The importance of friends
「七木光と七木輝、名前どっちがどっちだか分からなくなるよね」
「…………君だけかと」
「あは、兄弟揃って同じ事言うじゃん。」
輝は嫌そうな顔で四ッ谷を睨む。
それに対して彼女は何も思わないのかスケッチブックに絵を描き足していく。
「絵とか描くんですね、四ッ谷言ノ葉も。」
「んー?まぁね。なんかねー、光君が言うには独創性があるらしいよ。」
「教師を君呼びで呼ぶ人にロクな人いませんね」
「あは!それは言えてるかも!」
四ッ谷がそういえば!とわざとらしくポケットを漁ると飴が2つ出てきた。
こっちの方が甘くて美味しいよ、と付け足して透明な袋に入った愛らしいパステルピンクの飴を手渡してくる。
輝は甘い物に目がなく、極度の甘党のため甘い物を前にすれば相手が四ッ谷言ノ葉であろうと構わず受け取る。
「ん、甘い。」
「でしょ、美味しいと思って買ったんだ!んー甘い!!」
四ッ谷も甘党であるため互いにこうやって甘い物を持ち寄って会う時もある。勿論周りには秘密にしている。
お互いの"情報交換"も兼ねているため割と定期的に行われることが多い。
「で、あそこどうだったの?」
「まぁまぁでしたね、特にショコラモンブランが美味しかったです。」
情報といっても、こんな風な美味しかったケーキ屋だとかお菓子屋だとかの話である。
「津下と今度行く約束しましたし……」
「は?!津下ちゃんと!?羨ましいんだけど!!アタシも行きたい!」
「君は駄目です、うるさいので。」
ギャーギャーと言い争いをしている内に予鈴が鳴る。輝はヤバ、と一言漏らすと四ッ谷になんの声掛けもせず走って行ってしまう。
「あーあ、これだからインテリ君はつまんないの。」
溜息をついて飴を転がす。甘い。
「んで?庵利ちゃんはなんか御用?」
「あなたはいつまで自分をちゃん付けで呼ぶんです?」
「あは!!ずっと!」
ニコニコ笑うと月代庵利は呆れた様に笑い返してくれた。
「サボり?」
「まさか、あなたじゃないんだから。」
「ふは。それもそうだね。ふふふっ」
ジャージを着ている所を見れば体育の授業である事はまず間違いない。
「体育今何やってるの?」
「サッカーですね、自分は先生に言われて倉庫に行く途中です。」
「あは、じゃあ早く行きなよ。あの先生短気じゃん」
「それもそうですね、じゃあまた。」
庵利は内向的で友達が少ない、四ッ谷からすれば同族といった所ではあるが本人が多分嫌がる。
「難しいねぇ。オトモダチはどうやったらできるのか教えてよ、センセー。」
友達の重要性