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三章3話 酒場フルボッコ再び

どうもビタミンです。

最近は新しい話を投稿しないと一つもPVがつかなくなってきました。

今までなら少しはついていたのがなくなってきました。

尚更、投稿しなくてはいけませんね。

今日はいつもより長めです。

それではお楽しみください。


「ここは薬学の街ウダマンドラ。今日は薬祭、どんちゃん騒ぎだぁ!仕事なんて関係ない今日は気にせず飲めや歌えや。飲み過ぎで頭が痛くても歌い過ぎて喉が壊れても、なーんの問題もありゃあしない。なんてったってここは薬学の街!その程度の症状なら右見て左向きゃあ治ってる!それが、」


 と街中に届く声で高台から叫ぶ祭男が一人。

 どうやら今日は祭らしい。

 

「ちょ、ちょっと、通してください。すいません、通してください」


 アトラが人混みに揉まれながらフードを是が非でも被り続ける。

 人通りが多すぎて、大通りはまともに歩けない。

 

「フツ、バ、これどうやって探すの?人が多すぎて探し回るのは無理そうよ」


 ライラも人混みに揉まれながら仮面を必死に抑える。

 フツバは人混みに押されることなくスルスルと人の間を抜け難なく進む。


「そうだな。情報を仕入れる時に行く場所は残念ながら俺の中では一択なんだよ」


「どぅこなの?」


 ライラとアトラは必死にフツバの後をつける。


「それはな、」


ーーー ーーー ーーー ーーー ーーー ーー


「ここだ!」


 フツバが店の目の前で両手を腰に当て、胸を張って立つ。

 その店の前は若干ではあるが人通りが少ない。


「ここって」


 ライラが見上げて店の名前を確認する。

 

「酒場だ!」


 フツバがライラの言葉の続きを代弁する。


「酒場ですか。祭りの時の酒場なんて酔っ払いの集まりですよ。ここに五英傑何かがいるわけないじゃないですか」


 アトラは外にまで漏れ出す酒の匂いに嫌気がさす。


「残念だけど、俺は入るぞ。そりゃあ、いるわけはないが情報は手に入る。これは俺の経験則がそう言ってる」


 フツバは澄ました顔で言う。


「こんな酔っ払いがいるところ私入りたくなーい。フツバだけで行ってきてよー」


 ライラがあからさまにめんどくさそうな態度を取る。

 

「別に俺は良いけど、外で何があってもしらねぇぞ!それにアンタだけはそれ言っちゃダメなんだからな!」


「なんで?」


 反射のようなスピードで質問が返ってくる。


「アンタを助けに行く時の情報元が酒場だったからだよ!」


 フツバがそう言うとライラは黙り込んだ。


「アトラも自由に着いてこい!」


 フツバがアトラにそう告げると中へと勢いよく入っていった。

 ライラもその後ろをトボトボと肩を落としながらも入っていく。


「お二人が行くなら、行きますよ!」


 アトラも二人を見て小走りで中へ入る。

 入った瞬間にライラがフラつきだす。


「すげぇ匂いだ。空気の半分がアルコールなんじゃないかってレベルで酒くせぇ」


 フツバも顔色を悪くしながらカウンターへと向かう。


「あるこーるとかはよく分かんないけど酒臭いのには同感」


 ライラは介護の必要なおばあちゃんのような速度で向かう。

 アトラはどうやらすぐに鼻を洗濯バサミのようなもので止めたらしく耐えている。

 フツバが死にかけになりながらもカウンターまで辿り着く。


「お客さん、ここは酒に慣れてないとキツイと思いますよ。無理なら別のもっと優しい所に行った方がいいんじゃないですか?」


 酒場の店主が気を利かせてくれる。

 フツバは手を横に振って答える。


「酔ってないと情報ってのはポロってくれないからな」


「なるほど。そちら目当てですか」


 その二人の会話を横目にしていた酔っ払ったビールジョッキを持ったテッペンハゲの男が急に入ってくる。


「でもよー、俺はー、こんなガキ共でもー、ここに入ってきた勇気を称賛しーたいですぜぇ。君達の勇気にー、カンパーイ!ゲッゲッゲッゲッゲ」


 昼間から完全に出来上がっている。

 だが、周りを見渡すとそんな者の方が多い。

 喧嘩にくだらない雑談、眠る人、十人十色だ。


「なぁ、店主さん。聞きたいことがあるんだけど」


 フツバが店主に話しかける。


「何です?私が答えられることなら何でも答えますが」


 店主は優しくフツバの質問を聞いてくれる。


「ここにさ、五英傑の人が居るって聞いてるんだけど知らない?」


 フツバが真剣に聞く。


「ぷヒャ、おいおい、お兄さん方マジで言ってんの⁉︎あのね、知ってる、坊や、五英傑はもう死んだの!あんな何百年も前の人間が生きてるわけねぇだろ!迷信だ」


 酔っ払いが答えてくれる。

 フツバもその後店主を見るが店主も頷くばかりだ。

 やっと横一列にフツバ達が揃う。

 フツバが死にかけのライラを見ながら


「どうす、ブルフェーー‼︎」


 突然飛んできたグラスがフツバの頭に直撃し、フツバは床に大の字に倒れた。

 グラスは喧嘩が加速して片方の男が投げた流れ弾らしい。

 アトラが慌てて駆け寄る。


「だ、だ、大丈夫ですか?」


 さっきまでとは違った意味で顔色が悪そうだ。

 フツバの頭からは血が一筋流れている。


「お、お客さん!すいません、今すぐ止めに、」


「いや、大丈夫です。落とし前は自分がつけますから」


 フツバがヌルッと起き上がる。

 さっきまで哀れみの目で見ていた酔っ払いの男も流石にその行動には引いていた。

 フツバは無言で喧嘩をしている男女の所へと向かう。

 二人は投げたグラスが当たった事にも気づいていない。

 

「おい、アンタ達」


 フツバが二人に話しかける。

 

「「アッ⁉︎なんだ」」


 二人ともが唾を撒き散らしながらフツバの方を向く。

 片方は若い美女だ。

 酔ってなければもっと美しいだろう顔つきだ。

 もう片方の男はまるで某マリオのような髭を生やしている。

 お互いに顔がフツバとは違った意味で真っ赤になっている。


「うるせぇから喧嘩やめてくんねぇかなぁ⁉︎」


 フツバの目は血走っており、どんな時よりもマジになっている。

 酔っていないライラ達はその殺気に少し怯えるが間近の二人は酔っているせいで危機感が皆無である。


「口出ししてくんなよガキが‼︎知らない間に怪我してんじゃねぇかお前。そんな頭から血流した状態で俺に勝てると思ってんのか⁉︎」


 男はフツバの目の前まで出てきてガンを飛ばす。

 危機管理能力が無いらしく、倒せる気でいるらしい。

 二人から言わせれば無謀だ。

 酔っ払いボーナスがありながらも何かを感じたのか女の方は出てこない。

 こっちのほうが利口である。

 ライラ達は喧嘩が起こる事は必然なのだと確信する。


「店主さん、薬用意しといてあげてください」


 アトラがそう店主に言う。


「止めなくて良いんですか⁉︎あの怪我よりさらに怪我されると店にある薬品だけでは、」


「何言ってんの?用意する薬はあの酔っ払い男の方の分よ」


 ライラが嬉しそうに言う。


「はい?」


 店主が意味が分からなさそうにする。

 喧嘩は勝手に始まる。


「うぉりゃあー‼︎」


 酔っ払い男の先制攻撃の右ストレート。

 フツバはその拳が目の前まで来るまで目を瞑っていた。

 当たる寸前にフツバは覚醒したかのように目を開け、拳を片手で受け止める。

 パン!、と弾けたような皮膚と皮膚がぶつかった音がする。

 ライラ達の目の前にはフツバに拳を握られ身動き一つ取れなくなった酔っ払い男があまりの力の強さに動揺している。

 動揺は一秒一秒大きくなる。


「何だテメェ‼︎」


 左の手で追撃をしようとする。

 しかしその追撃を繰り出す時に一度だけ瞬きしてしまう。

 男から見るとフツバの真正面に立っていた筈なのに、一瞬の間にフツバのつむじを真正面にしている。

 

「ハッ?」


 何が起きたかは理解不能が当たり前。

 男は木でできた床に思いっきり受け身もとれずに打ち付けられ、気絶した。

 酒場が騒然とする。

 酒場で喧嘩なんかは当たり前だがあそこまで綺麗な一撃は誰も見たことがなかった。

 

「はぁ、うざいジジィだ」


 フツバが舌打ちをしながらライラ達の隣に戻ってくる。

 フツバの出血はもう止まりつつある事に二人は驚くが他の者達は別のことに驚き続けて言葉が出なかった。


「アイツ、なにもんだい⁉︎」


 酒場の中の一人がボソリとフツバ達には届かぬ声で呟いた。

 

 

読んで頂きありがとうございました。

今回はフツバがまた酒場で人をフルボッコにして黙らせました。

最後の一声は何者の声なのか。

この章ではどういった問題が待ち受けているのか。

それではまた次話でお会いしましょう。

良ければ、感想、アドバイス、質問お願いします

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