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牢屋というのは、何故か地下にある事が多い気がする


「――――――魔族?」


とある場所。赤茶色の髪をオールバックにした一見マフィア風の男に連れられて、残念な少年は薄暗い地下へと続く階段を下りていた。


「―――正確には、魔族って触れ込みで売りに出された奴隷だな。魔族ってのが全員御伽噺に出てくるような悪魔っぽい感じならともかく、そういうわけでもねぇから見た目からは判断できない。金に困って売りに来た貴族の言い分だから、正直、全く信用はできねぇよ」


残念な少年の疑問に、説明を返すオールバックの男。


彼らは、ランタンの頼りない灯りだけを頼りに、石でできた少し凸凹した階段を慎重に下りている。


「見た目からわからないなら、どうやって魔族って判断するんだ?」


足を踏み外さない様、石の壁に手をついて階段を降りる残念な少年は疑問を口にする。


「一般的に魔族かどうか判断するためには、特殊な能力を持った方にみてもらうか魔道具などを使用する必要があります。ただ、今回のようにその方法が取れない場合、魔族と断定するための手段は二種類しかありません。一つは、見た目。魔物から進化したとされている魔族の見た目は、人族を含めた他に存在するどの種族とも違う異質なものになっていることが多いです」

「へぇ~」


ランタンを手に持ち、二人を先導するサングラスをかけたディーラーの男が丁寧な説明を始める。


「二つ目は、性格。魔族はその種族としての特性か残忍で凶悪な性格をしているとされています。そして、他種族を見下し、人族を毛嫌いしている。そのため、魔族は言動の端々にそうした感情が見え隠れするらしく、それを判断材料にすると聞きます」

「ほ~、なるほどな~」


詳しいサングラスのディーラーの解説を聞き、感心したように声を出す残念な少年。


「ただ、先程も言った様に魔族の判断は魔道具やそれを生業としている方々の領分。過去の記録には、人族や他種族とほぼ同じ見た目という魔族も大勢目撃されていますし、性格についても、大昔の人魔大戦などによる影響が強く、疑わしい点も多々あります。なので、例え、過去に魔族と接触したことのある者であっても、魔族かどうか正確に判断することは不可能に近いです」

「……一応言っとくが、お前に買ってほしい奴隷ってのも見た目は殆ど人間と変わんねぇからな」

「……は~、勉強になった。ありがとう。…………ところで、サングラスは外さなくていいの?」


サングラスをかけたディーラーの説明を聞き終えて、感謝を口にする残念な少年。それと同時に、少年は余計なことも口にする。


「はい。問題はありません」

「……いや、問題と言うかさ、こんな薄暗いところで見えにくく―――」

「お前なぁ、本人がいいっつってんだから放っとけよ」


食い下がろうとする残念な少年の言葉を遮るように、オールバックの男が話しかける。


「ええぇ~。気になるじゃんか」

「他人には事情ってもんがあるんだよ。興味本位でいちいち詮索しようとすんじゃねぇ。……それに、もうそろそろつくぜ」


まるで子供のようにふてくされている残念な少年を、少年の後ろから宥めているオールバックの男。


そうして話しながら三人が階段を下りていると、手にしたランタンの灯り以外になかった薄暗い通路の先に、小さな明かりが見えてくる。


その小さな明かりを目指すようにして進んでいくと、三人は狭かった階段とは違い、開けた空間に出た。




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