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勇者になるのは程遠き  作者: 蒼薔拓哉
第一章 王国騎士
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第一章 8 『魔法って本当に便利だ3』

爽快な朝だ。やはり早起きをするといい目覚めになり、とても良い気分になる。朝の体操を終え、宿場に戻ってきたロエルは出発の準備をしているカインを見る。


「おうおう、カイン順調か?」


そう、今日は遂に戦争へ出発するのだ。その為か王国騎士の人も忙しそうだ。ここから帝国までは1時間ほどだ。


マルセインは王国第2の都市にして帝国に一番近い都市なのである。


「ああ、もうほぼほぼ終わりだぜ。それよりシペラスがやばそうだ…」


ロエルはシペラスに目をやると飽きれた顔をした。シペラスの周りには荷物が散乱していたからだ。


「お、おいシペラス…お前まだ終わってないのか?もうすぐ出発式って言っただろ!!!そろそろ広場に行かないとどうなるか知らないぞ?!」


ロエルが朝の体操に行く前にシペラスには言ったはずだ。「すぐに出るから俺が帰るまでには準備終わらせとけよ?」と。なのに終わらせてないシペラスは一体何をやっていたのか。


「ああ、ごめんなロエル。寝てた」


カインよりもだらしないとは何事か。あのカインですらもう終わりそうなのだ。しかも理由が寝てただ。


「飽きれるぞ。シペラス……まあ、俺が手伝ってやるから…カインは終わったらクロノスを呼んできてくれるか?」


カインは「おう!」と言うと部屋から出て行った。準備が終わり、クロノスを呼びに行ったようだ。


「シペラス…一体これはなんだ?バナナにリンゴ…それにオレンジまで……お前はピクニック気分か?!」


お腹が空きそうだからと言い訳をしているシペラスだが、ロエルは容赦なく果物を没収した。他にも余分なものが沢山あったので全て没収した。


「よし…これで終わりだな。カインとクロノスが戻ってきたら広場に行くぞ。シペラスもすぐに出発出来るようにしとけよ」


玄関のドアが開くとカインとクロノスが立っていた。カインはちゃんとクロノスを呼びに行ってくれたようだ。


「ロエル呼んできたぜ。そういえば戦い場所ってどこなのか?帝国の領土で戦うとは聞いたが…」


知らないより知っていた方がやる気が上がるのだろうか。カインはロエルのそばに座ると催促するようにロエルからの返答を待っている。


「あーー知らない方がいいぞ??なんつたってあの危険地帯……コダマ平野だからな」


コダマ平野─────帝国の領土であり日が出ているうちはのどかな平野だ。しかし、夜になるとアンデッドが発生する危険地帯だ。凶暴なスケルトンやゾンビなどが発生する。最も危険なのがリッチというアンデッドである。


リッチはスケルトンやゾンビとは違い知性を持っている。しかも魔法を使うのだ。世にはアンデッドだけで構成されている組織があるらしいが、実態は不明だ。


「コダマ平野?!あの有名なコダマ平野か!!俺ぇはスケルトンやゾンビに会ってみたかったんだよな!だから俺ぇからすると超ラッキーだ!」


さっきよりもテンションが上がったカインはクロノスにちょっかいを出している。我慢をしているクロノスだが、我慢の限界のようだ。


「お、おい!貴様!!さっきから私の頭ををポンポンしやがって!無礼にも程があるぞ!や、やめろぉぉぉおおお」


カインはクロノスの頭を撫でている。クロノスは行動では嫌がっているようだが、内心ではあまり嫌がっていないようだ。


「もうじゃれるのはやめろよ。そろそろ広場に行こうな。もうそろそろ予定の時間じゃないか…?クロノス頼む」


クロノスが「タイム」と言うと直径10cm程の時計が浮かんできた。タイムと言う魔法は『碧属性魔法』だ。とても簡単な魔法だ。


「そうだな…もうすぐ6時だから行ったほうが良いな」


ロエルは忘れ物がないか最終確認をして広場に向かった。広場に行くと結構な若者達がいた。ロエル達は第43班なので43班の集合場所に向かった。集合場所に着くとレリスが台の上に立っていた。


『うわ、思考回路糞女だ。あいつとは話したくもないし、会いたくもない。43班嫌だな…』



しばらくすると点呼が行われ、全員いると確認をするとレリスの話が始まった。


「今から帝国の領土 コダマ平野へと出発する。ここからだと1時間ほどかかるのだが、魔法により馬のスピードを上げてある!予定よりもすぐに着くので皆、心の準備をしておけ!!すぐに戦争は始まるぞ!!!」


これはカソールという魔法だ。人や動物など動くものならスピードを上げることが出来る。生活から戦闘まで幅広く使える魔法だ。


「皆、馬車に乗り込め!あまり時間が無い!早急にとりかかれ!」


次々と馬車に乗り込む若者達は戦争が始まると実感したのかあまり元気がない。ただ1人を除けばだ。


「さぁ、ついに戦争が始まるぞ……俺のこの剣で敵をぶった斬ってやる。覚悟しろ………帝国!」


ロエルはそう言うと馬車に乗り込んだ。若者達全員が馬車に乗り込むと馬車はコダマ平野へと出発したのだった。

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