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⑨盲目の聖女と国交会議

~ 国交会議 ~


とある一国が魔王に滅ぼされた事により各国が魔王討伐という共通の目的が出来た事により各国の代表が集まる事となった。

それが国交会議である。

第一回国交会議は魔道国家マグワリアで行われた。

その中で聖女召喚が可決された。

それが数ヶ月前の話であった。

本来なら国交会議は年一回の予定であった。

しかし、召喚された聖女が盲目であったことから各国からの要請により臨時国交会議を開く事となった。


会場は聖女召喚の技術を持つユニアース国で行うこととなった。

国交会議と言っても各国の代表が一つの場所に集まる訳ではない。

魔王の驚異にさらされているなかで国の代表が長期に不在する訳にはいかないからだ。


会議はユニアース国の一室。

室内には円卓の席に各国の代表が魔法映像で写し出されていた。

会議が始まると一人の男が会議室に呼ばれる。

先日、魔物調査を行った第一騎士団長のルキウスであった。


「─以上で報告を終わります」


ルキウスがこの場に呼ばれたのは先日行われた魔物調査にて召喚された聖女について報告するためであった。

魔物調査には問題が発生したがその部分は口外禁止事項となっていた。

魔力残渣の調査で第二騎士団の数名が聖女を攻撃したなど知られればユニアース国の立場が危うくなるからだ。


今回集まった各国の代表が懸念していた盲目についてルキウスの報告内容は十分に払拭させる内容であった。

しかも各国から飛び交う質問も聖女として問題ない事を返答した。

これで皆が納得して会議が終るものと思われた。

ルキウスを退出させると再び各国が話し出す。


砂漠の国サザランド代表

「盲目と聞いていたから心配したけど凄いじゃない。彼女を聖女と認定してもいいんじゃないかしら」


緑葉の国ユーグリア代表

「そうだな。早く聖女様の身の安全を整えた方が良いだろう」


極寒の国アイスノースト代表

「私も賛成だ。聖女様の育成計画に進んで良いかと思う」


魔道国家マグワリア代表

「それは早計では?今回はたまたま上手く行ったが、盲目と言う事で失敗に終わる危険性は排除出来ないのでは?」


渓谷の国ウィンディア代表

「その心配を払拭させるために今回の魔物調査に参加させたのでしょ?」


魔道国家マグワリア代表

「だが、例えば彼女の喉が潰れてしまったらどうする?体調を崩した時はどうする?」


緑葉の国ユーグリア代表

「それは盲目とは関係ないのでは?貴殿の不安は聖女としての批判としか思えんのだが?」


魔道国家マグワリア代表

「慎重な考えが悪いかな?あらゆる危険性を考えていく事は大事かと思うが?」


緑葉の国ユーグリア代表

「しかし─」


殆どの国が今回の魔物調査での聖女の活躍をかなり評価しているが、マグワリア国の一国だけはそれでも『聖女』としての不安を訴えかけていた。

今回の召喚の儀式に多くの魔道士を派遣してくれたのがこのマグワリア国だ。

その為、他国もマグワリア国の意見を無碍には出来なかった。

しかし、このままでは堂々巡りで話が纏まらない恐れが出てきた。


「ユニアース国の大臣は召喚の儀式の責任者だったらしいが、大臣の意見を聞かせて欲しい」


突然、マグワリア国がユニアース国の大臣の話を聞きたいと言い出してきた。

何故に大臣の話を?


「今回の召喚の儀式では大臣は責任者から外れていた。彼の意見を求める必要性はないかと思うが」


「外されたと言う事は以前は担当していたと言うことだろう?ならば専門的な意見を聞くのは必要かと思うが」


ユニアース国の国王はマグワリア国の要請を拒否しようとしたが、他国がマグワリア国の意見に賛同した。

皆が賛同する以上、ユニアース国の国王は頑なに拒否をするわけにもいかないため、早急に来るように指示を出した。


ユニアース国の国王は何かしらの不安が刺のように胸を刺す。

証拠はないが今回の魔物調査で処分された第二騎士団数名は大臣と繋がりがあった者達であった。

大臣は明らかに聖女に悪意を抱いている。

その悪意を持っている大臣を聖女を否定しているマグワリア国の国王が要請したのは偶然とは思えないでいた。


大臣はまるで待機していたかのように直ぐに会議室に訪れた。


「今回の魔物調査で聖女ミユ殿を評価しても良いかと思います。ですが、マグワリア国王陛下が申されますように懸念は拭い切れないか事でしょう。ならばいっそうの事今一度、召喚の儀式を行ってみてはどうでしょうか?」


大臣マグナスの発言にユニアース国王は目を大きく見開き大臣を見ていた。

自身の考えと全く違う事を大臣が口にしていたからだ。


「ワグナス!お主は何を言っているのだ!今回の召喚の儀式は上手く行ったが、それまで2回失敗して優秀な魔道士を失っているのだぞ!」


「国王陛下安心して下さい。マグワリア国から派遣して頂いた魔道士の一人が今回の召喚の儀式の成功は儀式のタイミングであることを判明して下さりました。彼はまた儀式を行うなら術者になっても良いと申してくれております」


「我が国の魔道士の命を危険に晒したくはないのだが、世界平和のためだ、そんな事も言っておられんのでしょう。本人が志願しているのなら我が国も協力致しましょう」


マグワリア国王と大臣ワグナスの胡散臭いやり取りを懸念に思う国王もいたが、殆どの国が賛同したため、再び召喚の儀式が行われる事となった。

責任者は大臣のワグナスとなった。

まるでマグワリア国とユニアース国大臣の思惑通りとなった臨時国交会議は幾つかの国が不安を覚えながらも終了することとなった。




~ ワグナス大臣 ~


予定通りだ。

予定通り召喚を行う事となった。

しかも私が責任者だ。


国交会議終了後、会場室内は皆が退席し各国の代表者が写し出されていた映像も消えていた。

明かりも消え薄暗い室内にワグナス大臣は入っていった。


「イグノス陛下、協力して頂き感謝致します」


明かりも消され独り言のように喋り始めた。

すると、先ほどまでマグワリア国の代表を写し出していた魔法映像が再び代表を写し出した。


「こちらは約束を守ったぞ、後はお主が召喚した聖女を我が国に連れてくる事だけだ」


「お任せ下さい。約束は必ず守ります。ですが、もう一つの約束である、私を陛下の側近に迎い入れて頂けると言う話もお忘れなきようお願いします」


「その件は安心して良い。既に参謀の席を開けてある。あとは貴殿の働きしだいだ。我が国の魔道士達には貴殿に協力するように伝えてあるから好きなように使うが良い」


「おお、感謝いたします」


「では楽しみにしているぞ」


再びマグワリア国の映像が消えると、室内から一切の明かりが消えた。

ワグナスは先週、マグワリア国の参謀が失脚した情報は仕入れていた。

そこの地位に自身が就くと完全に信じ薄暗い室内で高笑いが止まらなかった。





~ ルキウス視点 ~


魔物調査も無事に終わり国王陛下へ報告をするため謁見を求めた。

国王陛下に報告後、第二騎士団数名が処罰される事となった。

第二騎士団が行った行為は機密案件となり口外禁止となった。

残念なのが、あの大臣までの繋がりを追求することが出来なかったが、まぁ上出来だろうと、国王陛下への謁見が終わり一段落したと思っていたところ、陛下から『臨時に国交会議を開く事になったのでその場で説明を求む』と言う通達が届いた。


オイオイオイオイ!!!!

聞いてませんが!?

国王陛下への謁見でさえ緊張するのに各国の代表者が集まる中で説明しろと!?

こんなことなら聖女との魔物調査なんか断れば良かった。


室内に入ると各国代表の視線が自身に集中した事で自身だけ重力が数倍になったかのように一歩一歩と歩む足が重く感じた。

会場は円卓で、その中心で説明をしろと言う。

ここは裁判所か?

俺、何か悪い事でもしたのか?

何も悪事は働いていないのに何か責められているような圧が体中にのし掛かり、思わず「私がやりました」と口から出そうになってしまった。


どうにか、説明を終えた。

質問が飛び交いまだ続くのかよと思ったが、どうにか第二騎士団の件を話す事なく話を終え退席する事が出来た。

だが、会議終了後に結果を聞いたら今一度召喚の儀式を行うこととなったと言う。

何故だ?

俺は彼女は聖女で間違いないと聖女の凄さを説明したはず・・・

なのに何で今一度召喚を行うのだ?

もしかしたら間違えて説明してしまったのだろうかと思い、国王陛下にお会いする機会があった時に聞いて見たが俺の説明は間違いなく国王陛下に伝わっていた。

ならば何故・・・


盲目聖女が聖女であると困る国がいるようだ。

偉い人の考える事は解ならない。

もし、召喚が成功し聖女が二人になったら、世界は二分するのではないか?

その場合、私は・・・

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