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コタツ  作者: オセロ
3/3

第2話/夢遊病

「さぁぁ、やってきました陽一くんの番!俺様のラブラブ話うらやむなよ!!」


司会者気取りの陽一はノリノリで自己アピール。


「「・・・・・・・・。」」


全員の冷たい目線。


「勝手でいいな、こいつ」


ポツリと誰かが呟く。


陽一「そっそんな顔で見るなよ〜」





〔沢田陽一の場合〕




沢田陽一18歳高校3年生


現在の時刻午前7時32分21秒、地元の県立高校に向かって電車で登校中。



1月中旬、今日本国内にいる高校3年生は死にもの狂いで受験勉強に没頭しているさなか


その例外ではない俺、つまり沢田陽一18歳な訳だが


今朝5時ごろのことだっただろうか・・・。


同じクラスの女子に(しかもたいして話したこともなく三年間同じクラスでありながら隣の席になったこともない)


「落ちるよ」と冷たく言われる夢を見てしまった!!


あれは何なんだ!?俺が受験に失敗するという神からのお告げか!!?


確かに里ちゃん(担任)にも「もうちょっと回りを見てみてもいいんじゃない?」って言われたさ!


だからって・・・だからって・・・「ヒドイよ田中さん!!」



電車内で声を張り上げ叫び周りの人々の視線にも気づかず沢田陽一は学校に到着





6時間目、数学の授業俺はずっと田中さんに「お前も落ちろ」テレパシーを送っていた。



田中さんとは沢田陽一が夢で「落ちるよ」と言われた女の子で、沢田陽一の机から道を挟んで斜め右に席をかまえており大変に見やすいのだ。ついでに言うとショートヘアーのよく似合う結構かわいい女の子。


しかし今日はよく目が合うな(田中さんと)


まぁ多分俺がガン見しすぎてキモがっているんだろう・・・。


それとも俺のテレパシーが通じたのか?


むうっ!またこちをチラ見した、そんなに俺の顔がカッコイイか!!


いっいかんそろそろ止めなくては、本当に変態になってしまう。



おバカな沢田陽一はようやくそこに気付き、気をまぎらわすためズボンから携帯電話を取り出す



「沢田、廊下に立ってろ」



が、すぐに見つかりさわやかな笑顔で携帯電話を没収されてしまった。



RH終了後皆、受験勉強のため早々と帰宅する中、沢田陽一だけが授業中に携帯電話を使った罰として反省文を書かされていた。



くそっ!反省文とかなに書けてんだよ!?「ごめんなさい」ぐらいしかないだろ!!


学校中に数学の里ちゃんは教頭と不倫してるってバラしてやる!!



アホな沢田陽一くんは机に頭を押し付けて動かなくなる。



「何やってんの?」



頭の上から女の声、ついに閻魔様がお迎えに参られたか・・・。


ここはもう覚悟を決めて逃げるしか道はない。



「ごめんなさい!!」



沢田陽一は、勢いよく謝って逃走しようとしたところカバンが里ちゃんに引っかかって動けなくなる。



「えっ!?」



ああぁ終わった、さらば俺の人生、美しい日々たちよ・・・。



沢田陽一は恐る恐る後を振り返ると



「たっ田中さん!?」



沢田陽一18歳、突然の田中さん登場でマジうろたえる。

そう沢田陽一に声をかけたのは里ちゃんではなく、まさかまさかの田中さんだっだのだ!



「まだ書いてたんだ反省文」



田中さんは沢田陽一の席に座り「ごめんなさい」とだけ書いてある原稿用紙を見る。




「ぐっ、そんなことより田中さんは何しに来たんだよ」


「ちょっと忘れ物」



田中さんは立ち上がって自分の机をあさりだし、俺は自分の椅子に座りそれを眺める。


上半身だけをかがめ中をのぞき見る姿が妙に色っぽく感じられたのは俺がお年頃だからだろう。


ちなみにポイントは、太もも!あの角度がたまらない!!


静かな教室に男女2人っきりかなりの確立で誰も来ない、さぁどうする俺!!

   

・・・・・・いやさ、やっぱ俺って紳士なわけだしさ・・・ありえないよね・・・。



沢田陽一はチキンであった。



ってか田中さんいつのまにまた隣に?そしてなぜ顔が赤いんだ?


あっ、もしかして俺が脳内会話中に何かしゃべってた!?


うわっ、絶対そうだ!つーかなんでこんな聞き返しにくいふいんきに・・・?



1人で勝手に困惑する沢田陽一を見てさらに赤くなる田中さん。

今度こそどうするのだ沢田陽一!!



「・・・俺、田中さんのこと好きかもしんない・・・」



「はっ!」とすると今さっきまで隣にいた田中さんがテーブルを挟んで目の前に。沢田陽一も横を向いていたはずなのに気が付けば正面を見ていた。



えっ?田中さんの髪って瞬時に伸びちゃったりするの?つーか田中さん?



沢田陽一の目の前にいる女性はジュースを飲みながら驚いた表情で沢田陽一を見る、さっきまでいた田中さんよりも大人びた顔で髪も長く私服であった。




「えっ、知ってるよ。ってか何で今さら田中さん?」



目の前にいる田中さんは、目を丸くしてストローから口をはなした。よく見ればここは大学近くの喫茶店内。沢田陽一は慌てて回りを確認すると再び硬直したままテーブルに頭を押し付けた。



「俺、ヤバイかも。病院行ったほうがいいかな・・・?」


「ヤバイのは今さらだし大丈夫じゃん?」



田中さん改め俺の彼女は笑いながら頭を突っついた。

その日一日中このネタでからかわれたのは言うまでもない・・・。





「みたいなことがあったらいいなぁ〜って夢見てる今日この頃」


「えっ?つくり!?」



俺は、間抜けな声で聞き返した



「失礼な。妄想だ!!」


「いや、威張るとこじゃないし」



すかさず広の冷静な突っ込みがはいる



「そういえばお前彼女いなかったな・・・・。」


「ってか、誰だよ田中さん〜」



呆れたように俺と健太は呟いた



「はい!次いこう次!」



みんなのテンションが下がる中、陽一だけが無駄に元気だったのは当然と言えよう・・・。





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