほどに斬られているのにそれを力技で抑えている。
「お前が能力を惜しむせいでこうなっちまったぞ」
フツバがまだ片方の肺に痛みが残るサンライにこの状況の責任を負わせようとしている。
しかし
「お前は勘違いしている。これでやっと発動条件が満たされたのだ。やはり人間は思慮が浅いな」
サンライが昇ってきた血を吐き出し口の端を赤くしながらそう不敵に笑う。
その時ガンスが完全に力尽き、地面に這いつくばっていた。