意外と長い、奴隷の購入 パート4
「ていうか、何でそんなに無駄遣いがしたいんだよ?」
「え? 言ってなかったっけ?」
「……ああ。聞いてねぇ」
訝し気な視線を残念な少年に向けながら、オールバックの男は尋ねた。
「さっきスケルトンの遺産とかわけわかんねぇ単語が出てきてたが、それが関係してんのか?」
「そうそう。元々このお金って教会に住み着いてるスケルトンの遺産だったんだけどさ。なんか変な呪いとかついてそうでバッチィから、巧いこと消費しようと思ったんだよね」
「……お前。そんな金を他人様に押し付けようとすんじゃねぇよ……」
残念な少年の言い分を聞き、頭を抱えてしまうオールバックの男。
「…………はぁ。色々思うところはあるが、まあいい。どうせカジノなんて商売で出る収益なんざ、出自をたどったら碌なもんじゃねぇだろうからな。一つや二つ増えたところでどうってことねぇよ」
「おお! 流石おっちゃん!」
「だから、そのおっちゃん呼びをやめろ!」
ここにきて初めて声を荒げるオールバックの男。『おっちゃん』と呼ばれることはそれだけ嫌なようである。
「とにかく、奴隷の代金分のチップは回収するが、残りは換金するから持って帰れよ?」
「結構です。お返しします」
「返されてもこっちが困んだよ」
言う事を聞かない残念な少年を前にして、苦笑いを浮かべるオールバックの男。
「つーか、頑なに拒んでるけどよ。チップに変えてる時点で、お前の手放したかった金自体は全部消費できてんじゃねぇの?」
「………………あ」
オールバックの男の発言を聞き、何かに気付いたように小さな声を漏らす残念な少年。
「…………おっちゃん。マジで天才じゃないか?」
「……だから、いい加減そのおっちゃんって呼ぶのをやめろよな……」
衝撃を受けたかのように呆然とする残念な少年。そんな少年の発言に、顔を手で覆いながら文句を言うオールバックの男。
もうすでに、話の内容はかなり横道へと逸れていた。