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【完結&書籍化】スキル『市場』で異世界から繋がったのは地球のブラックマーケットでした  作者: 石和¥
8:帰るべき場所

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385/422

385:焦点

思った以上にいろんな方々に読んでもらってるんだなと再認識しました。

がんばります。

 俺が屋敷の前でホバークラフト(グリフォン)を出すと、全員が迷わず乗り込んでくる。

「まさか、あやつら全員で行く気か?」

 俺とミルリルは運転席で振り返って首を振る。

 慣れた様子の吶喊(バトルクライ)の五人と、おっかなびっくりなスールーズの七人、おまけにエルケル侯爵まで興味津々で加わっている。あのひと、どう考えても多忙な身なんじゃないのか?

 グリフォンの船内は二十名ほど乗れる設計のはずだが、後部コンパートメントには巨大な追加燃料タンク(増槽)もあるので十三人では狭そうだ。座れんこともないだろうけど、かなり長距離移動になる。ホントに大丈夫か?

「動き出したら、そこ座っといた方が良いぞ。揺れるからな」

 何度も乗ってるティグたちは、落ち着かない顔でキョロキョロしてるスールーズの面々にアドバイスをしてる。ルイとティグの脳筋組は最初に乗ったときサイドデッキではしゃいでて落ちかけたらしいからな。

「侯爵までついて来てしまって、いいんですか? スールーズの村、たぶん大陸の北の端っこですよ?」

「まあ、いいだろう。用は、もう済んだ……ようなもんだからな」

 微妙に目が泳いでいる感じからして、厳密には済んでないと見た。まあ、サボって怒られるような上司がいるわけでもないだろうしな。せいぜいルモア公爵くらいか。いまや王国の主導的地位にある侯爵ともなれば、同行することに何らかのメリットがあると踏んだのだろう。俺が口出しする話でもない。

「ルーイー、村の場所を教えてくれるかの?」

 村、と便宜的にいってはいるが村落の体を成しているのかはわからん。ミルリルが助手席で地図を広げると、ルーイーがひょいと顔を出した。エルケル侯爵も覗き込み、唸り声を上げる。

「こ、れは……凄まじい精度の地図だな。以前いただいた贈答品も震え上がるほどの品質と精度であったが……これも魔王領の技術か」

「ええ。ケースマイアンには凄腕のドワーフと、ドワーフみたいなの(・・・・・)がいましてね。やりたい放題なんですよ」

 前の贈答品、というのは機械式腕時計と高級シルクと高級酒か。それはサイモンから買ったものなのでケースマイアンの技術ではないんだけどな。正直に話すわけにもいかないので、ここはスルーしとこ。

「ここ」

 こっちの話を聞いちゃいないルーイーは、しばらく考えて地図の一点を指す。彼女の指が置かれたのは、共和国の旧都キャスマイアの北およそ……百哩くらい?

 それはいいんだけど、その場所……七十年ほど前に皇国が共和国から奪ったって港町じゃね?

「皇国の辺境と聞いておったが、そこはむしろ要衝ではないかのう?」

「そうだな。皇国唯一の港湾都市にして軍港だ。ラファンと同じくらいの規模ではないか?」

 ミルリルとエルケル侯爵が怪訝そうに尋ねるが、ルーイーは首を傾げるだけだ。

「我ら、暗黒の森に、暮らす。皇国の砦、兵隊を送り込んでくる」

 トントンと指している場所は、よく見ると海岸線から数十哩ほど内陸側だ。さすがに港湾都市に入れてはくれないのか。軍港だしな。魔獣の巣窟である暗黒の森に隠れ暮らしているんなら、まあ辺境少数民族に違いない。

「ケースマイアン(ウチ)の技術陣は、いずれその港町を奪取したいと狙ってるみたいだし……」

 俺はケースマイアンから北東に、暗黒の森を指でなぞる。

「共和国も奪還を計画しているようだから、スールーズとの共同戦線を張るのもアリかもしれないな」

「そこに王国も一枚噛ませてもらえると、ありがたいのだが」

「なんでです?」

「もちろん貿易だ。そして水と食料の補給もだな。王国は、いずれ北にも航路を広げたいと思っている」

 なるほど。未来に夢が広がりますな。でもそれ俺らにいわれても具体的にはノープランなので返答しようがないですね。そこは、まず共和国の理事たちと話してもらおう。

「ミルリル、スールーズの村までは、どのくらい?」

 ラファンからキャスマイアまでは、海岸線を北上すること二百五十哩(ミレ)、そこから優に百哩以上はあるのではないだろうか。

「四百と、三十ほどかのう」

 おうふ、マジか。ざっくり概算だけど、七百キロ弱? 茨城(大洗)から北海道(苫小牧)くらいないか、それ。今度はモフの疲労スッキリ覚醒サービスもないし、急いでも途中で一泊、その後の備えも考えれば二泊は必要かも。

「ところでルーイーって、ラファン(ここ)まで、どうやって来たんだ」

「歩いて」

 当然のような顔で返答された。そりゃそうだよな。失礼ながら、あんまお金なさそうだし。スールーズのなかでは“柔弱な輩”かもしれんけど傍(はた)から見れば体力はありそうだし。

「それじゃ、行くぞ〜。最短でも片道二日は掛かりそうだけど、みんな大丈夫か?」

「おう!」

「もう戸締まりしたし、休暇終わりには少し早いけど、帰りはハーグワイで降ろしてもらえればいいや」

「それはいいな。わたしもマッキン領主(モルフォス)たちとの会合があるので、そうさせてもらおう」


 いや、いいんだけどさ。わしらはタクシーかい⁉︎

挿絵(By みてみん)

オーバーラップノベルスから発売中。

買ってくださった皆さんに、感謝。


ただ出版側の想定ほどは伸びなかったようで、今月末までの数字次第では続巻は難しそう。

そんときは、力及ばずすみませんというしかないですが。

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