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【完結&書籍化】スキル『市場』で異世界から繋がったのは地球のブラックマーケットでした  作者: 石和¥
3:皇国の侵攻

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91:死闘の幕開け

「よおし、では獣人族諸君。用意は良いか?」

「「「「応!」」」」


 迫りくるゴーレムの群れを見下ろした俺は、振り返って歪んだ笑みを浮かべる。


「……行くぞ、狩りの時間だ」


 思っクソ魔王ぽくキメたドヤ顔に対して、返ってきたのは“わーマオーさまかっこいー(棒読み)”といわんばかりの生温かい微笑だった。

 スベッたのはわかってるんでホント止めてくださいお願いします。


 獣人族志願者14名のなかから選抜した擲弾兵は6名。

 残る8名の志願者たちも、今後のことを考えて操作手順の確認と試射は済ませてある。いざとなればバックアップ要員として活躍してくれるはずだ。


 早々に適性を判断したのは、戦慣れした虎娘ヤダル、熊男ビオー、人狼青年ペルン。

 あとの3人は少し人選が難航したが、俺の提案に志願者全員が納得の上で選ばれた。

 後者の3人は擲弾兵としての適性というよりも、種族特性を生かした運用ができないかと思った結果だ。彼らは俺やヤダルたち3人とは別行動を取る。


 作戦参加者を集合させて、配置を確認する。傍らには参謀役ミルリルさんとシモノフ対戦車ライフルを担いだケーミッヒとエルフ射手たち、それにブレインのリンコ。


 現時点で南側から平野部に入り込んだ敵は鉱石質(メタル)ゴーレム1体、樹木質(ウッド)ゴーレムが2体、粘土質(クレイ)ゴーレムが3体。それぞれ殻竿(フレイル)を構えて遮蔽の陰に入っている。

 最初の一撃で戦車砲が想像以上の脅威と判断したのか、無防備に突っ込んでくる様子はない。


「現時点で、やつらの優先排除対象(狙い)T-55(戦車)だが、その脅威が消えれば城壁(ここ)まで攻め込んでくる。その前に潰すぞ」

「「「応!」」」


「ケーミッヒ、鉱石質(メタル)ゴーレムは戦車砲とRPG-7で受け持つが、他はいけそうか?」

粘土質(クレイ)ゴーレムは、防御より機動速度を優先した動きだな。あれなら問題なく倒せる。問題は、樹木質(ウッド)だ」


 それは少し意外な返答だった。軽くて速いが強度はそんなにないと聞いていたが、そうでもないのだろうか?


「魔力光の流れを見る限り、動力魔珠(コア)の出力を魔導障壁に振っている。銃弾では仕留めるところまでいけるか微妙なところだな」


 うん、俺は見てもわからん。魔力光を目視できるのはエルフならではの能力か?


「ヨシュア、その樹木質(ウッド)ゴーレムだけど、手に射出杭(アンカー)を装備してる」

「アンカー? 用途は、戦車への攻撃か?」

「ケースマイアンに到着するまで戦車の存在は知られていなかったはず。だとしたら……たぶん、だけど崖を登るための装備じゃないかな」


「スロープを回り込まなくても、城壁まで一気に来る可能性もあるということか」

樹木質(ウッド)だろうが粘土質(クレイ)だろうが、懐に入り込まれたら対処は難しいぞ」


 ケーミッヒの懸念は(もっと)もだ。

 さらに、平野まで入り込んだ6体の他にも、外延部の堀のなかに歩兵を送り込んだ粘土質(クレイ)ゴーレムが4体、南と東の森に臼砲を扱っている粘土質(クレイ)ゴーレムが計10体ほどいる。

 東の森にいる本命、鉱石質(メタル)ゴーレム2体(うち1体は6脚タイプの大型)はまだ動きがないものの、攪乱のタイミングを狙っているとしたら厄介だ。


 これは侵入部隊だけでも、早めに仕留めるに限る。


「ケーミッヒ、計画変更。樹木質(ウッド)ゴーレムにはKPVを使ってくれ」

「わかった」


 崖の前に据えられたKPVは、ケーミッヒの対戦車ライフルと同じ14.5×114ミリ弾を使用する重機関銃だ。30-06の10倍近い威力を持つが重量も50kgを超えるため、三脚に載せて運用する。

 用意した銃弾は400発、すべて焼夷徹甲弾だ。


「エルフの一斉攻撃の後、擲弾兵は各発射地点に移動する。攻撃用意!」

「「「「応!」」」」


◇ ◇


 戦場が静まり返った。ほとんどの場合それは、一斉攻撃の前触れだ。

 騎乗ゴーレム部隊指揮官クレインは粘土質(クレイ)ゴーレムの躁騎席で各騎からの報告を聞いている。


粘土質(クレイ)2騎と樹木質(ウッド)ゴーレム1騎、鉱石質(メタル)1騎を喪失、アーマイの騎体も頭部躁騎席と左の脚部に損傷、おまけに俺も片腕状態か」


“随伴歩兵40が東側から敵陣内に侵入しました”


 ――南側から入った兵は50近くが死んだけどな。

 手持ちの歩兵は、その40――と、ほとんど生存は望めない南側の生き残り、で全部だ。それも自分の責任だと、クレインは口を(つぐ)む。


 従兵ザルパが魔導回線の調整を終えると、ハッチからひらりと飛び降りる。手には騎兵用の突撃魔術短杖(ワンド)


「自分も、向こうで歩兵たちと合流します。隊長、ご武運を」

「……おう。こういうときは、なんか格好良いこというんだろうけどな。生憎、いまはそれどころじゃねえ」

「魔王と刺し違えるなんて、なかなか格好良い最期ですよ」


 楽しそうに笑って駆けてゆく後姿を見送り、クレインは笑いながら首を振った。


「やっぱ、あいつ……歩兵をやってる方が生き生きしてんじゃねえかよ」


 回線を開いたままの騎体間魔導通信機に向かい、クレインは息を吸うと覚悟を決める。


鉱石質(メタル)ゴーレムは全騎で、あのおかしな砲兵陣を潰す。アーマイと俺はあの東側の土色、ケベックとソーラは南側の白い奴だ」

“““了解”””


粘土質(クレイ)は攪乱と歩兵の殲滅、砲持ち(・・・)は森の際まで前進、全弾打ち上げた後で突撃だ。先に突っ込んだやつらのことは考えなくていい。どうせ狙える精度じゃねえ」

“““了解””””


樹木質(ウッド)ゴーレムは渓谷の上にある本陣だけを狙え。そこに“魔王”がいるはずだ」

““了解””


 騎体を動かす。左半身が軋むが、動けないわけではない。せいぜい派手に暴れてやると、獰猛な笑みを浮かべる。


「よおし、全砲門開け! 爆発と同時に、全騎突撃!」

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