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ワールド  作者: セト
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始まりの時

力石(りきいし) (ごう)は超能力者だった。腕の力がまさに常人離れしており、今日も高級そうな民家の金庫の鍵を強引にぶち破り大金を盗んだ。力石は家主がオーストラリアに旅行に行っている事を知っていた。悠々と民家のドアから出ると、一人の小柄な男がニヤニヤしながら腕を組んで立っていた。名前は高梨 (たかなし とび)といい、こちらもまた超能力者だった。半径五十メートルなら全てを見渡せる能力を持っており、力石と組んで強盗を働いては逃走を繰り返していた。


力石「ほれ……チョロすぎだな」


高梨「現物なんて見なくてもいいって言ってるだろ?俺には全て分かるんだから。さあ、もう行くぞ」


力石「お前の千里眼には怪しい奴はいないんだろ。そんなに慌てなくても大丈夫だろ?」


高梨「まあ……な。近くにいるのはババァが一匹だけだ。本当に旧人って奴は無能だな」


そう言い捨てて、二人は歩き出そうとした。すると、老人がサングラスを掛け、杖で歩いている少年を手を引いていた。少年は左手で杖を持ち、右手には包帯を巻いていた。


老人「もうすぐ二宮さんの家だよ」


少年「すいません。あの、今声がしたんですけど誰かいます?」


老人「二人の男がいるけど……」


少年は写真を見せた。


少年「それってこの二人ですか?」


老人「ああ、そうだけど……」


そう言いかけた途端、少年はサングラスを外し二人の男を確認した。


高梨「力石、そいつを殺れ!」


そう叫んで後ろへ下がろうとするが、少年は走り込み、すでに高梨の懐に入って腹に強烈な蹴りを浴びせた。高梨は吹っ飛ばされてうずくまり、そのまま動かなくなった。力石は慌てて少年に殴り掛かった。少年は辛うじて力石の拳を交わした。力石の拳は外壁を突き破った。少年は二、三歩下った。そして、二宮家のドアの前に立ち、右手の包帯を外した。


少年「力石……異常な怪力の持ち主、でもこの右手の前では!」


そう言って、二宮家のドアに右手の拳を叩きつけた。途端に二宮家が一瞬にして崩れ落ちた。力石は思わずへたり込んで口をパクパクさせた。老人は二十代かのように全力でダッシュして逃げていた。少年は崩れ落ちた家を見て、呆然としていたが辛うじて力石の方を向いた。


少年「……こうなりたくなかったら、大人しくしろ」


力石「は、はい!何でも言う事聞きます。だから殺さないで下さい」


そう叫んで何回も土下座した。


少年「と、とりあえずここを離れるぞ!高梨を連れてけ」


少年はそう言って指をさした。力石は高梨をおぶって指差した方向に走り出した。


五分後、最寄りの小学校の運動場に着いた。そこにはヘリが停まっていて一人の女性が出てきた。女性は銃を力石に向けた。


女性「早くヘリに乗りなさい」


力石は素早くヘリに乗り込んだ。


女性「よくやったわね、陵」


女性は少年の事を陵と呼んだ。少年は八幡 陵(やはた 陵)と言い、警察特殊部隊バクの一員に一年前にスカウトされた。女性の名前はロマリーと言って、同じくバクの一員であり作戦指揮官だった。


陵「ロマリー……何なんだよこの右手は!触れただけで人殺しじゃないか!」


ロマリー「あら、お気に召さなかった?威力はあったでしょ?」


陵「あり過ぎ!威力見たとき、足がガクガクして崩れ落ちそうだったよ!それにあのサングラスは何なんだよ?」


ロマリー「高梨は用心深い男だ。千里眼の効果が無ければ、捕まらなかっただろう」


陵「その前に前が見えないんだよ!見知らぬ老人の力借りて標的まで歩かなくちゃならない欠陥品を何で着けさせるんだ?」


ロマリー「……まぁまぁ、予算無かったし、間に合わなかったし……何とかなったんだからいいじゃ無いか」


陵「全然良くない!」


ロマリー「とりあえず、高梨が起きる前に行くよ。ほら、早く乗って」


陵はブツブツ言いながらもヘリの方に歩き始めた。

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