第16話変人の集まり
こんにちは、トニーひろしです。
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後、最近忙しくなってきたので3日で1回投稿とさせていただきます。すいません。
次回は1日投稿予定です。
よろしくお願いいたします。
ユナが感情のこもってない間延びした声を出す。
「いやー、怠けるとかいうより旨味がないんですよ。正直、どう考えたって割に合わないよー。どうにかならないのー?」
沈黙タイムである。誰も声をあげない。
そこにいる冒険者達はユナの言葉を否定しない。今、圧倒的存在感を出しているジュークがいる中で否定意見がないという事は⋯⋯言わなくても分かるだろう。
皆、ユナの意見に肯定的なのだ。
ユナはニヤッと笑う。
恐らくジュークとの言い合いであまり勝ったことがないからだろう。
その笑いはひたすら黒かった。ラノベの悪役でも今時こんな黒い笑い方はしないだろう。
ジュークはユナに対してニヤリと笑い返す。
「なら、優秀な者達に褒美がある場合ならどうだ?」
そして突然そんな事を言い出した。
皆も頭上にハテナマークが浮かんでいる。
「褒美ってなによ?」
ユナはジュークに質問仕返した。期待はしていないようだが⋯⋯。
「ウィールス装備店で装備品を1人1品無料提供するっていうものなんだが⋯⋯どうだ?」
「――ッ!?」
ユナの目が大きく開いた。
ウィヌやサナなど今の会話を聞いていた冒険者達も驚いているようだ。
ザワザワ、ザワザワ。
周りがざわめき出す。
某ギャンブルアニメであるカ○ジを思い出すフレーズだ。
「どういう事ですかー?」
「詳しく説明頼むぜ!」
詳細を知りたい冒険者達が声を上げる。
ウィールス装備店はこの国では超有名装備店で、質の高さは他の追随を許さない。だが同時に価格も高く、装備1つで白金貨2枚なんて装備もあるそうだ。
とてもじゃないが、平民冒険者が装備できる物ではないのだ。
「そのままの意味だ。明日、ゴブリン掃討大会を開催する! ルールは簡単! 明日1番ゴブリンを狩ったパーティにウィールス装備店の装備を1人1品無料提供する! パーティメンバーは最高で4人だ。何か質問はあるか?」
「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」
皆、突然の事に戸惑っている。半数以上の口が開いており、そいつらは想像以上の間抜け面だ。
おもむろに1人の男の冒険者が手を挙げた。
「なんだ?」
「今日ここにいない冒険者達には伝わっているのでしょうか?」
「冒険者カードのお知らせ欄にこの事を記した。これで伝わっているだろう。ここには詳細も書かれている。そこに書かれていない事を質問してくれ」
ジュークが冒険者カードを見せながら言う。冒険者カードには多種多用な機能があるのだ。
お知らせ欄はギルドが重要だと判断した事を添付しておく欄で冒険者はこれを頼りに冒険者稼業をやっていると言っても過言ではない。
すると皆一斉に冒険者カードから詳細確認を始めた。
ウィヌ、サナ、ユナの3人も表情が真剣だ。
簡単にまとめると次の事が書いてあった。
・時間はこれが送信された次の日の朝7時から夜7時まで。
・討伐数は冒険者カードに自動的に記録される。
・次の日が来るまでにギルドに討伐数を報告に来る事。
実に簡単だ。
因みに、討伐数が自動的に記録されるのは今回のみ付与された特別な機能である。本来は討伐した証拠として魔物の部位を持って帰らなくてはならない。
まあ、今回の場合ゴブリンの数がすごいためそのような面倒ごとを減らすためにこのような機能をつけたのだろうが⋯⋯。
今度は女の冒険者が手を挙げた。
「なんだ?」
「なんで急に発表されたのか聞きたいんだが⋯⋯」
「うぐっ!」
ジュークが首を絞められた時のような声を上げる。どうやら痛い所をつかれたようだ。
「実はそろそろゴブリンを退治しないと町の経済に悪影響が出るようでな。どうにかして皆をやる気にしたいが残念だがギルドにはあまり金がない。そこでウィールス装備店に交渉をしてきたのだ。向こうもこのままでは物資の移動ができないと困っておるようだったからな。急な発表になって申し訳ない⋯⋯。それはこちらの落ち度だ⋯⋯。」
ジュークが言いにくそうにしていたのは発表が急になった事についてのようだ。しかし、その事はウィヌ達や他の冒険者達にとってはどうでもよかった。
今まで憧れるだけだったウィールス装備店の装備を装備できるかもしれない。
その事だけで皆、頭がお花畑になっていた。
所々から声が上がる。
とある場所では⋯⋯
「よっしゃああ! 絶対装備手に入れるぜ!」
「いや、俺がもらうぜ!」
「ならパーティー組もうぜ!」
「パーティー組んだ方が有利だな。優秀そうなやつに声かけていくぞ!」
男2人がやる気に満ち溢れていた。心なしか顔がキリッとしているように見える。
「なるべく女で!」
「分かってるって!」
「いくぞ相棒!」
「おう!」
2人は他の冒険者達に声をかけていく。
前言撤回。そいつらの顔は鼻の下をのばして、だらしなく緩んでいた。
童貞クサイ会話である。
またとある場所では⋯⋯
「アナタ! やるわよ!」
「おう! 任せとけ!」
夫婦でパーティーを組んでいるのか20代後半の男と女が向かい合っていた。
「なら任せたわ」
「えっ?」
「私、生理的にゴブリンは受け付けないの。ゴメンねー」
「そ、そんなー」
「それとアナタ張り切ってやらないと⋯⋯」
「やらないと⋯⋯?」
「飯抜きよ!」
「そ、そんなー」
夫は完全に尻に敷かれていた。誠に残念な扱いである。
今のやりとりで生涯独身を心に決めた冒険者が増えたことは言うまでもないだろう。女は怖いね。
そしてウィヌ達は⋯⋯
「やる気が出てきたー!」
「奇遇ね。私もよ!」
サナとユナはそのまま握り拳を固め⋯⋯同時にウィヌを殴った。
「グゴッ!」
ドシャッッッッ!
ウィヌが倒れ、地面を滑る。凄い勢いだ。
10メートル程移動して止まる。
「何すんだよ!」
そしてウィヌはすぐさま起きて、文句を言う。普通の反応だ。
「いや、握り拳作っちゃったし⋯⋯」
「有効活用した結果だ」
「理不尽だー!」
一般的にこのような行為をいじめと言う。
だが、あくまで一般的だ。
理不尽と叫びながらも顔が恍惚とした表情に変わっているのは流石としか言いようがない。
「「⋯⋯⋯⋯」」
元凶の2人も最早無言である。
そして、それ以外にも次々と騒がしくなっていく。その様子を見ていたジュークはため息を吐いていた。
そして小さく呟いた。
「なんでうちのギルドはこんなに変なのばかりなんだ?」
――本来冒険者になる者達は血気盛んで騒がしい連中が多いが、このギルドには変人が多すぎる。
だがそこでフッと笑う。
「だが、だからこそ見ていて面白い⋯⋯のだがな」
しかし、そう言った後、今までの気苦労を思い出し、その言葉を撤回したのだった。
こんにちは、トニーひろしです。
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