⑤盲目の聖女と王太子
メイさんが「信頼出来る方をお連れしました」と言うから何方を連れてきたのかと思ったら、まさか王太子様が直接来られるとは・・・
確かに王太子からは悪意は感じられない。
信用できるか出来ないかと問われれば信頼出来る人だと思う。
「初めてお会いした時は心配致しましたがお元気そうで良かったです」
王太子殿下と私は初対面ではない。
召喚後に国王陛下と会った時に陛下の側に王太子殿下も座っておられた。
しかし、挨拶は国王陛下のみとしかしていなかったため、言葉を交わすのは今回が初めて出会った。
「能力について伝えたいことがあると聞いたけど、大臣に話した事と何か違うのかい?」
どうやら王太子殿下は例の大臣から話を聞いていたらしい。
「恐れ入りますがどのように話を伺っているか教えて頂けませんでしょうか?」
「・・・解った。大臣からは君が保身のため魔王討伐に役に立たない能力をあたかも神と出会って気付いたと虚偽を吐き、突然に攻撃してきた。貴女の事を危険人物であるため、このままここに居させるのは危険だから私にに預けて欲しいと伝えられた」
いやいや、あんな怪しい感情を丸出しにした者の元に預けられれば、お先真っ暗、生き地獄確定となってしまう。
私は王太子殿下に経緯を説明し、大臣から証拠を示せと言われたから能力を使った事や大臣からやらしい視線を感じるから大臣の元には行きたくない事を伝えた。
「1ついいかな?君は目が見えないと聞いているがどうやって視線を感じ取れたんだい?」
私の話に疑問を抱いた殿下が質問をしてきた。
的を射た質問だ。
私は正直にもう一つの能力『ジャッジ』について説明することにした。
「大臣には伝えておりませんが私には他に『ジャッジ』と言う能力も授かりました。この能力で相手が虚偽を述べているか、どのような感情を抱いているかが解ります。もし、お疑いでしたら試されて下さって構いません」
私の言葉に王太子殿下は考え込むも負の感情は抱いていない。
かといって、好意的にも思われていない。
まだ判断するには早いと思っているようであった。
「それなら遠慮なく試させて貰おう。実は今回の儀式には各国から有名な大魔道士が集められたのだけど、あのレベルの魔道士が集まることなど今後はないだろうね」
「真実ですね」
「実は今回の召喚の儀式は4回目なんだけど」
「虚偽が混ざっております」
「他の国が失敗をし続けて今回はこの国が行うことになった・・・」
「虚偽ですね」
「でも驚きだよね。各国から集まった大魔道士がサポートで術者はしがない図書員何て信じられるかい?」
「えっ!本当何ですか?」
「本当だよ。実は私が裏で推薦していた事は内緒だよ」
「それも本当なのですね。何故、図書員の方を推薦されたのですか?」
「彼とは同級生でね。一度、彼の論文を見させて貰った事があるのだけど、あの論文はBマイナー程度の論文ではない。彼の論文は素晴らしかったよ」
「それも真実なのですね」
「成績も優秀でね。彼には一度しか勝てなかった」
「えっ!嘘なんですか?」
「・・・・正解、私は一度も彼には勝てなかったよ。流石だ、君の能力と話を信じよう。父上には私の方から訂正しておこう。それと、大臣が君に近付けないように配慮するとしよう」
良かった。
王太子様には良い感情で終える事が出来た。
彼なら陛下に偽りなく伝えて下さる。
しかし、召喚の術者が図書員とは驚きの事実を聞かされたわ。
~ ユーリ王太子殿下視点~
「お主も大臣から聖女について聞いたか?」
「はい。ですが、私には大臣が話す聖女と父上と謁見していた時の聖女とはかなり印象が違うように思えました」
初めて出会った彼女の印象は『疑心』であった。
彼女は何処か疑っているようであった。
少なくても私共に庇護を求める素振はなかった。
まぁ、あの大臣が述べた事が真実とは思えない。
父上も同じように思ってか、大臣に彼女を預けようとはしなかった。
「私も同意見だ。そこでお前に彼女の話を聞いてきて貰いたい」
「私がですか?」
「うむ。実は聖女様は大臣が信用出来ないらしく、信頼出来る者に今一度説明したいらしい」
盲目なのに?
何をどう感じてあの大臣の胡散臭さを感じ取れたのだろうか・・・
もしや盲目というのは嘘?
いや、そのような嘘を述べる意味がない。
「解りました。私が今一度説明を聞いて参ります」
そうだ、調節確めた方が早い。
どうやって大臣が信用できないと見抜いたのか。
本当に目が見えないのか。
彼女は信用しうる者なのか。
彼女の部家に訪れると私は不甲斐なく彼女の姿に魅了されてしまった。
彼女と既に一度会っているはず。
しかし、メイによって整えられた彼女の黒くて長い髪が彼女の美しさをより際立たせていた。
一瞬ではあるが、心を奪われた私自信を情けなく感じ、気を引き締め直した。
彼女の元に出向いて事は正解であった。
大臣が証明しろと述べたから能力を使った?
大臣の方が威圧的な態度であった?
彼女の話と大臣の話は異なる所が多々あった。
私は彼女の近くに立つメイに目線を送るとメイは何も申さず頷くだけであった。
メイは王家の影だ。
そのメイが嘘を付く訳がない。
しかし、彼女の話には1つ気になるところがあった。
視線を感じたと言うが、目が見えないのにどうやって感じたのだ?
それを問うと彼女はもう一つの能力を教えてくれた。
『ジャッジ』
嘘や感情を見抜く力。
これが本当なら魔王討伐有無に関わらず、重宝しなければならない力だ。
私は試すことにした。
見事に全て正解だ。
完璧に私の嘘を見抜いている。
だが、まだ信用出来ない。
何処かで今回の儀式について聞いたかもしれない。
私だけしか知らない情報も告げてみた。
これも全て正しいかった。
彼女の能力は間違いない。
『音の聖女』
なんと恐ろしい。
恐らく彼女には他にも能力があるはず。
遠くの声を聞き取る能力を持っていてもおかしくない。
これは父上に助言して悪しき者を見定めるために彼女を大事に扱って行かなければならない。
最後に彼女から魔法について問われた。
彼女は風魔法の特性を持っているらしい。
なるほど、音の聖女と風魔法の組合せは無限の可能性を感じる。
まほうを教えてくれる者を探しているか・・・
丁度良い。
知り合いに今にも図書員を解雇されそうな知人がいる。
彼なら彼女と上手くやって行けるだろう。




