第12話:撮影現場の波乱
マネージャーとの打ち合わせで悠斗との口論が原因で怒られた聖奈は、なんとか気持ちを切り替えて撮影現場へと向かった。車内でスケジュールを確認しながら、頭の中で悠斗に釘を刺す。
「ねえ、悠斗くん。撮影現場では絶対に騒がないでよ。さっきみたいに邪魔されたら、私、ほんと困るから。」
「分かったよ…。でもさ、彩花ちゃんに揉まれた感触がまだ頭に残ってて…。あれ、ほんと最高だったなあ…。」
「やめてよ! 二度と思い出さないで! 仕事に集中するから、あなたは黙ってて!」
撮影現場は、事務所からほど近いスタジオ。今回の仕事はファッション雑誌のグラビア撮影で、テーマは「春の軽やかさ」。聖奈がスタジオに到着すると、スタッフが忙しく動き回り、カメラマンが機材を調整している。衣装スタッフが「聖奈ちゃん、こっちで着替えてね」と更衣スペースに案内してくれた。
聖奈が用意された薄手のワンピースに着替えていると、悠斗が頭の中で小さく呟いた。
「おお、聖奈ちゃん、春っぽい衣装だね。絶対似合うよ! 俺、楽しみだな…。」
「騒がないって約束したでしょ。静かに応援しててね。」
着替えを終え、スタジオのセットに立つと、カメラマンが「聖奈ちゃん、まずは自然な笑顔で!」と指示を出した。聖奈はプロらしい表情でポーズを取り、撮影が順調に始まった。だが、その時、セットの奥から聞き慣れた声が響いてきた。
「聖奈ちゃん、お疲れー! 私も一緒だよ!」
振り返ると、「スターライト☆ドリーム」のメンバー、真央が笑顔で手を振っている。彼女も今回の撮影に参加するらしい。
「うわっ! 真央ちゃん!? 聖奈ちゃんと一緒に撮影!? やばい、俺、大ファンなんだよ! あの元気な笑顔…最高!」
悠斗の興奮が頭の中で再燃し、聖奈は内心でため息をついた。
「真央ちゃんがいるのは嬉しいけど、あなたが騒ぐと困るよ。静かにしてて。」
撮影が進む中、真央が「聖奈ちゃん、せっかくだからツーショットで撮ろうよ!」と提案。カメラマンも「いいね、それで行こう!」と乗り気になり、二人が並んでポーズを取ることになった。だが、ここで波乱が訪れる。真央がふざけて聖奈の肩に手を置き、突然、彼女の脇をくすぐってきた。
「きゃっ! 真央ちゃん、やめてよ!」
聖奈が笑いながら体をよじると、真央が「聖奈ちゃん、くすぐったがりだね!」とさらに追い打ちをかけてきた。
その瞬間、悠斗が頭の中で大爆発。
「うわあああ! 真央ちゃんが聖奈ちゃんをくすぐってる!? やばい、俺、くすぐったいの感じるよ! 聖奈ちゃんの笑い声可愛すぎるし…幸せすぎる!?」
「幸せって何!? 私が困ってるんだけど! あなた、勝手に感じないでよ!」
聖奈が笑いをこらえながらポーズを取ろうとするが、真央のいたずらが止まらず、撮影が一時中断。カメラマンが「二人とも楽しそうだけど、少し落ち着いてね!」と苦笑いする中、悠斗がさらに騒ぎ立てた。
「聖奈ちゃん、真央ちゃんにもっとくすぐってもらってよ! 俺、もっと感じたい! 真央ちゃんの手、めっちゃ柔らかそうで…!」
「何!? バカじゃないの!? 私が恥ずかしいんだから、やめてよ! 頭の中で歌でも歌ってなさい! 『星屑のラビリンス』の2番!」
「星屑の夜に~迷い込んで~♪って…無理だよ! くすぐったさが強すぎて…! 聖奈ちゃん、真央ちゃん最高だよ!」
聖奈が頭の中で激しく反論していると、真央が「聖奈ちゃん、顔赤いよ? 大丈夫?」と心配そうに聞いてきた。聖奈は慌てて「うん、大丈夫! ちょっと笑いすぎただけ!」と誤魔化した。
だが、波乱はそれで終わらない。撮影が再開し、次のポーズで風を起こす扇風機がセットされた瞬間、聖奈のワンピースの裾がふわっと舞い上がり、スカートの中が一瞬見えそうに。スタッフが慌てて扇風機を止め、聖奈がスカートを押さえると、悠斗が絶叫した。
「うわっ! スカート!? 聖奈ちゃんのパンツ見えそうだった!? やばい、俺、心臓止まる! ファンとして夢の瞬間だよ!」
「夢って何!? 私が悪夢なんだけど! あなたは見ないでよ! 私の体なんだから!」
聖奈は顔を真っ赤にしてスタッフに「扇風機、もう少し弱くしてください」とお願いしたが、悠斗の興奮は収まらない。
「聖奈ちゃん、もっと風吹かせてよ! 俺、もっと見たい! パンツの色とか…!」
「色って何!? 気持ち悪いこと言わないで! 仕事なんだから静かにしてて!」
カメラマンが「聖奈ちゃん、なんか今日落ち着かないね。大丈夫?」と声をかけてきた。聖奈は「はい、大丈夫です!」と笑顔で返したが、頭の中では悠斗との口論が止まらず、撮影現場は波乱に満ちていた。
「悠斗くん、あなたのせいで仕事が台無しよ! 私の体から出てってよ!」
「台無しじゃないよ! 俺、聖奈ちゃんと真央ちゃんの絡み見れて最高だよ…。」
撮影現場での波乱は、聖奈のプロ意識を試しつつ、悠斗のファン心をさらに燃え上がらせるものとなった。