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ファンタジー歴史シリーズ 1―オデュッセイア

作者: 赤兎

 ファンタジー、所謂神の御加護を持って、主人公が異能を使い、モンスターや妖に勝ち得て、国を治める、という筋が持ったストーリーは、2800年前から吟遊詩人のホメーロス(Homer)作の『オデュッセイア』という叙事詩(epic)から始まったと言っても過言ではない。無論、その元となる神話はもっと古い時代から存在したが(ギルガメシュとか)、「ファンタジー風」で「人間が主人公」の「ヒーロー物語」として出来上がった作品は『オデュッセイア』が初だと思います。


『オデュッセイア』は英雄王オデュッセウスの漂流記です。彼が異国との戦争(正確に言えば、トロイアの木馬が登場するトロイア戦争です)を勝って帰国の旅路で、薬中毒の村の毒手から逃げて、独眼巨人と対峙し弱点を突いて勝った後、人食い巨人(進撃してない)からまた逃げて、人を豚に変える魔女を看破し、彼女の命を許す代わりに一年ぐらいの「歓待」を受けた(察しろ)。その後、歌声で人を誘惑する精霊から無事で乗り切れて、海の大怪獣からも逃げたが、神の眷属たる不死な畜生を彼の部下が殺したため、天罰を受け海難した。


 運良く海の精霊が助けたが、彼女は愛に狂って、彼を島に「監禁」した(察しろ)。7年が経って、神々(特にアシーナ女神)は彼のために陳情し、彼はつい解放した。が、彼が帰還できるとったん、海を司るポセイドンの恨みを買ったため(件の独眼巨人はポセイドンの息子である)また海難した。だが、彼はまた運良く別國に辿りてけて、その国の王から信頼を得て、帰国の助けを受けた。と、話がまだ終わっていない。


 帰国すると、彼の不在の間、彼の妻(傾城の美女である)は多くの王侯貴族に追求される状況になった。その逆賊を蹴散らしため、彼は乞食に変装して、宮殿へ侵入した。そして王侯貴族の競技で参加し勝って、彼らがあっ気を取られた間皆殺し、つい妻の再会を果たして、もう一度愛を確かめたーーの長編物語です。


 現代のものと色々類似してるじゃないか?まぁ、最強はしてないが、普通の人より胆力や智力と運も飛び抜いてるなー、ちなみに強弓の名手です。ハレムものじゃないが、作中、主人公に好意を持ってる女性キャラもそれなりに多いし:魔女子と孤島の精霊、女神に異国の姫、そして正妻。加えて、容赦しない性格。お前現代の現代小説の主人公じゃないの?と言いたい。


 いや、マジで、誰か『オデュッセイア』を現代風に書き換えてみたら?ヒットすると思うよ。


 叙事詩は中世紀まで流行ったが、ファンタジーの色が濃く、現代でも有名なのが:ヘーシオドス(紀元前7世紀)作の『神統記』(主にゼウスが主神になった経緯を語ったが、ほかの神々の由来も語った)、同ヘーシオドス作の『仕事と日』(作者の日常と幾つの神話、パンドラの箱とか、を使って善悪論を語ったもの)。ウェルギリウス(紀元前1世紀)作の『アエネーイス』(アエネーアースという王子の漂流記と戦記)、オウィディウス(紀元0世紀)作の『変身物語』(いろんな神話を集合した作品)が挙げます。


 では、何故こういう「神々の気まぐれで、主人公が受難する」ものが一昔で流行るのか?もちろん、政府としてみれば、自国民に統一の英雄像を持たせて、そして王族の正当性を証明するための神話が必要という面もありますが。やはり当時の人々は自分の生活に対する不満と不安を解消するために、災難が神々のせいにして、また神々が人間の様にいざござをすると見せて、親近感を持たせ、その理解不能、制御不能の災難が理解できる、制御できるものにした。


 それは現代人の我らでも似た思想を持つと言えるだろうか?世界が何も競争になったからー同輩比べ、受験戦争、就職戦争、婚活戦争、その全てがまるで(ゼロサム)ゲームなようだな。「人生はゲームだ」、これより生々しい言葉はあるだろうか?だったら、一層、幻想もゲームの世界になって、自分が気のままにステータスやら能力やらをいじって、この理解不能、制御不能のゲームなような世界を君臨したくなるではないか?現実の「ゲーム」が勝ったなくても、幻想のゲームでバッグ技やチートを使って、抜け道を見つけたい。それこそが「主人公TSUEE」の真意ではないか?……と私は時々そんなくだらないことを思いに更けます。


 それはともかく。


 現代ファンタジーを書く作者方、古代のファンタジーも参考してはいかが?


シーリズと言っていたが、続きが出るかどうかは未定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして。 『オデュッセイア』、読みたいと思いつつもまだ読めていない作品のひとつです。 『イーリアス』は読みましたが、あれはたしかに、「アキレウスの怒り」に沿ってはいるけれど、群像劇み…
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