13:戦いの後
俺はあちこちに転がった死体を回ってローブや剣や杖や甲冑、服や馬具や装備までを次々に収納してゆく。
下着は(俺が触りたくないので)残しておいてやったが、ほぼ丸裸にした死体を移動させようかと迷って、やめた。手間暇かけて死者の尊厳を守ってやる義理はない。死体を放置すると腐敗して病原菌をばら撒き疫病の元になるとも聞くけど、この国に戻る気もないしな。
単純に、人手も体力もない。すまん近隣住民。いるのかどうかもわからんけど。
「ミルリル、向こうは?」
「戦闘のあった方角は静かなままじゃ。こやつらが殺し尽くしたのではないかの」
「こいつら何者かわかるか?」
「おそらく、王国の第3王子と、近衛の騎兵じゃな」
「王族に面識でもあるのか?」
「元は鍛治工房の職人じゃぞ? そんなもん、あるわけなかろう。まして王国で亜人は牛馬と変わらん扱いじゃからの」
「じゃあ、なんで」
「この国の王子は、3名だけじゃ。上の王子ふたりはもっと年長で、弓使いと、剣使い。魔導師の適性がある王族なぞという変わり種は第3王子くらいじゃ」
途中で気になるワードがあったような気がしたけど、ミルリルはどんどん話を進めてゆく。魔法使い王子とかいって、王国内では誰でも知っている話なのだとか。
なんかイヤだな、魔法使い王子。高齢童貞の星か。
「なるほど。なんでまた、そんな御大層なやつらがこんな山道で戦闘……か殲滅か知らんけど、魔力攻撃を行う必要があったのか、だな」
「うむ。相手が何であれ、明らかなオーバーキルじゃな。こやつらと対抗できる戦力など、小隊単位の軍くらいなのじゃ。そんなもんが国内をうろついているわけがなかろう?」
そいつらを殺した俺たちは何なのって話なんだけど、まあいいや。銃の力はすごいってことだ。同じベクトルの発明で王国を追われることになったミルリルにもそれはわかっているんだろう。彼女は死体を一瞥して、わずかに苦い顔をした。
「半ミレとやらがどの程度か知らんけど、見に行ってみるか」
「おうッ、またあの魔獣魔道具に乗れるのじゃな♪」
俺は収納から“にこにこ幼稚園”のマイクロバスを引き出し、もう暗闇に呑まれ始めた森の小道を走り出した。
本日ここまで、次回は明日1900更新予定です。




