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三章15話 真打登場

どうもビタミンです。

今回は重要なキャラが登場します。

敵キャラなどさまざまな新キャラが今回は登場するのでお楽しみに。

それでは今回も楽しんで頂けると嬉しいです。

 牛の剛腕から放たれる地面を粉砕する一撃。

 フツバが当たれば致命傷になりかねない。

 

「斧使う奴なら前に会ったことあるけど、ソイツはソイツなりに威力を犠牲に命中率上げようとしてたぞ。叡魔族ならもうちょっと工夫したらどうだ」


 フツバが余裕の笑みで攻撃を交わしながら牛にアドバイスする。

 実際、全体のスペックならこの牛の方が前に会ったあの渦巻き髭おじさんよりも高いだろう。

 しかし、叡魔族とは言っても所詮は魔族。

 相手の実力で臨機応変に変えることは苦手らしい。


「戦闘中に五月蝿いぞ!」


 空中に飛んで避けたフツバに斧撃を放つ。

 フツバはそれに対応して剣で相殺以上の力を加える。

 牛の斧は弾かれ刃が砕ける。

 

「くらえーー‼︎」


 牛は弾かれてもめげずに攻撃へと転じようとする。

 

「やっと口を開けてくれた」


 瞬間、牛の下が血が噴き出すと共に斬られていた。

 すぐにいつの間にか目の前に来ていたフツバを片方の手で殴りにかかる。

 が、フツバが攻撃が当たる前に剣の刃を横に向け牛の拳へと突き刺す。

 フツバも一応は攻撃をくらい遠くまで飛びはしたがすぐに立ち上がりほとんど無傷のようだ。


「‼︎」


 跪き、声に出すことのできない絶叫。 

 滴り落ちる血、体中に激しい痛みが体を何周も駆け巡る。

 血が体内に流れているのが少なくなっているのに不思議とよくわかる。

 視界がドンドン悪くなっていく。

 足元がぼやけて足が何本にも見える。

 

(知能があるから分かる。これが死か)


「その通り」


 最後に聞こえたのは口にしていない心の声に対する回答だった。

 意識は途絶えた。


「さっ、雑魚狩り再開と行きますか。死んでるから聞こえてないだろうけど舌は食べる気ないから安心してな」


 フツバは死骸に話しかける。

 その後もフツバはドンドン狩っていく。

 フツバは今の所合計で四千匹は倒した所だ。

 辺りは完全に闇夜に染まり、月も黒雲と黒雲の間を孤独に空を浮かんでいる。

 フツバも多少は息が上がってきたがまだまだヤバいと思える程では無い。

 舞台は森となり木を利用した動きが屍彙魔族には追うことができないらしい。

 しかし奇妙なことに屍彙魔族と濔生魔族しか出てこない。

 確かに、この二つは特に数が多い。 

 かと言っていくらなんでも四千倒して叡魔族が牛の一体もおかしな話だ。

 知能がある叡魔族なら早急にフツバを止めに入る筈だ。

 

「何でこうも叡がいないんだ」

 

 フツバはこの不気味な現状に焦燥感を覚えつつも雑魚蹴散らしていく。

 あるところを跨ぐと急に魔獣がいなくなる。

 

「範囲の外を出ちまったか」


 フツバが雑魚に意識を向けるばかり範囲外に出てしまったと思い空を見上げる。


「ここはまだ範囲内だ」

  

 フツバは空を見て自分の失態に気づく。

 フツバが即座にその地から離れようとすぐに引き返そうとするがもう遅い。

 辺りの木の枝や根がメキメキと激しい音を立てながらフツバを囲むように壁を作っていく。

 

「嵌められた!」


(馬鹿か⁉︎俺は。相手には知能がある。だから止めに来るはずまでは良い。何でそこまで考えていて相手が一人では勝てないと判断しないと思い込んでいたんだ。知能がある奴らはみんなこぞって同じことをしだすだろ。カラス様も猿様もみんな団体行動だ)


 完全に囲われ半径20メートルほどの円状のステージが出来上がると同時に木の上に姿を現した者が五人。


「オトメ・フツバ、意外と簡単に捕まったな」

 

 意地悪そうな高めの男声が聞こえてくる。

 そちらを向くと、オレンジ色の髪はパーマがかかっているかのようにクルクルしている。

 顔にピエロのように目の周りに星型のマークがある。

 長い舌を出して笑っている。

 作戦を思いついた当人なんだろう。

 

「実際ここからが本番でガンス」


 体長は約4メートル。

 丸坊主の全身紫色の巨体が一つ。

 胸の辺りにデカい星マークが刻まれている。


「今のところはあの馬鹿牛で叡魔族舐めてくれてたおかげ見たいなとこあるだろうしねぇ」


 小柄な身なりにショットーカットの女。

 乱暴な言葉遣いの女は蝶のような羽を生やし、両羽に星のマークが刻まれている。

 

「そんな汚い言葉は使わないと言ったでしょう。いつになったら直るんだか、やれやれ。……敵とはいえ才ある少年を殺すと言うのは辛いねぇ」


 優しい口調で喋るしわくちゃのお婆ちゃんのような女。

 腰は曲がり到底戦えそうにない。

 ニット帽のようなものを被り、こっちを笑顔で優しく見てくる。 

 フツバからは星のマークは見えない。

 優しく見つめられるとフツバにとっては何ともやりづらい。

 

「命令通り、八つ裂きにする。それ以外の遠慮は一切不要だ。オトメ・フツバ。されど人間。我らを前に生きて帰れるはずもなし。全員、行くぞ!」


 槍のような物を片手に掲げた男がフツバを威圧的な目で睨みつけてくる。

 金髪を長々と生やし、その男の命令で全員が戦闘態勢に入る。

 魔獣らしかず鎧を纏い頑丈に身を固めている。

 こちらも星のマークは見えない。

 全員が命令に従ったところから見てどうやらリーダー格らしい。

 

「早く始めようぜ。俺がこうやってお前らの無駄話に付き合ってる間も街に魔獣共が向かっちまってる」

 

 フツバも剣を構えて臨戦態勢に入る。

 

(コイツら、それぞれあの牛の奴よりも格段に殺気が濃い。叡魔族の中でも当たり外れがあるっぽいな。油断してるとマジでやられるな、コレは)


ーーー ーーー ーーー ーーー ーーー ーー


「早くこっちにもその機械を回せ!」


「こっちも手一杯です。何とかして下さい」


 フツバの残党狩りをするはずのアトラ達は数が増えてきている雑魚魔族に手一杯になっている。

 ライラはそこら辺に落ちていた太めの木の枝などで屍彙魔族は倒している。

 アトラはフツバを最初に襲撃した時の機械で全体を攻撃しつつ、ライラと同じく物理でも雑魚は倒している。

 パナセアはお得意の薬学で爆薬のような物を作り主に濔生魔族を倒している。

 正直なところもう限界間近だ。


「フツバは何をやってるの‼︎何でこんなに大量に向かってくるのよ‼︎だいぶ序盤からこっちに来ちゃってたけど!」


 ライラがフツバの失態に怒っている。


「何か打開策は無いんですか?パナセアさん」


 一匹、一匹、確実に倒しながら打開策を考えるアトラ。


「二人とも!もう少し我慢だ!私の予想だとあと少しすれば打開策が来てくれる!」


 パナセアが爆薬瓶を投げまくりながらそう伝える。


「打開策が来るってどういうことですか⁉︎」


 ライラが液体状のキモい魔獣を殺しながら聞く。


「来たら分かる。アイツならもうすぐ……おい!アトラ後ろ!」


 パナセアが少し他のこと集中しているとアトラの後ろに迫る魔獣に気付くのが遅れる。

 爆薬瓶を投げようとするがそれだとアトラも攻撃をくらってしまう。

 ライラもアトラからは少し遠く襲おうとしている魔獣を止めることはできない。

 アトラも目の前の魔獣に木の枝を加えられていてすぐに攻撃できない。


(噛みつかれるっ!)


 アトラが目を瞑って食われるのを確信する。

 

 夜風を纏い走るはまさに疾風の如く。

 その男、屋根を蹴り迅速なる速さで走る。

 長い深緑髪を一本にとめ、人を射殺せるほどの鋭い眼差し。

 

 アトラが食われる寸前、その魔獣が吹き飛ぶ。

 キレ長な目に泣きぼくろ、鼻は高く、整った顔立ち。

 長身で腰に二つの刀を携えた男がそこには立っていた。

 緑を基調とした着物に麻の葉模様や鱗文に若松模様などさまざまな模様が施されている。

 まるで一人で森の美しさを表したかのような美麗で煌びやかな風貌。


「間に合ったようで何よりです」


 深緑髪の男は悠然と立ち構えていた。

 アトラは何も言えず圧倒され尻餅をついてただ見ているだけだった。


「まずはコイツらを一掃しましょうか」




読んで頂きありがとうございました。

という訳で最後に現れた謎の男。

緑の髪をポニーテールのように一本どめしています。

コイツが何者なのかはもう少し後に明かすことになりそうですが明らかに強そうな感じですね。

こっからがバトルも多く大変だろうけど頑張ります。

それではまた次話でお会いしましょう。

良ければ、感想、アドバイス、質問お願いします

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