③盲目の聖女と神
~ 美優視点~
メイさんに部屋まで案内されけど、本当に一晩過ごすみたい。
流石に困ってしまったとベッドに仰向けになっていると目の前が突然に光輝き出す。
少しすると強い光が徐々に弱まると、目の前に光が人型に集合したような物体が立っていた。
今度はどういう設定かと困惑していると、光の集合体から声らしきものが聞こえてきた。
光の集合体は自身を『神』と名乗っていた。
「あなたが神様である証拠を教えて頂けませんか?」
なんか、何処かのYouTuberみたいなひねくれ者的な返しとなってしまった。
だけど、突然に異世界だの聖女だの言われた次は神であるとか、不信に思ってしまうのも仕方がなかった。
なので、どうせドッキリの延長だろうと自称国王に言ったように自称神にも証拠を示して貰うように言ってみた。
「証拠か・・・君はかなり疑り深いね。盲目の君が私の姿を捉えている事が証拠だと思うのだけど?」
言われて見れば!
光の集合体に言われハッとした。
確かに盲目な私が光を感じる事などあり得ない。
まして人型とどうして認識出来たのかも不思議に思えてきた。
と、言う事は目の前の光景は・・・夢?
私はいつの間にか眠ってしまったの?
「今度は夢で逃げられちゃうか。困ったものだね」
「えっ!心の声が・・・」
「神だからね。それよりも『ステータスオープン』と唱えてみて。こっちの世界なら君のステータス画面が見えると思うよ」
自称神に言われた通り私は「ステータスオープン」と唱えると目の前に文字や数字が描かれた画面が現れた。
名前 如月 美優
年齢 21歳 性別 女性
LV 1
HP 20 MP 10
力 5 守 1 速 1 運 1
魔法 風
スキル 音の聖女
えっ!
本当に見えた。
と、言うことは・・・
ここは本当に異世界!?
「やっと気付いてくれたようだね。まさか目が見えないと言うだけでここまで弊害があるとは思わなかったよ」
自称ではない。
目の前にいるのは本当の神。
その神様にて本当に異世界に召喚された事を教えられた。
私はショックで四つん這いに崩れ落ちた。
だってドッキリでないなんて・・・
皆に自慢しようと思ったのに・・・
「君は面白いね。異世界召喚と聞いて考える事は先ずそこかな?」
アレ?
四つん這いに倒れ込んだまま1つの疑問が浮かび上がった。
画面が見えるようになっても私には解らないはず。
私は文字や数字を見たことがないため、表示されても解らないはず・・・
「気付いた?この画面は君の脳に直接繋いで、脳が認識出来るようにしてあるよ。だから『漢字や文字を習っていない』君でも読めるようなっている」
凄い。
これが神の力なのね。
でも・・・
「あの、何で盲目の私が異世界に召喚させたのですか?」
異世界への召喚が事実だったとして、どうして私なんかが選ばれたのかが疑問に思った。
魔王討伐のための召喚なのだから、適任者を召喚させるべきだったのでは?
「君の言う通り適任者を選ばせて貰った。
この世界の人達の望みは『魔王の討伐』であった。
その為、その素質が最もあった君を選ばせて貰ったよ。
君の目が不自由な事は知っていたけど私自信も目を持ち合わせていないせいか些細な事だと思っていたのだが、人の世では目が見えないと言うだけでここまで弊害が生じるとは思わなかった。
君には申し訳ないと思っている」
「あ、気にしないで下さい。こうして無事に能力も解りましたので。
あとは現実世界で訓練して鍛えていきたいと思います」
「それがだな、本来なら神託と言う形で常にステータス画面にスキル成長の助言を送るのだが、現実の世界ではステータス画面を見る事が出来ないため訓練する事は難しい。
なので、この世界で鍛えて行かなければならない。
現実の世界では魔法の訓練に集中しこの世界でスキルの訓練をしていく事になる」
「神様が鍛えて下さるのですか?」
「ああ。君をこちらの世界に選んだ責任がある。少しでも君には幸せに過ごして欲しいからね」
「あ、ありがとうございます」
「今日は君に信じて貰うために現れただけなので明日から鍛えていく事にしよう」
「待って下さい。このままでは恐らく私は夢を見たのだと思ってしまいます。この出来事が夢でないことを示せる程度に鍛えて貰えませんか?」
十中八九、私は夢と思い、再びドッキリと思って過ごすことになる。
神様は少し考え込み、それではと三つの能力について教えて頂いた。
【サイレント】
音を封じる能力。
対象者や範囲の音を消し去ったり、会話が外に漏れなくさせる能力。
ただ、この能力には使用する際に注意された。
人は無音の世界に慣れていなく、十分程で正常でいられなくなるらしい。
【ノイズ】
遠く離れた人や物の声や音が聞くことが出来るらしい。
【ジャッジ】
対象者の心音から感情を読み取れるようになる。
また、会話によって対象者が虚偽を述べているかの判断も出来る。
なんて便利な能力なのかしら。
この能力で魔王を倒せるとは思えないけど、面白い能力ばかりで目が覚めたら試すのが楽しみだ。
~ 神視点 ~
人間とは勝手なものだ。
召喚の儀式を行うなら最も安全なタイミングで行わなければならない。
不完全な状態で行えば呼ばれた者の生命に危険が生じるため、そのような状態での召喚は弾き返していた。
人の世界も時代と共に質が落ちたようだ。
昔はこのような事はなかった。
だが、今の人の世は一度失敗したにも関わらず、二度目も疎かにしてきた。
これにより、術者が消失する事になったとしてもしょうがない。
何の覚悟もなく連れてこられるのだから、その者の命を最優先にしなくてはならない。
少し間があいて漸く三回目にしてベストなタイミングで儀式が行われた。
願いは前回と同様で『魔王討伐』であった。
魔王討伐ともなると、その素質があるものは少ない。
見たところ二人ほど候補を立てる事が出来た。
しかし・・・
一人は性格に難がある。
この者が異世界にいけば、違う意味で世界が滅ぶかもしれない。
ならばもう一人の子にしよう。
もう一人の子は目に障害を抱えていたが、能力を与えれば問題ないだろうと、盲目の子を連れていく事にした。
まさか、目が見えない事でここまで弊害があるとは予想外であった。
人間にとって視力というものは重要なものなのだな。
人の手では彼女を鍛える事は難しいだろう。
そうなると、彼女の身が危険にさらされてしまう。
この世界に連れて来た以上は、そんな事は許す訳にはいかなかった。
彼女に異世界に来た事を認識させ、私が直接鍛えるとしよう。
結果、彼女は異世界に召喚された事を理解してくれた。
が、まさかショックと思う所がそこなのか?
なんとも面白い。
彼女には是非幸せになって欲しい。
取りあえず、今回は召喚された事を信じて貰えたからよしとしようと思ったが、なるほど夢と思うか。
確かにその可能性は高かろう。
ならばと、彼女にスキルを三つほど教えた。
これを現実の世界で行えば、夢ではなく本当であったと思うだろう。
彼女には頑張って貰わなくてはならない。
そうでないと、彼らは今一度、召喚の儀式を行うだろう。
魔王を倒せる素質がある者は今一人いる。
しかし、この者の性格はこちらの世界に魔王と違う驚異をもたらす危険がある。
出来ればこちらの世界に迎え入れたくない。
彼女には頑張って貰わないと・・・




