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勇者になるのは程遠き  作者: 蒼薔拓哉
第一章 王国騎士
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第一章 10 『王国VS帝国2』

「鬼人か。このような愚劣な存在がいるとは聞いていたが、見るのは初めてだ」


シペラスの頭からは短い白い角が一本生えており、体中の皮膚が赤色に変色している。そう、彼は鬼と人間の間に生まれた子。言わいる鬼人と言われる存在であった。


「こちらとてあまり見せたいものでもないからな。この戦いすぐに終わらせるぞ」


「そうはさせないぞ?鬼人=レアだろ??レア。何なら楽しまないと損損。俺様を十分に楽しませてくれよ?レアの鬼人さんよ」


その昔鬼と人間は敵対していた。そのせいか人間からの鬼の印象は最悪だった。禁断の恋というものか。ある日、人間と鬼の子が産まれた。


その男の子はすくすくと育ち、親は愛情を込めて育てた。だが、近くの村の村人に見つかってしまい両親は人間と鬼の子を作った罪として殺された。その時逃げた男の子が大人になり、両親を殺した国に奇襲を仕掛け、国を滅ぼして恐れられたことから鬼人と名ずけられた。


鬼人と言うのは最初は国を滅ぼしたこの男に限って言っていたが人間と鬼の子が増えたため人間と鬼の子=鬼人となった。


「レアレアうるさいぞ!」


シペラスが男の方に一歩踏み出すと遅れずと男も動きたした。動きは遅れて動き出した男の方が断然早い。


「くっそ……素早いな。ならこれならどうだ?」


シペラスが両手を合わせ何かを呟いている。これは鬼人に伝わる戦い方だ。左手が東手、右手が西手と呼ばれている。数秒経つとシペラスの手が赤くなった。顔の色とまさに同じ色である。


「噂通りだな!鬼人は鬼の技を使う事に鬼に似ていく!面白い!面白い!!こんな面白い生物見たことない!」


次の瞬間、男は軽いステップを踏みシペラスの目の前まで来ていた。シペラスは急な出来事に頭がついていかず、反応が遅れた。


「もらった………ッ!!」


男が剣を振り上げシペラスの頭部を狙った。その一撃は重く、普通の人間なら死んでいただろう。だが、シペラスは鬼人。普通の人間ではないのだ。


「効かないねぇな。鬼人だから。鬼の子だから!!」


自分の懇親の一撃が効かなかったことを認めたくなかったのか男は再び剣を振り上げ、シペラス体に剣を振り下ろした。だが、結果は同じで剣は果敢無く弾かれ、シペラスの体にも傷一つついていなかった。


「俺の剣が効かないだと……そんなのあってたまるか!いいはずが無い!こんな下等種族に負けるなど…!!」


男は諦めず剣を振り上げてきた。シペラスはその剣を掴み、ぐにゃっと曲げると男から剣を取り上げ投げ捨てた。


「こんな鉄の棒こうだ。さてと、君にはどう死んでもらおうかな。散々俺を馬鹿にし笑ったのだ。こんな男に天罰が落ちないわけがないだろう?」


何が起こるのか察したのか男は、シペラスに背を向け逃げ出した。必死に逃げていた男だが、呆気なく捕まった。するとシペラスは、男を両手で掴むと徐々に力を入れ男を潰していった。


当初、男は悲鳴をあげていたが、すぐに悲鳴は聞こえなくなり男は絶命した。


「もう俺もここには入れないな。上官にもこの姿見られちゃったしな。次はどこに行こうか……」


鬼は人間に嫌われている。鬼人も鬼と同様で嫌われている。鬼人に最初に被害を与えたのは人間だ。家族などを殺された鬼人からは、憎悪の心が芽生える。親を殺された。兄弟を殺された。子を殺された。こういった憎悪は復讐を産み復讐は団結となる。


やがて復讐に成功すると殺された側は憎悪の心が芽生える。このように復讐をすると負のスパイラルへの階段を歩むことになるのだ。誰かが止めなければならない。誰かが我慢をしないといけない。


「シペラス。お前……」


クロノスによって回復魔法をかけてもらったロエルが立ち上がりシペラスを見ていた。シペラスのあまりにもの変貌にロエルも驚きを隠せなかったようで、開いた口が塞がらないようだ。


「お、おうロエル。まだ傷が浅くてよかったな………今度は気をつけろよ?まだ……強い敵もいるから、な」


ロエルにこの姿を見られたのがショックで言葉が途切れ途切れになるシペラスであったが、シペラスはふとクロノスの方を見る。予想通りクロノスはシペラスの方を凝視していた。


「シペラスなのか?本当にシペラスなのか!?お前、亜人種だったのか?!おい!なんとか言ってくれよ!」


本来亜人種は、人間の敵なので自分達の敵なのではと言う疑惑がクロノスの脳を横切ったのだろう。ショックそうなクロノスだかロエルがクロノスの頭をぽんと叩きシペラスの方へ向かった。


「大丈夫だ。シペラス。安心しろ。俺らはお前を差別しないし、軽蔑もしない。だってほらお前は尋常ある優しいやつだろ?短い時間しか一緒に過ごしていないが、俺はお前をわかってる。安心しろよ。シペラス」


この言葉を聞きシペラスの目からは涙が溢れる。シペラスは何度も「ありがとう、ありがとう」と言い顔を隠している。


「いやいや、ありがとうを言うのは俺の方だよ。シペラスに命を助けてもらったから今ここにいるんだ。ありがとな」


シペラスは何度が頷きしばらくすると涙を手で拭って、気合を入れるために両手で自分の顔を叩いた。


「この姿を見てそんなことを言ってくれる人間は初めてだ。少し感傷的になってしまったな。ここは戦場だ。気持ちを切り替えよう」


「ああ、この戦争行きて帰ろうぜ!」



ロエルが一声かけると4人はまた戦闘態勢に入った。ロエルは先程のミスはこれからは絶対にしないと心に誓い、コダマ平野を進むのであった。


11話はなぶれく早く出そうと思います!

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