②盲目の聖女と国王陛下
国王陛下に会って欲しいと別の部屋に連れて行かれた。
移動時の道程が長い事に驚かされた。
多分、廃校か廃病院でロケしているのね。
なんか壮大なドッキリに私が選ばれた事へのときめきと、私のせいで大掛かりなドッキリが台無しになるのではと言う申し訳無さと真逆の感情が融合されていた。
別室には一人の男性が国王と名乗る。
そして、私が召喚された設定を教えて頂いた。
設定としては五年前に魔王が復活したことにより各国が各々で魔王討伐に向けて戦っていたが、とうとう一つの国が魔王軍によって滅ぼされてしまった。
これにより各国が協力するようになり、この国に伝わる聖女降臨の儀式に積極的に参加するようになった。
ふむふむ・・・
なるほど・・・
と言う事は・・・
どんなドッキリ?
『盲目な女性は異世界と言われて信じるのか?』的なドッキリ?
と言う事は彼らは私が目が見えない事を知っている?
知っていてドッキリを仕掛けてきたの?
障害者のドッキリを見て世間は笑うのだろうかと疑問に思っていると、自称国王が『聖女の証拠を見せて欲しい』と言ってきた。
ハイハイ、ここで私に可笑しな言動や行動を取らせようって事ね。
なるほど、なるほど・・・
だが、断る!
ここは意趣返しとして『先にここが異世界であると証明して欲しい』と告げた。
自称国王がステータス画面に載っていると告げて来たが残念ながら私は画面を見る事は出来ません。
「誠に申し訳ございません。私は目が見えないため、そのステータス画面を見る事は出来ません。それゆえ、どのような能力を授かったか解らないのです。それに、申し訳ないのですが、ここが異世界だと言うのも疑っております。目が見えない私を皆が面白可笑しく見ているのではないかと・・・
もし、ドッキリでしたら今回は失敗として私を家に帰して頂けませんでしょうか?」
ハッキリとドッキリと言ってみた。
どんな返答が返って来るか待ち遠しい。
「すまぬ。召喚の儀式は呼ぶ事は出来るが送り込む事は出来ない。ゆえに、そなたを元の世界に戻すことは出来ないのだ」
そう来ましたか。
異世界転移あるあるの返答に少しがっかりしたが話にのってあげましょう。
私は更に斜め上をいく発言をしてみようと思った。
今度はどんな返しが来るのか楽しみで仕方がない。
「誘拐と言う事ですね?」
この発言に周りに控えていた人が「不敬な!」と怒鳴り始めた。
演技が上手い。
自称国王の「静まれ!」の一言で静まり返るなど見事な演技。
これは負けてられないわ。
ならばと、私はバッグの中から携帯を取り出す。
本当に警察に電話をすると後々大変だろうから天気予報に掛けて相手を慌てさせてみよう。
アレ?
おかしい?
アレ?
携帯が繋がらない?
どういう事?
まさか・・・
『電波妨害!?』
まさか、ここまでドッキリでやるかと感心してしまった。
しかし、これだけ大掛かりな仕掛をして、オチはどうするのだろうか?
私は疑問に思い、自称国王に『どういたしましょうか?』と問いたところ、『今宵はもう遅すぎる。部屋を用意してあるので、そこで休まれよ』と言われた。
嘘でしょ!
日を跨ぐの?
家族に今日は帰れないと伝えて欲しいと頼むが『すまない。それは出来ないのだ』と断られてしまった。
出来ないのだって、家族が警察に連絡したらどうするつもりなのだろうか。
取りあえず、私はメイと言う名の女性に部屋まで案内して貰った。
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今日は三度目の召喚の儀式が行われる。
恐らく失敗するであろう。
既に二人の魔道士が失敗して命を落としている。
此度の術者は図書員だと聞く。
彼には申し訳ないが全く成功する兆しが見えない。
何故、こんな事になってしまったのだ。
魔王城に近い国が魔王により滅ぼされた。
これにより各国が協力するようになったのだが、まさか召喚の儀式を行う事になるとは・・・
冗談じゃない。
また、我が国の優秀な魔道士を失うわけにはいかないと、我が国から術者は出せないと各王に告げた。
これで皆が諦めてくれるだろうと思ったのだが、学生時代に召喚の論文を書いた者がいると言う話になり、その者が術者となった。
その者は成績は優秀であったが、根拠のない論文にどう評価したら良いか悩やみギリギリ合格のBマイナーの評価をしたと言う。
Bマイナーが成功するのだろうか・・・
今回も失敗に終る。
次は各国から我が国の魔道士を術者にしろと責められるであろう。
拒否する事は難しい。
しかし、我が国の魔道士も失いたくない。
どうにかならんものかと考え耽っていたところ、異世界から聖女が現れたと言う報せが届いた。
まさか、図書員が成功させたのか?
これで我が国の魔道士を失う事はなくなった。
成功させたのが我が国の魔道士ではなく、他国出身の一図書員という事に思うところがあるが、そんな事は些細な事だ。
これで魔道士を失う事もなく、聖女に協力して貰い魔王討伐に全力で挑む事が出来る。
ワシは安堵で胸を撫で下ろしていた。
しかし、次の報せに私の考えは打ち崩された。
召喚された聖女は目が見えない?
目が見えない者がどうやって魔王を倒せるのだろうか?
いや、そもそも魔物すら倒せないのではないか?
取りあえず、聖女をワシの元に連れて来ると言う。
先ずは聖女と話をするとしよう。
聖女が私の前に現れた。
杖で床を叩きながら現れた姿を見て、目が見えないのは確かのようだ。
しかし、困ったぞ。
ステータス画面は本人でなくては見ることが出来ない。
よって彼女がどのような能力を授かったのか誰も解らない。
私の問い掛けに「先にここが異世界であると証明して欲しい」と言われた。
もっともな事だ。
しかし、どうやって説明すれば良いのか解らない。
一先ず、ステータス画面をと思ったが、案の定、画面が見えないらしい。
『ドッキリ』とはなんなのか解らんが、それと疑っているらしい。
彼女に帰して欲しいと頼まれる。
申し訳ない。
私は正直に帰す術はないと伝えると彼女は誘拐と勘違いをした。
重臣が不敬と騒ぎ出すが、私はそれを制す。
彼女は悪くない。
突然にこのような場所に連れてこられてのだ不安に想う発言や行動は仕方がない。
しかも彼女は目が見えないのだ。
すると、彼女は袋から四角い金属を取り出すと耳に当てあり振りだしたと、奇妙な行動をしてきた。
何をしているのか解らん。
すると、聖女から『どうしましょうか?』と問われた。
確かに何らかの答えを出さないと行けないのだろうが、取りあえず聖女には部屋で休んで貰おうと、従者に部屋まで案内するよう命じた。
さて、本当にどうしたものだろうか・・・




