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第9話ユナのスキル

こんにちは、トニーひろしです。

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感想も期待しています。

よろしくお願いいたします。






 冒険者の心得4日目の朝。

 昨日までの3日間は⋯⋯冒険者達にとって退屈なものばかりだったようだ。と言うのも実技訓練ではなく、魔物の特徴、種類などを学ぶ講義型だったからだ。


「今日からは実技訓練を始めます」


 冒険者ギルドの訓練所に集まった若手冒険者を前にウィーネが言う。そしてそのまま冒険者達を見渡しながら続ける。


「実技訓練と言っても各々の課題は様々です。講座で得た知識を試したいなどという意見もあるでしょう。よってこれから4日間の実技訓練は全て自由訓練とします。各々で訓練内容を決めてください」


 なんだか適当だなぁと感じたウィヌであった。

 その後、ウィーネが訓練時間や訓練場所などを簡単に説明し、ギルドの奥の方へ消えたのだった。



***



 ウィヌ達は訓練場所の1つである南の平原に移動していた。

 ノーム町の南側は平原が広がっている。訓練場所を平原にしたのは場所を広く取れるし、本気を出しても大して自然破壊をしなくて済むと言う理由からだ。

 平原は森よりも魔物のレベルは低く、数も少ないが⋯⋯今日は対人戦の予定であった。特にそこらへんは関係ないのだろう。


「やっと実技だよ、ホントしんどかった」


 そう言うサナの目が死んだ魚のようになっていた。2日前からこの状態である。


「ふ、ふん! 余裕だったわよ、余裕」


 ユナが胸を張って笑う。しかし、足は産まれたての子鹿のように震えていた。講義に対して拒絶反応が出ている。

 ――無理しなくてもいいのにな。無い胸を張っても目の保養にはならないって。

 そんなことをウィヌが思っているとユナの目が鋭いものに変わった。


「今凄くアンタを殴りたくなったわ!」

「ナ、ナンデ?」

「いや、なんとなく!」


 相変わらずのユナの勘の良さにウィヌはカタコトになっていた。

 カタコトなウィヌをみて、サナがニヤける。ウィヌと付き合いが長いサナは彼が何を考えているか察したようだ。


「ウィヌは今、心の中でユナの胸を馬鹿にしたわよ」

「な、なんですってー!」


 サナが嫌らしい笑みを浮かべ、ユナが顔を真っ赤にする。髪色がより濃くなって赤色から紅色に変わっていく。

 ユナのスキル喜怒哀楽の能力だ。

 ユナのスキル喜怒哀楽は感情の変化によってステータスが変化するスキルである。怒ったり哀しんだりするマイナスの感情の時にはステータスが上昇し、喜んだり楽しんだりするプラスの感情の時にはステータスが減少する効果だ。

 スキルによるステータス変化が激しいのが特徴で強力なスキルだ。しかし、不意打ちなどに弱い、弱点の多い能力でもある。

 ユナの強さを支えるスキルと言っていい。

 その感情の変化を表すのが何故か髪の毛の色でマイナス感情の時は濃く、プラス感情の時は薄く変化するようだ。

 赤色から紅は少しやばい。

 ウィヌもそのことが分かっているのか、ユナに怯えている。


「で、でたらめを言うな、サナ。俺がそんな事思うわけが無いだろう」


 ウィヌは口ではそう言ったが、足と声が小刻みに震えており、表情も硬い。

 まるで蛇に睨まれたカエルであった。


「シネ!」


 ボコッ!

 強烈な拳打音が鳴り響く。


「アーー! もっと来いよ!」


 ユナの鉄拳を受けたウィヌはまるでゾンビ化しているようだ。


「沈め、キモいんだよ!」


 バキッ!

 人間から聞こえてはいけない音が聞こえた気がした。

 ユナはサナと違い容赦がない。


「ぶべらっ! ハァ、ハァ、ハァ!」


 しかし、だからこそウィヌをより強く興奮させた。もうウィヌ自身も欲求に抗えない。

 結局このやり取りは5分ほど続いたのだった。ウィヌは何故か尻を突き出して気絶していて、近くにいた冒険者達は他の場所へ逃げるように移動して行った。


「ウィヌはのびてるし⋯⋯サナ、特訓しましょ!」


 ユナが近くにいたはずのサナに声をかけるが反応がない。周りを見ると少し離れた所で目と耳を塞いだ状態でうずくまっていたのだ。

 ユナが慌ててかけよる。


「サナ、どうしたの? 体調悪いの?」


 サナは顔を真っ赤にさせて、身体をクネクネさせていた。

 サナがそのまま呟く。


「ダメよ、誘惑に負けては。私は正気を保たないと!」


 ユナは疲れた表情を見せ、頭を抱えた。

 ユナは案外自分が一番まともなのかも知れないと感じるのだった。



***



「あれが若手最強のパーティか」


 剣聖クレア=フォン=リーズベルトはため息を吐いた。何せ実力を見るために気配を消して見学しているのに、一向に実力を見れないのだ。

 そろそろ見学するのも飽きて来たようだ。


「これはとてもじゃないけど強くする気にはなれないなー」


 苦笑いしながらその場を離れようとした。


「おいおい、どこへ行く気だよ?」


 そんな声が耳に届いた。

 クレアは声の方向へ目を向ける。

 そこにはニヤリと笑ったウィヌが立っていたのだった。




















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