第19話:夜の静寂と衝動
ファンイベントやインタビューで悠斗の助けを借りながら一日を終えた聖奈は、静かに自宅へと戻った。ドアを開け、靴を脱ぐと、いつもならソファにドサッと倒れ込むところを、この日はゆっくりと部屋を見回した。疲れはあるのに、どこか落ち着いた気分だった。クイズ番組やトークショーで悠斗に頼ったことで、彼女の心には苛立ちと共に小さな感謝が芽生えていた。
聖奈は電気を薄暗くし、ソファに腰を下ろして膝を抱えた。窓の外の夜景を見つめながら、頭の中で悠斗にそっと呟いた。
「ねえ、悠斗くん。今日も助けてくれて…ありがとう。最近、私、あなたに頼ること多くてさ。頭悪い自分を隠せて、ファンの前で恥かかずに済んでるよ。でも、自分で頑張りたい気持ちもあるから…複雑だな。」
頭の中で、悠斗が少し驚いたように返した。
「聖奈ちゃん…ありがとうって…。俺、嬉しいよ。聖奈ちゃんが困った時だけ助けるつもりだからさ。今日も輝いてて、ファンとしてほんと幸せだった。」
聖奈は小さく微笑み、冷蔵庫からアイスティーを取り出して一口飲んだ。冷たい液体が喉を通り、心がさらに落ち着いていく。テレビをつける気にもならず、彼女はソファに体を預け、目を閉じた。静かな部屋の中で、自分の呼吸だけが聞こえる。すると、ふと、体が温かくなり、自然と下腹部に疼きが広がった。聖奈は目を閉じたまま、内心で呟いた。
「なんか…今夜、したい気分かも…。疲れてるのに変だな。私だって、こういう時あるよね…。」
彼女は立ち上がり、ベッドに移動して電気を消した。暗闇の中、ゆっくりと手を滑らせ、自分の体に触れ始めた。自分の体を労わるように指を動かした。吐息が静かに漏れ、聖奈は目を閉じてその感覚に浸った。
その時、頭の中で悠斗の声が驚きと共に響いた。
「え!? 聖奈ちゃん!? 何!? 今、なんか…温かい感じが…! うわっ、俺、感じるよ! 聖奈ちゃん、これって…!?」
聖奈は手を止めず、落ち着いた声で頭の中で返した。
「うん…してるよ。驚いた?」
悠斗が慌てて答えた。
「驚いたよ! 聖奈ちゃんがこんなことしてるなんて…。俺、感覚全部伝わってくるから…どうしたらいいか分からないよ!」
聖奈は指をゆっくり動かしながら、静かに聞いた。
「ねえ、悠斗くん。幻滅した? アイドルの私が、こんなことしてるの知って…がっかりしたでしょ?」
悠斗は一瞬黙り、すぐに真剣なトーンで返した。
「幻滅!? しないよ! 聖奈ちゃん、俺、がっかりなんて絶対しない。むしろ…聖奈ちゃんがこんな自然に自分の気持ちに従ってるの、なんか…人間らしくて、もっと好きになったよ。アイドルだからって完璧じゃなくていい。俺、聖奈ちゃんの全部が大好きだから…こういう時も含めてさ。」
聖奈は彼の言葉に小さく息をつき、頭の中で呟いた。
「そう…ありがとう。あなたって、ほんと素直だね。私、アイドルだからって我慢すること多いけど…たまには自分に正直でもいいよね。」
悠斗が優しく返した。
「うん、いいよ。聖奈ちゃんがしたい時くらい、俺、静かにしてるから…。でも、感じちゃうのは仕方ないけどね。」
聖奈は微笑み、再び手を動かし始めた。静かに、丁寧に自分の体を触り、吐息が少しずつ高まる。悠斗は頭の中で小さく呟いた。
「聖奈ちゃん…気持ちいいんだね。俺、聖奈ちゃんの幸せな感じが伝わってきて…嬉しいよ。」
聖奈は目を閉じたまま、頭の中でそっと答えた。
「うん…気持ちいいよ。でも、あなたに感じられるのはちょっと恥ずかしいけど…まあ、いいか。今夜は特別だよ。」
行為が進むにつれ、聖奈の体が静かに震え、彼女は吐息を抑えながら快感に浸った。悠斗は騒がず、ただ聖奈の感覚を共有しながら静かに見守った。やがてクライマックスを迎え、聖奈が息を整えると、彼女は布団に体を沈めて頭の中で呟いた。
「悠斗くん、ありがとう。変な気分だったけど、あなたが幻滅しないって言ってくれて…少し安心したよ。」
悠斗が穏やかに返した。
「聖奈ちゃん、俺、聖奈ちゃんの全部大好きだからさ。こういう時も含めて、ファンとして幸せだよ。おやすみ…。」
聖奈は疲れと満足感の中で目を閉じ、「おやすみ…。私の体から出てってくれるのが一番なんだけどね」と小さく笑って眠りに落ちた。
この夜の静かな衝動は、聖奈の人間らしい一面を露わにし、悠斗との関係に新たな理解と親密さをもたらした。聖奈が自分に正直になる瞬間を、悠斗はただ受け止め、二人の絆は頼る場面が増える中で、さらに深まっていた。