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Scientific preparation room notice.
「おはよう、四ッ谷。」
毎日、この世の終わりのような顔をする女が居た。
素行不良も素行不良、校則違反のオンパレード、しかし成績優秀、訳が分からないこの女の事が少し気になっていた。
「メアリちゃん、オハヨ。」
気の抜けるあだ名を呼んで、挨拶。いつも通り。
「また科学教室行ってもいい?」
「準備室の方でしょ?癒月の所じゃなくていいの?」
「いいの、メアリちゃんのとこがいい。」
メアリちゃん、なんて呼ぶが私の名前は薬師神萌李だ。外国人っぽく呼ぶんじゃない、四ッ谷。
「漆巳だ。漆巳、おはよう。」
「……おはよ。」
葛利漆巳は私の同期で友人だ、同じ科学教師という事もあり親交がある。
「ななみちゃん、オハヨ!また科学準備室にお世話になるね。」
「……いい加減僕の事をそのあだ名で呼ぶな。四ッ谷。減点な。」
ひどぉい、腑抜けた声と共に漆巳にとたとたとついていく。
思う事がある、あの子に対する違和感を感じている。
あの子を見る度思い出す知らない顔がある。
知らぬ振りをする、私は、そう、今のままが続いて欲しいのだ。
科学準備室の予告