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⑪盲目の聖女と猛毒の聖女

~ 美優視点 ~


「あっ!ミユ先輩~、初めまして新しく聖女として呼ばれました三ノ宮弥生です~。弥生と呼んで下さい~」


彼女は先日召喚された聖女。

神様が危険な人物として忠告された人物が私の目の前に現れた。

今日、聖女同士の顔合わせと言う事で王城内の一室を借りてお茶会を開く事となったからだ。

最初の印象はちょっと甘~い喋り方をした普通の女性にしか見えず悪意などは感じられなかった。


「初めまして弥生さん、如月美優です。先輩と言っても数ヶ月しか違わないから美優で良いですよ」


「え~でも~年齢からしても人生の大先輩だし~どうしよう~?」


前言撤回。

言葉にも悪意が感じられた。

弥生さんは私より5歳ほど若く見た目はピンクブロンドの髪の可愛らしい女性であった。

そう、たった5歳しか年齢が変わらないので人生の大先輩なのでは決してない。

人生の大先輩と余計な一言にイラッときてしまったが、ここは大人な対応をしないとと、眉間に皺を寄せないように気を付けていた。


「ならばミユさんとさん付けで良いのではないかな?」


眉間の皺を気にしていたところ、直ぐに仲裁に入ったのはヨードルさんであった。

彼は今回の召喚で術者となった大魔道士様だ。

ニーチェ先生が私と同年齢位と若いので、今回の術者も同年代位と思っていたら、かなりのご年配だと伺い驚いてしまった。

ヨードルさんは弥生さんの隣に座っており、その反対隣にはあの大臣が座っていた。

反して私の隣にはニーチェ先生とユーリ殿下が座っている。


「ミユ先輩~聞きました~?魔王討伐するだなんて私怖くて出来ないかも~」


どうやら先輩呼びは変えないようね。

結構、神経が図太い子かもしくは私の反応を見ているのかもしれない。

どちらにしても、只の馬鹿ではなさそう。


「そうね。この国だけじゃなく世界中の人達が恐れていているのですから怖くないなんて言ったら嘘になるわね。でも、私達二人で頑張りましょ」


「え~でも~、ミユ先輩は目が見えないから~無理じゃないですか~私、頑張りますので~ミユ先輩はゆっくり休んでいて大丈夫ですよ~」


なんだか、喋り方に騙されてなかなか気付きにくいが、結構な鋭い刃で刺してこようとしている。


「ありがとう。でも、私も頑張るわ。だって、二人で頑張った方が魔王討伐の可能性が高いでしょ。少しでも皆が安心出来るように私も頑張るわ」


「そうですか~?無理しないで下さいね~」


「そうですぞミユ殿、聖女一人いれば魔王討伐は出来ましょう。ここはヤヨイ様に任せてミユ殿は無理せず休まれよ。もし引け目を感じるのなら我が屋敷で雇っても良いぞ」


いやいや、大臣、あなたからは引け目を感じるのではなく厭らしい目の感情しか感じられませんって。

しかも、私には『殿』で彼女には『様』ですか、明白に大臣は差別している事が解った。


大臣の申し出は丁重にお断りをした。

少しムスッとした感情が読み取れたが無視をして弥生さんとの会話を続けた。

彼女と会話を続けて気付いた事があった。

彼女は笑ったり驚いたりと表現が豊かな表現をしていた。

彼女の口調からは度々刺があるような攻撃を受けたが特に騒ぎとなるような事もなく顔合わせを終える事となった。


「大丈夫かい?」


ニーチェ先生が心配そうに私に語りかけて下さった。

既に弥生さん達三人は退出していた。


「私は大丈夫です。皆さんはどのように感じられましたか?」


「う~ん、喋り方が独特で気になるが表向きはいい子のように思えたよ」


「表向きは?」


「ああ、私達王族や貴族は感情を表に出しては行けないと教育を受けているのだけど、彼女は感情が豊かで真逆の存在に感じられた。だけど、その感情全てが胡散臭いと言うか演じているように思えてならないんだよね」


ユーリ殿下はしっかりしている。

この国の将来は心配なさそうだと胸を撫で下ろした。


「私は目が見えません。ですので、能力で彼女を見ていたのですが、彼女からは何の変化も感じられませんでした。笑ったり、驚いたりと表向きは感情豊かな方でしたが、心は一切揺らいでませんでした。彼女の心は無表情のでした。」


「嘘をつきなれていると言う事かもしれないな。どうやら今は君に感心がないようだが、いつ悪意を向けて来るか解らない。やはり注意していく事は必要だろう。ユーリ殿下、あの計画を進めていこう」


ユーリ殿下は頷き部屋を後にした。

ユニアース国の人達は親切な方が多かっただけに寂しさを感じた。

もう、この楽しかった一時から卒業をしなければならない。





~ 弥生視点 ~


私の心は破綻していた。

皆は楽しい事に喜びを感じていたが私はその喜ぶ姿に怒りを覚えてしまう。

皆が悲しんでいた時に私はその姿を見て笑いが込み上げて来てしまう。

だから・・・

私は・・・

人の幸せを壊したくなる。

私は欠陥品。

人の輪にいていい存在ではない。


だからだろうか・・・

床が突然に光出すと光により視界が遮られていき、光の輝きが徐々に弱まると知らない部屋にいた。

周囲にいる人達が歓喜で騒いでいる。

余りの喜びの声が耳障りで不快で仕方がない。

一人の老人が私に近付き私の事を聖女と呼ぶ。


聖女?

私が?

私ほど聖女とは程遠い人格破綻者はいないと思うのだが、この世界が異世界で私は元いた世界からこの世界に召喚された事を告げられた。

あーなるほど。

私は元の世界から追い出されたのか。


私の性格は破綻していた。

既に動物の解剖を行うなどもしていた。

このまま行けば世界に危険が及ぼすと、元の世界が私を排除したのだ。

しかし、そんな理由でこちらの世界は私と言う化物を請け負うことになるなんて、可哀想で笑みが込み上げてきた。


私よりも先に召喚された女性がいた。

その女性は盲目だと言う。

今日はそんな彼女との顔合わせをする事になった。

凄い楽しみ。

盲目でこちらの世界に来ることになったなんてどんなに不幸なのかしら。

こちらの世界には点字や障害者用のブロックなどないみたい。

彼女がどんなに不憫な生活を送っているのか楽しみで仕方がなかった。


しかし私の期待は裏切られた。

彼女の表情には不幸や不憫などの感情が感じられなかった。

かと言って幸せと言う感情も感じられない。

ただ、普通であった。

盲目女性がどうして普通に暮らしていけているのか不思議に思うが、そんな事より彼女が不幸に感じていない事に興醒めしてしまった。

しかも幸福にも思っていないのならば彼女に嫌がらせをしてもつまらない。

私は彼女への興味が一気に失せてしまった。


もうどうでもいい。   

私の興味はこの世界に恐怖を振り撒く魔王だけとなった。

魔王により一つの国が滅ぼされたと聞く。

ああ、もっと早く召喚されていれば、その現場が見れたかもしれない。

魔物による殺戮により滅びるなかで少しでも抗おうとする者共による阿鼻叫喚の光景を想像するだけで、私は絶頂でいってしまいそうになった。

ああ、早く魔王に会いたい・・・

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