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とある魔道具店での日常? パート2


そのころ、言い合いが一段落ついたのか、お互いに肩で息をしながらも残念な少年とゴブリン爺ちゃんは席についていた。


「―――おのれ、街に隠れ住む卑しいゴブリンの分際で……」

「黙れ! いつも問題しか起こさんクソ餓鬼に謂れ等ないわ!」


未だに睨みあっている残念な少年と小柄な老人。そんな二人の方を見つめながら深いため息を溢す皺くちゃの魔女。


「まったく。理由はどうあれ坊やがもうすぐこの街を離れて旅に出るというのに、もう少し落ち着いた話はできないんですか?」

「……それは儂に言っておるのか、婆さん? 本を正せば、小僧がいきなりメチャクチャなことを言い始めたのがきっかけじゃろうが!?」

「まだ言うか! この三等身ジジイめ‼」

「ほれ! 今のを聞いとったか、婆さん‼」

「…………はぁ~」


またも言い合いを始めそうな勢いの二人を前にして、肩を落としながら再びため息を漏らす老婆。


「……ところで、坊やが航海に出るのは、いつ頃になる予定なの?」

「ん? なんか提督とか船乗りのおっちゃんたちが言うには、色々と準備する必要があるらしくてさ。一応2、3日位したらまた来てくれって言われてる」

「……それはまた。随分と急だねぇ……」


少しばかり息を整えた後に残念な少年に向かって質問を投げかける皺くちゃの魔女。そんな老婆の問いに対して、あっけらかんとした態度で答える残念な少年。


どこまでも能天気に振舞っている残念な少年の答えを聞き、皺くちゃの魔女は思わず目を丸くする。


「オイ、ちょっと待て! いくらなんでも急すぎやせんか?」

「そう言われてもな。腹の立つ色黒イケメンの提督が言うには、元々化物の討伐は実行する予定だったらしくて、俺達がそこに加わるみたいな形らしいからさ。しょうがないじゃんか」

「…………坊や。その化物の討伐というのは、なんの話だい?」


残念な少年の発言を聞き、しきりに目を瞬く老婆。


「いや、なんか俺達が行こうと思っている島のある海域にイカみたいな化物が住み着いているらしくてさ。その島まで連れて行ってくれる代わりに、その化物を討伐する仕事に協力してほしいって言われてるんだよ」

「……ホント、お主はトラブルしか起こさんな」

「いやいや、その海域で化物が暴れていることと、俺は関係ないじゃんか!」

「そういう問題ではない! お主が向かう先々でありえないような問題ばかり起きとるじゃろうが! 本当に、何か悪いもんにでも憑かれとるとしか思えん!」

「…………はぁ」


残念な少年の言葉に、頭を抱えながら思っていたことを吐露するゴブリン爺ちゃん。


その後また変な言い合いを始めた二人を見ながら、また呆れたようにため息を吐く皺くちゃの魔女。


「……まあいいや。とりあえずこれだけは渡しておくからな」

「なんじゃい、これは?」


ようやく話を切り上げたのか、徐に懐をあさり始めた残念な少年は、テーブルの上に袋を一つ置いた。


その小さな布袋を見つめて、ゴブリン爺ちゃんは不思議そうに声を漏らす。


「何って、寝食の礼だけど?」

「は?」


あっけらかんとした態度で言う残念な少年の意味不明な発言を聞き、明らかな戸惑いを見せるゴブリン爺ちゃん。


とりあえず中身を確認しようと、袋に手を伸ばしたゴブリン爺ちゃんが中を確認すると、どうやらその袋は空間収納用の魔道具であったようで、そこには大量の金貨が入っていた。




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