Memory of werewolf
「貴方は本当に気が狂っていると思います。」
「褒め言葉?ありがとう!」
皇緋那、皇緋瀬の2人といえばこの学校では中等部にまでファンがいるほどの美形の教師だ。
社会科教師である兄の緋那はあまり生徒とコミュニケーションを取ろうとしないため"高嶺の花"と呼ばれているらしい。
物理教師の弟の緋瀬は兄とは真逆で面倒みがよく人気がある。彼女持ちでありながら彼氏に欲しい教師No.1を4年守り続けている。
…………と、四ッ谷言ノ葉が知るのはこの程度だ。
「だって緋那ちゃんさぁ」
「そのあだ名で呼ばないで頂けますか?」
「緋那ちゃんこうでもしないと喋ってくれないじゃん。」
「………………」
ほら、と言うふうに笑うが屋上のフェンスに手を引っ掛けて離せばそのまま真っ逆さまに落ちる。…………という所までして喋りたい事が『世界の法則』についてだなんて、馬鹿げていると思う。
「緋瀬に聞いてください。」
「やーだよ。緋瀬せんせー苦手。」
「この学校ではそれが異端なんですよ。」
「あは、人気だもんね緋瀬センセ」
四ッ谷言ノ葉が何を考えているのかなんて誰も分からないが緋那は少し理解出来る部分があった。
何故かといえば四ッ谷が『誰かに似ている』からだった。誰かは分からないが。
「緋那ちゃんはさ、この世界が滅んでは蘇生してを繰り返しているとしたらどうする?」
「………………」
「違和感に気付かないの?」
妙に真剣な声だから絆されそうになった、危ない。
「それが本当だとすればこの世界もいずれ滅びますね」
「ふふ、近いうちに滅ぶよ。」
「何故わかるんです?」
「アタシが滅ぼすから。」
「馬鹿げたことを」
「嘘じゃないよ。」
あまりに真剣な声色だ、やっぱりちょっと絆されそうになる。
でもなんだかムカつくので無視して帰ろう。
「えー、帰っちゃうの?」
「世界を滅ぼす人間が自殺なんかしないでしょう。」
「あは!確かに!!」
人狼の記憶