3/3
本当のキミ?
次の日、僕が神社に着くと、彼女は驚いたが、直ぐに優しく笑い、
「驚いた。今日は、来ないとばかり思っていたから。どうして来たの?」
と尋ねてきた。僕は、
「君に会いたかったから。君はどうして僕が来ないと思ったんだ?」
と、逆に問いただしてみた。彼女は僕にゆっくりと歩み寄りながら、
「昨日、神隠しのこと知ったでしょう。だから、怖がって来ないかと思って。」
と言った。何故昨日の事を知っているんだ。と思いながらも、目の前に彼女が近づいてきて少し怖じけずく。
「でも、逃げられなくて良かった。これで…」
と彼女は、僕の首に手を回し、笑顔で、
「ミガワリミツケタ」
と今まで聞いたことのない声で言った。聞いたことのある言葉。いや、言ったことのある言葉。そうだ、僕は昔、彼女を"ミガワリ"にしたんだ。あの時の子か。最後に見た彼女の顔には、一筋の涙が伝っていた。