第36話:ツアー初日と突然の不在
全国ツアー「スターライト☆ドリーム Cosmic Journey」の初日がやってきた。連日の猛練習で疲れ果てていた聖奈だったが、初公演への期待と興奮がそれを上回り、朝から明るい気持ちで準備を進めていた。会場となる東京アリーナの楽屋で、聖奈は鏡を見ながらメイクを整え、頭の中で悠斗に呟いた。
「ねえ、悠斗くん。いよいよツアー初日だよ! なんかワクワクするけど緊張もするな。万が一の時のサポート、よろしくね。私、気合入れて頑張るよ!」
悠斗がいつものように元気よく返した。
「聖奈ちゃん、ついにだね! 俺、めっちゃ楽しみだよ! 聖奈ちゃんの輝き、全国のファンに見せつけてよ。万が一の時も絶対サポートするから、気合入れて行こう!」
聖奈は笑顔で頷き、「うん、ありがとう! あなたがいてくれるから安心だよ。今日は頼りにしてるからね」と付け加えた。楽屋では彩花、真央、怜奈も準備を進め、メンバー全員で円陣を組んで「ツアー初日、最高にしよう!」と声を合わせた。
だが、本番直前、異変が起きた。開演10分前、聖奈はステージ裏で最終確認を終え、深呼吸しながら頭の中で悠斗を呼んだ。
「悠斗くん…あとちょっとで本番だよ。緊張してきたから、ちょっと声聞かせてよ。いるよね?」
しかし、返事がない。いつも即座に響く彼の声が、静寂の中に消えていた。聖奈は眉をひそめ、もう一度呟いた。
「悠斗くん? ねえ、どこ? 返事してよ…。」
それでも反応はなく、頭の中は不気味なほど静かだった。聖奈の胸に冷たい不安が広がり、頭の中で叫んだ。
「悠斗くん! 何!?寝てるの? いなくなったの!? こんな大事な時に…どうして!?」
動揺が隠せず、聖奈の手が震え始めた。これまでずっとそばにいた悠斗が、ツアー初日の本番直前に突然いなくなった。握手会での会話、遊園地デート、寝落ち時のサポート…彼の存在が当たり前だっただけに、その不在は聖奈を混乱させた。頭の中で、彼女は呟いた。
「どうしよう…あなたがいないなんて初めてだよ。いつも助けてくれてたのに…今、私、どうすればいいの…?」
だが、答えは返ってこない。聖奈は目を閉じ、深く息を吸ったが、心臓の鼓動が収まらない。
その時、スタッフの声が響いた。「スターライトドリーム、5分前です! スタンバイお願いします!」 彩花が「聖奈ちゃん、行くよ!」と手を引き、真央と怜奈も準備を整えてステージ裏に移動した。聖奈は動揺を隠しきれず、顔が強張ったままだったが、メンバーの笑顔を見て、なんとか気持ちを切り替えようとした。頭の中で、最後に呟いた。
「悠斗くん…どこ行ったのか分からないけど、私、頑張るよ。あなたがいなくても…やれるよね?」
それでも、心のどこかで彼の声を待ち続けていた。
会場が暗転し、観客の歓声が響き渡る中、ライブの幕が開いた。オープニング曲のイントロが流れ、聖奈は不安な気持ちを胸に秘めたまま、センターとしてステージへ足を進めた。スポットライトが彼女を照らし、ファンの叫び声が耳に届く。だが、頭の中は静寂に包まれ、悠斗の不在が重くのしかかっていた。聖奈は笑顔を浮かべようと努力しながら、最初のステップを踏み出した。
全国ツアーの初日、聖奈は悠斗にサポートを頼み、気合を入れて臨んだが、本番直前に彼が突然いなくなり、動揺を隠せなかった。頼りにしていた存在が消え、不安を抱えたまま、彼女はライブのステージへと足を進めた。聖奈の心は揺れつつも、ツアー初日の幕が開き、未知の挑戦が始まっていた。




