二章後編まとめ〜狂気の決戦〜
※この内容には多分なネタバレが含まれています。本編をしっかりと読みたいという方はこの話を読むのはお勧めしません。
長々と読むのは疲れるのでサラッと最新話まで読みたい人におすすめします。
この話には伏線や細かい設定、描写、セリフなど省かれている物も沢山ありますのでご了承下さい。
窓を破り入ってきたフツバは男とライラの距離を見て、どこまで話したかを推測し始める。
フツバは男の正体には気づいていた。
狂気の男の正体はフツバの口から伝えられる。
「タロン」であると。
最初はライラも耳を疑い自分達の知るタロンとの差を主張する。
ライラを諭すフツバの言葉に男は過剰に反応する。
フツバ達の知るタロンが居なくなったのではなく、元からいない存在だったのだと。
その言葉がライラの懐疑心を払拭する。
そしてタロンの衝撃の姿が現れる。
黒い服が破かれると下からは地肌ではなく金属光沢のある全身機械人間になっていたのだ。
タロンは地下にいた実験体達は全て自分の為だったと明かし、臨戦体制に入る。
フツバもこの狭い廊下でライラを守りながら戦える自信はない。
フツバは廊下と部屋の仕切りの扉にヴェーラを使い穴を開けそこからライラを入れる。
そして廊下側から何かが打ちつけられるような音がした後、その穴が再びフツバによって塞がれる。
そこから時間は少し遡り、アトラとトロストル社の社長、トルタとの会話。
アトラはトルタに強い憎悪を示し、アトラの母であるアリーを見捨てた事に強く怒る。
アトラは地下の人達に行った非人道的な実験も批判する。
その返答は冷酷な物で桃髪を人として見ていないような言い草だ。
そして、その会話の中でトルタの言葉から母親を、アリーを見捨てた理由がアトラの髪色だった事にたどり着く。
アリーを愛していながらも断腸の思いで見捨てたと主張するトルタ、会社の為にどんな理由だろうと家族を見捨てた事を許せないアトラがぶつかり合う。
トルタも昔はおかしくなかった。
アリーとトルタがアトラの事についてぶつかった時、何故かトルタの会社を大事にしたいという気持ちが大きくなり勢い任せに言葉を発し、行動してしまった。
愛し合っていた夫婦が髪色一つでここまでなってしまうのはこの世界でも珍しい部類だ。
ならば、なぜこうなってしまったのか、その理由は一つ。
『悪魔』であった。
このトルタに起こった無性な原動力。
それは全て悪魔が仕組んだ事であったがその遠隔操作に気付ける訳もなかった。
その会話が一通り済んだ頃にライラの笛が鳴ったのだ。
鉄と鋼がぶつかり合い甲高い音が廊下に木霊する。
全身が機械と化し、人間をやめてしまった男と戦うのはフツバも初めてだ。
柔軟に戦えるよう指導されてきたフツバでさえも常識の通じない体に苦戦してしまう。
そして戦いの決着はすぐについた。
しばらく攻防を続けた二人だが、タロンが踏み込む際に足裏に仕込んでいた爆薬を爆ぜさせる。
それによる一時的な加速にフツバの反応が遅れる。
そしてフツバの顔が真っ赤になり、熱くなったタロンの手に掴まれる。
足裏と同じく仕込まれていた爆薬が爆ぜ、フツバは意識を失い、その場を動かなくなってしまった。
完全に勝ちを確信したタロンは部屋の中にいる二人を仕留めんと、歩き出す。
すると、後ろから立ち上がる音が聞こえる。
確かに防ぎようのない攻撃がフツバの顔面に直撃したはずであったが故に驚きつつも後ろを振り返る。
そこには確かにフツバが立っていた、オトメ・フツバは立っていた、しかしそれは確かにフツバでない何かであった。
言葉を覚えてない赤子のような口調で喋り立ち方も無防備だ。
タロンはお構いなしに攻撃を放つがそれも虚しく当たり前に躱される。
そしてその仮フツバが戦いの開始を先程と同じくあやふやな口調で喜び構える。
その構えは見たことも聞いたこともないような異質な構えであった。
仮フツバは剣の柄の部分を上に持ち刀身を下にして構えている。
奇妙な構え、右足を前に出しドッシリと構えている。
左手はまるでもう一本剣を握ってるかの様に手を筒状にして胸のそばにある。
仮フツバがゆっくりと肺の中にある空気を全て吹き出す。
そのあまりに異様なフツバに恐れをなしタロンが先に襲い掛かる。
タロンは先程と同じく足元を爆ぜさせ勢いをつけて縦に回転し、その勢いのままフツバの頭蓋を割る威力の蹴りを繰り出す。
しかし、その蹴りも仮フツバは剣で完璧なタイミングで相殺する。
衝突の反動で空中に体が僅かの間浮くタロン。
その次の瞬間、
「竹のニ『流転突』」
なんの前動作も無しにとてつもない威力の技がタロンに放たれた。
タロンが吹き飛ばされ、体に染み渡る痛みから立ち上がることができない。
うつ伏せに倒れるタロンの前にフツバが立ちはだかる。
タロンは負けじと手を前に出しまた爆薬を使おうとする。
しかしその手はもう通じない。
フツバはその手をがっちりと掴むと全力の力を持って握り潰そうとし始める。
鉄板のはずの皮膚の形が変わっていくのを感じる。
先ほどのフツバの「戦」をもろに喰らい内部の機材が破損しているのが分かる。
フツバに抵抗しようにも体がうまく動かない。
そして今のフツバには軽い攻撃程度では攻撃を中断させることさえできない。
顔を上げられない程の強烈な痛みに悶える、自分の右手が潰れていく、握り潰される痛みがなぜか来ない。
そして手が離される。
タロンは何が起こったのか分からずフツバを見上げる。
するとフツバは体中を掻きむしりだし、何かを拒もうとしている。
あの赤子のような喋り方だったはずの仮フツバが一瞬、今までのフツバの声に戻る。
そしてフツバはそのまま膝を突き、一度ぐったりと体から力が抜ける。
そしてその様子のフツバにタロンが聞く
「お前はオトメ・フツバか?」
と。
今まで通りのフツバが息を切らしながら顔を上げ
「待望の俺だぜ」
と笑いながら言った。
タロンが元に戻ったフツバに正体を聞くがフツバも上手く答えることができない。
しかし、タロンもこっちのフツバには勝機が見えたのかなんとか立ち上がる。
お互いに体がボロボロだ。
さっきの仮フツバのせいで時間が押したフツバはタロンを次の一撃で倒すと宣言する。
どちらにせよもう一撃で決めないと体が動かなくなってしまいそうだ。
そしてお互いが相手を全力で倒すための構えに入る。
一度負けたフツバだがここまで持っていければ負ける気はしなかった。
フツバには師から教わった必殺技がある。
体を脱力し、手を剣に当てる。
そしてタロンも体中を熱し、オーバーヒート覚悟の状態になる。
しかしこの一撃に関してはフツバの圧勝であった。
さっき潰された方とは逆の手から灼熱の熱線を出そうと動き出したタロンだがその一歩目にはもうフツバが目の前に来ていた。
そして次の足を浮かせた頃にはもうフツバの姿がなかった。
そしてその灼熱の手が真っ二つに裂け、集中させた火力が自分の体全身を襲う。
その一連の動きをタロンは目で追うことさえできなかった。
これが卓越した人間に教わった技である。




