人気キャラクターの造形〜サンタクロースに学ぶ〜
物語を書くものなら、憧れるのではないだろうか。
活き活きとしたリアリティーあるキャラクター。
最近は、キャラクター小説という分野もあるくらい、キャラ立ちが求められているようにも思う。
実際に、忘れられないヒーローや悪役キャラクターなど、それぞれいるのではないだろうか。
そんなキャラを生み出したい!!!!!
物語を書く者なら、そう憧れるのではないだろうか。
強烈な個性を持ったキャラを生み出したい〜〜なんてことを私も考えていたら、すっごい奴がいることに気がついた。
それが、サンタクロースである。
幼稚園児や小学生の子どもがいる親御さんは、尋ねられたことがあるのではないだろうか?
「ねぇ、本当にサンタさんっているの?」
「本当はサンタクロースって、お父さんとお母さんなんでしょ?」
私は、サンタクロースって凄い! って思う。
子どもが真面目に、「本当にサンタさんっているの?」って聞くんだよ!!
以下の事を尋ねられたこと、ありますか?
たとえば、
「桃太郎って本当にいたの?」
「赤ずきんちゃんって本当にいるの?」
「人魚姫って本当にいるの?」
なんて、聞かれたことあるだろうか?
サンタクロース。
親に、「本当はサンタクロースって、お父さんとお母さんなんでしょ?」と尋ねざるをえないほど、サンタクロースにはリアリティーが存在するのだ。
これって作り話でしょ? って分かっていたら聞く必要はない。
「○○君がさぁ〜、サンタさんはいるなんて言うから、今日、学校でいないよ! それはお父さん、お母さんなんだって言ってやったんだ!」
そんな話をしてきたら、『そうだよね……それであってるよね? お母さん……』的な心境なのではないのだろうか。
「○○君が、今日学校で、サンタクロースはお父さんとお母さんだなんて言ったんだ。本当なの?」
サンタクロース肯定派も否定派も、必死である。白黒を付けなければならないのだ。それほど、サンタクロースには、リアリティーがあるということなのだろう。
赤ずきんが、はたしてどっかの森にいるのか、いないのか? それを本気で議論する子どもって想定されるだろうか?
いや……きっと、ここまで読んだ読者の方は、こう思うだろう。
サンタクロースは、クリスマスの朝、プレゼントをくれるからだろう? 赤ずきんちゃんは、知らない人、怪しい人を家に入れちゃだめだよ、って教訓をくれるだろうが、現実にプレゼントを子どもに贈ったりはしない。
実際に目の前にプレゼントがそこにあるからこそ、サンタクロースはリアリティーが存在するのではないか? そんな反論が来そうである。
ぐっ。
ぐっ、痛いところを突かれた。
そうなのだ。プレゼントを実際にあげるからこそ、サンタクロースはリアリティーが存在するのだ。
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で、あなたが描くキャラクターは、読者に何かプレゼントを贈ってる?
笑いでも良い。泣きでも良い。切なさでも、希望でも、勇気でも、謎でも、カタルシスでも、憤りでも、憧れでも、共感でもなんでも良いのだが、それらをそのキャラクターが、読者に贈ってる?
クリスマスの朝に目が覚めて、目の前にプレゼントがあり、それを喜んで開ける子ども。
小説の中で、キャラクターが、読者に対して忘れ得ぬプレゼントを贈っているか?
そのプレゼントを受け取った読者は、そのキャラクターのリアリティーを感じて、忘れ得ぬ存在となる。
「ドラ○もんっているの?」
そう聞く子どもはたくさんいるだろう。それは、その物語から、子ども達が”プレゼント”を受け取っているからこそ発せられる質問である。
奇抜なキャラクターを造形するのもよいが、”読者に何をプレゼントできるキャラクターなのか?”を考えてみるのもよいのではないだろうか?
クリスマスプレゼントをもらったことのない子どもは、サンタクロースなんて信じない。だって、リアリティーがないんだもん。
同じように、小説を読んで、某かのプレゼントをくれないキャラクターに夢中にならない。だって、リアリティーがないんだもん。