残念な少年とヤクザ風のシスター パート2
「……おい、どこ行くんだよ」
「いや、折角良いアドバイス貰ったから実行しようかなと思って」
「は?」
残念な少年の言葉を聞き、キョトンとした顔になるヤクザ風のシスター。
「まず、このボロイ教会を建て直すところから―――」
「ちょっとまてっ!?」
残念な少年を慌てて呼び止めるヤクザ風のシスター。
「なに人が言ったことまるパクリしようとしてんだよ! テメェに関係ねぇーだろうが!?」
「えぇ~。だって、どうせなら使い道のはっきりしてる人のために使った方がスケルトンの呪いも少なそうじゃん」
「……お前、自分で呪われてるとか言ってる品で人様の願い叶えようとしてんじゃねぇーよ」
いつも通り変な理屈をこねる残念な少年に向かって、正論を投げかけるヤクザ風のシスター。
「大体、お前に払ってもらわなくても、スケルト牧師がその財宝の半分使ってもう始めてるよ」
「マジで!」
ヤクザ風のシスターの言葉を聞き、驚きの声を上げる残念な少年。
実は、迷宮で見つかった魔族の亡霊の残した財宝を、何故かスケルトンの遺産と勘違いした残念な少年に無理やり押し付けられたスケルトンは、手に入れた財宝の半分を使ってガタが来ていた教会の立て直しと、子供達の教育を始めようとしていた。
元々あった借金は、洗脳されていた金貸しの男による不当なものであり、教会に送られていた国からの援助金ですぐに返済できたからこそ、苦労を掛けた子供達のために使おうとスケルトンが考えたためである。
「スケルトンのくせに、まだこの世に未練を残そうというのか……」
「……お前、ホントその頭ん中、一回医者にみてもらった方がいいんじゃねぇーか?」
残念な少年の発言を聞き、痛そうに頭を押さえるヤクザ風のシスター。
「……あ! そういや、お前に聞きたいことがあったんだ」
その時、ふと何かを思い出すヤクザ風のシスター。
「ん? 何?」
「お前、これに見覚えはないか?」
首を傾げる残念な少年に向かって、手に持っていたものを提示するヤクザ風のシスター。
それは、冒険者ギルドにあるボードに張り出されている依頼書の紙であった。