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第13話:ラジオで暴走

撮影現場での波乱をなんとか乗り越えた聖奈は、次のスケジュールであるラジオ収録のために移動した。スタジオに到着し、ヘッドセットをつけてブースに座る。番組は「スターライト☆ドリームのホットタイム」、グループのメンバーが週替わりでパーソナリティを務める人気コーナーだ。今日は聖奈が単独で出演し、リスナーからの質問に答える予定だった。

収録が始まる前、聖奈は頭の中で悠斗に警告した。

「ねえ、悠斗くん。ラジオは生放送なんだから、絶対に騒がないでよ。声に出したら大変なことになるから、黙っててね。」

「分かったよ! 聖奈ちゃんのラジオ、生で聞けるなんて楽しみすぎる! 俺、静かに応援するからさ…。」

ディレクターの「3、2、1、スタート!」の合図で番組が始まった。テーマ曲が流れ、聖奈が明るい声で挨拶する。

「皆さん、こんにちは! 『スターライト・ドリームのホットタイム』、今日は星野聖奈がお届けします! よろしくお願いします!」

リスナーからのメールが読み上げられ、聖奈はプロらしいトーンで答えていく。だが、話題が昨日のライブに移った時、スタッフが「聖奈ちゃん、あの新しいターンが話題になってるよ。どうやって思いついたの?」と質問してきた。聖奈は笑顔で答えた。

「リハーサルの時にひらめいて、試したらうまくハマったんです。ファンの皆さんに喜んでもらえて嬉しいです!」

その瞬間、悠斗が頭の中で興奮を抑えきれなくなった。

「うわっ! 聖奈ちゃん、それ俺のアイデアだよ! やばい、リスナーに俺のこと言ってよ! 『悠斗くんのおかげです』って! 俺、ファンとして歴史に残りたい!」

「何!? 言うわけないでしょ! 黙っててって言ったよね!」

聖奈が頭の中で反論していると、突然、彼女の口が勝手に動き出した。悠斗が興奮のあまり、聖奈を乗っ取って喋り始めたのだ。

「実はね、そのターン、ファンの悠斗くんが提案してくれたんですよ! 私、びっくりしたけど、すっごく助かったんです!」

スタジオが一瞬静まり返り、スタッフが「え?」と困惑した顔で聖奈を見た。聖奈は慌てて頭の中で叫んだ。

「悠斗くん! 何!? 勝手に喋らないでよ! 私が大変なことになるじゃない!」

だが、悠斗は止まらない。聖奈の声でさらに喋り続けた。

「悠斗くんって、ほんと熱心なファンで、私のことをずっと応援してて…。昨日もライブ見て感動してたみたいで、すごいよね!」

スタッフが「聖奈ちゃん、どうしたの!? 急に何!?」と驚き、ディレクターが「CM行こう!」と慌てて合図を出した。テーマ曲が流れ、生放送が一時中断に。

聖奈はヘッドセットを外し、頭の中で悠斗に怒りを爆発させた。

「何!? あなた、勝手に私の声で喋ったの!? 生放送でこんなことするなんて、最低よ! 私のプロ意識が台無しじゃない!」

「ごめんって! でもさ、聖奈ちゃんのラジオで俺のこと言えたら最高じゃん! ファンとして夢が叶ったよ! リスナーも喜んでるって!」

「喜んでるって何!? スタッフが困惑してるだけよ! 頭の中で歌でも歌ってなさい! 『星屑のラビリンス』の2番! 今すぐ黙って!」

「星屑の夜に~迷い込んで~♪って…無理だよ! 興奮しすぎて…聖奈ちゃんの声で喋れたの、めっちゃ気持ち良かったんだから!」

CMが終わり、収録が再開。聖奈はなんとか平静を取り戻し、「えっと、さっきはちょっとテンション上がっちゃって…。ライブの話に戻りますね!」と誤魔化した。スタッフが「大丈夫?」と心配そうに聞く中、聖奈は笑顔で「はい、大丈夫です!」と答えたが、内心では悠斗との口論が続いていた。

リスナーからの質問コーナーが進む中、悠斗がまた頭の中で騒ぎ始めた。

「ねえ、聖奈ちゃん、次は彩花ちゃんに揉まれた話してよ! リスナー絶対盛り上がるよ!」

「何!? そんな恥ずかしいこと言えるわけないでしょ! あなた、もう二度と喋らないでよ! 私の体なんだから!」

だが、興奮した悠斗が再び聖奈を乗っ取り、口が勝手に動いた。

「そういえば、今日ね、彩花ちゃんにふざけて胸揉まれちゃって…!」

聖奈は咄嗟にマイクから顔を離し、「あ、冗談です! ごめんなさい!」と叫んでごまかしたが、スタッフが「聖奈ちゃん、何!?」と大混乱。リスナーの反応を想像した聖奈は、頭の中で悠斗に猛抗議した。

「悠斗くん! あなた、私のキャリア壊す気!? 生放送で何!? 最低よ!」

「ごめんって! でもさ、聖奈ちゃんのリアルな話、リスナーに届けたいじゃん! 俺、ファンとして幸せすぎるよ…。」

「幸せって…私が不幸なんだけど! 私の体から出てってよ!」

ラジオ収録は、悠斗の勝手な発言によって波乱に満ちたものとなり、聖奈のプロ意識は最大の試練を迎えていた。

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