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第8話バカな少年

こんにちは、トニーひろしです。

気に入った方々は宜しければブクマや評価をつけてください。

感想も期待しています。

よろしくお願いいたします。






 ユナが来てから2週間が経過した。つまり、今日から冒険者の心得が始まる。

 ウィヌとサナとユナは冒険者ギルドの訓練所に集まっていた。これからそこで訓練が始まるようだ。

 因みにユナとはギルマスであるジュークの提案でパーティを組んでいた。同年代でユナについていけるのはウィヌとサナだけだと判断したからだ。依頼をこなして分かったのだが、ユナの戦闘能力は本当に凄いもので、ウィヌとサナにも引けをとらなかった。


「サナ、ユナ、おはよう」

「おはよう、ウィヌ。早速いつものスキンシップを⋯⋯」

「やめななさい! 一緒にいる私も恥ずかしんだから!」


 ユナが頰を真っ赤に染めて叫ぶ。

 ――サナも昔は今程積極的じゃなかったんだけどな。俺の責任だ。

 実は全くもってその通りなのである。魔族に故郷を滅ぼされた後、初めにサナに協力を頼んだのはウィヌなのである。最初の半年程は今のユナのような反応だったのが、ウィヌのせいで変わっていってしまったのだ。


「ええっ、いいでしょ! 私の生きがいなの」


 サナは頼み込むような視線をウィヌに向ける。

 今ではそのような過去があったようには到底思えない振る舞いをしているが⋯⋯。

 ウィヌがサナをスルーしているとそこに1人の少年が凄い勢いでダッシュして来た。


「ウィヌー! 勝負だぜっ!」


 ウィヌは声の方に顔を向けた。

 そこには黒目黒髪の冴えない感じのウィヌとは対照的な金髪碧眼の美少年がいた。豪華で重そうな装備を身にまとっており、事あるごとに勝負を挑んでくるそいつはウィヌの数少ない男友達だった。

 その少年の名前はヴァッカ=フォン=ジーザスである。この町を治める貴族一家の3男だ。3男で家を継がなくてよかった為、冒険者となったようだ。


「朝からなんだ、騒々しい」


 ウィヌは目を細めてヴァッカを見る。


「今日こそはこの町の若手最強の座を返してもらうぞ!」

「それならサナに挑めばいいじゃないか。なんで俺なんだ?」


 サナはウィヌと同じくこの町では若手最強の一角である。

 つまり勝負をする相手はウィヌじゃなくてもいいのだ。

 ウィヌがそう言うと、ヴァッカが残念そうに首を横に振る。


「女性に剣を向けるなんて⋯⋯僕には出来ない」

「「「キャー、カッコイイ!」」」


 いつの間にか彼の親衛隊の女達がウィヌの周りに集まっていた。彼女達はヴァッカに媚びを売っている若手冒険者だ。

 ――そんな事言って、どうなっても俺は知らねえぞ、ヴァッカよ。


「へー、そうなんだ」


 ヴァッカの横にいたサナが冷笑していた。

 サナは最初から一緒にいたのに、俺との勝負を意識するあまりヴァッカには見えていなかったようだ。

 ヴァッカの頰に汗が流れる。


「あ⋯⋯ああ、サナ⋯⋯。いたのか?」

「ええ、ところでさっきの話しなんだけど」

「ゴメン、僕ちょっとやる事あるから⋯⋯じゃあね!」


 ヴァッカは危険を察知したのか光の速度で離れて行った。

 そう、ヴァッカは⋯⋯ものすごくバカなのだ。

 ヴァッカがバカであるのはこの町では有名である。昔も今もヴァッカがバカであるエピソードは尽きない。


「えっ、ヴァッカ様!」

「ちょっと待ってください!」


 親衛隊の女の子達が戸惑いの声をあげる。


「あんた達なんて、ヴァッカ様が本気なら今頃けちょんけちょんなんだから!」


 ――残念だけどそれはないと俺は思うよ。

 ヴァッカはちょっと前、ウィヌたちとよく訓練していた。それはジュークの提案であった。ヴァッカの実力は若手最強のウィヌとサナの実力に勝るにも劣らないと思われていたからだ。

 しかし、ウィヌとサナの実力はヴァッカを軽く凌駕していた。サナはその頃にはもうドSだった事もあり⋯⋯後は言うまでもないだろう。


「一瞬で逃げて行ったわね」

「何? あの小物」

「ユナ、あまりいじめてやるな」


 ウィヌの言葉を聞いてユナは微笑を浮かべた。まるでイタズラがバレた子供のようだ。

 そんなやり取りをしていると、茶髪のロングヘヤーでメガネをかけた巨乳の美女がマイクを持っていた。この町のサブギルドマスターのウィーネである。

 サブギルドマスターとはギルマスの次にギルドで権力を持つ人間である。通称、サブマスと呼ばれている。


「これから私、ノーム町ギルドのサブマスのウィーネです。これから若手育成訓練、冒険者の心得を開始していきたいと思います」




 その頃、マスタールームにはジュークともう1人いた。


「――と言うわけで貴方にはこの町の若手最強であるパーティーを鍛えて貰いたい」


 ジュークはマスタールームにいるもう1人にウィヌ達を鍛えて貰うように頼んでいた。

ジュークが深々と頭を下げて続ける。


「貴方様がお忙しいのは重々承知しております。しかし⋯⋯どうかお願い致します」


 頭を下げられた少女は人差し指で頰をかいて頭を下げているジュークを見た。


「その中にウィヌという少年はいる?」

「はい、貴方様が名前を覚えられるって事は気に入られたのですか?」

「まあねー、前助けた時に戦いを少し見てたけど、気に入ったよ」


 ジュークが嬉しそうに顔を上げる。


「なら⋯⋯」

「うん、いいよ。彼はね」

「彼はと申されますと?」

「他の子達の実力も見ないと⋯⋯断言は無理かなー」


 もう1人は微笑する。

 ジュークはやはり一筋縄ではいかないと感じていた。それもそのはず、お願いしている相手は冒険者の中でも最強候補の1人。

 剣聖クレア=フォン=リーズベルトなのだから。



















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