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【完結&書籍化】スキル『市場』で異世界から繋がったのは地球のブラックマーケットでした  作者: 石和¥
7:からまる紐帯

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298:なし崩しの戦端

おかげさまでPV1500万達成しました。

いつもありがとうございます。

「ヨシュア、皇国軍が動いたそうじゃ」

「オイ早ぇよ⁉︎」

 俺は思わず若手芸人並みのオーバーリアクションでミルリルにツッコむ。会議室で影武者皇帝に宣戦布告してから、一時間と経っていない。

 議事堂を出てすぐ足を確保しようと商業ギルドまで預かってもらっていたグリフォンを引き取りに来たのだが、まだ新任ギルドマスターの巨漢エルフ、ローリンゲン氏に挨拶をしただけ。ギルマス執務室に通されたところで、ミルリルの懐に入っていた通信機が鳴ったのだ。

「皇国軍? 妃陛下、それはどういう状況だ? 和平交渉が不調に終わったのは聞いてるが、まだ皇帝はハーグワイを出ていないのではないか?」

 ローリンゲン氏が俺たちの前でフラフラと首を傾げる。いや、そんなの俺も知りませんて。

「ミルリル。動いたって、どこのどいつが、どれくらい?」

「まずリンコからの通信によると、“どろ〜ん”が、北部の港で砲艦が出港準備をしておるのを捉えたそうじゃ。護衛の戦闘艦は、もう港を出ておる」

 北部の港。ええと……それは、あれか。七十年だか前に共和国から奪ったとかいう港町だな。名前は知らん。その皇国唯一の港を、ケースマイアン(ウチ)の技術陣は奪取しようという計画を立てているんだっけ。この際、サッサと攻め込んで奪っちゃうのもアリかもな。皇国から海上戦力も貿易能力も、塩や海産物の補給も奪えるし。ケースマイアン北部に広がる暗黒の森を切り拓いていけば、その港までの道も繋げられるはずだ。

「皇国軍、まだ砲艦なんて持ってたんだ」

「大型の巡洋砲艦は一隻のみ、修復中だった老朽艦じゃな。残りは中型の移乗戦闘艦が五、積載物不明の貨物船が二じゃ」

 ……う〜ん。何すんの、それで。俺の視線を受けて、ローリンゲン氏も首を捻る。

「その編成だと、せいぜい行けてキャスマイアか? いまキャスマイアには共和国の海上戦力が集まっている。海戦用攻撃魔導師もいるから、近付く前に沈められるな。仮に兵士を上陸させたところで補給も人員も整っているから、嫌がらせ以上のことができるとは思えん」

「……ん? ねえミルリル、まず(・・・)っていった?」

「そうじゃ。それとは別に、“聖女の使徒”が占拠しておったイルム城塞とかいう砦に、いま皇国から騎兵と歩兵が二千ほど向かっておる。騎馬が五百前後に、馬橇が二百……おそらく輜重部隊じゃな。ゴーレムは無しじゃ」

「それは……聖女の援軍? それとも討伐軍?」

「わからんの。相手の意図が何にせよ、砦があるのは共和国領じゃ。共和国にとっては侵略軍じゃの」

「海軍の動きが、そいつらのための陽動だとしたら……まあ一応は納得できるかな」

 俺がそういうと、ローリンゲン氏が頷いた。

「妃陛下、他には?」

「有翼族からの報告によると、二千の兵を送り出した後の皇都で、おかしな兵員配置が進められておるようじゃ」

「まさか、またケースマイアンにも同時侵攻?」

「いいや。皇都内での移動で、外には出ておらん。おそらく籠城の準備じゃな」

 皇都って巨大な城塞都市みたいなもんだから、籠城っちゃ籠城なだろうけど。あんな縦横数キロ規模の街では、防衛のしようもないというか、あんま意味がないような気もする。こっちも律儀に攻城戦を仕掛ける気なんてないから、どうでもいいが。

「船と皇都は、まあ後でも良かろう。わらわたちが対処に動くとすれば、イルム城塞じゃ」

 ミルリルがリンコの作った地図をテーブルに広げる。巨漢の老エルフはあまりに詳細な地図を見て一瞬だけ何かいいたそうな顔をしたが、黙って視線を戻す。

「イルム……ここじゃな」

 ミルリルが、旧北領の南西部を指し示す。地図で見ると、意外に大きい。幾重にもなった城壁の一番外側だけならサルズと同じくらいある。

「ローリンゲン殿、これはいつ頃まで使われておったのじゃ?」

「四半世紀ほど前か。かつて皇国との国境紛争で、何度も大攻勢を撥ね返した難攻不落の城塞だ。さっき妃陛下がいっとった北部の港を皇国に占領されて以降、国境紛争自体があまり意味のないものになってな。イルム城塞も遺棄されて廃墟になってた」

 そこを“聖女の使徒”が占拠して、自分たちが共和国にも皇国にも属さない第三勢力だと主張し始めたというわけだ。おそらく元いた世界でいう独立宣言みたいなものを目指しているのではないかと思うんだけど、それが王国の元聖女による発案なのかは不明だ。

「共和国政府は、“聖女の使徒”の実態を把握してますか」

「構成は北領と東領、中央領と皇国の敗残兵や脱走兵。総数二百ってところだな」

 廃墟に集まった敗残兵集団としては案外多いと見るべきか、聖女の人望としてはちんまりしていると見るべきか。

「そいつらの目的は、わかりましたか。……“悔い改めろ”の他に」

「いいや。あえていえば、聖女の教えを感染させることだな」

「感染とは、病のような言い方じゃの」

「笑いごとじゃない。あれは病だぞ。民にまで広がれば国を食い荒らす、死に至る病だ」

明日19時更新予定分を上げてもうた。

……ま、いいか。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヨシアキなら他所で培地を大量に得て 皇都に培地を投げ込み皇都を王都の二の前にするの 容易いでしょう?培地は侵攻軍を当てる! 培地と一緒にAEDやC4をキロ単位で混ぜる! そして皇都は疫病の巣…
[気になる点] 298:なし崩しの戦端 済し崩しは少しずつ返済をして崩していくの意味なんですが。
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