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第18話 新たなスキル

ツェントラルライヒ

 

 めるさんがログインしたというコールがきたので私とキャロルさんは鍛冶屋の前まで戻ってきていました。


 

 「むー!私もみたかった…… 二人でズルいよ!」

  めるさんが少し拗ねたように言います。

 どうやら練習を見たかったようです。

 

 「あらあら、ごめんなさいね。たるひちゃんの戦闘レッスンは時間があるうちにやっておきたかったのよ」

 キャロルさんは優雅に微笑みながら応えます。


 「本番はトーナメントできっと見れますから、期待してください」

 私は拳を握りしめ、さきほどキャロルさんと交わした約束を心に刻みます。

 もうHINAと会うためだけの目的じゃないんです。


 「そのためにもレベルをあげましょう!」

 

 「賛成!やっぱりスキルがないと戦い方を増やせないと思うんだ!」

 彼女はその言葉を発しながら、揺れるように動き、新しいスキルへの期待感に満ち溢れてるみたいです。


 「できれば30レベルになっておきたいのだけど…… あなたたちはさすがに厳しいわね」

 キャロルさんが少し険しい顔で言います。


 「30でなにかあるのー?」

 めるさんは首をかしげながら、素朴な疑問を口にします。


 「30レベルになると、2次職へ転職できるようになるの。おそらくそれがトーナメントでの戦いを大きく左右するのよ。だから、30レベルに達することが、あたしたちにとって一つの目標なの」


 キャロルさんはそのまま続けます。


「2次職の優位性は二つあるわ。一つは覚えられるスキルの幅が広がること。これは戦略の多様性をもたらすのよ。さまざまな戦況に応じて適切なスキルを選べるようになるわ」


 彼女は一呼吸置いてから、もう一つのポイントに触れます。


「そして、もう一つが単純にステータスの基礎値が高いこと。これは文字通り、あたしたちの戦闘能力を底上げするの。スピードや攻撃力、防御力など、全体的にレベルアップするわ」

 


「ということは……」


「トーナメントのルールでレベルが一緒になって武器の補正がなくなっても2次職のほうが有利ということですね」


「ただ、まず現状の段階で30まで上げている人はほとんどいないと考えてもいいわ。1日になれば20人くらいいるかもしれないけど」

 キャロルさんの言葉は、トーナメントに参加するプレイヤーのレベルについて経験から来ているものなのでしょう。


「トーナメントは32ブロックの予選があるらしいよ!そこで生き残った1人が本戦に出れるんだって!」

 めるさんは自慢げで、尻尾は興奮と期待で振られています。


「あら、めるちゃんよく調べたわね。そんなに情報に詳しいとはね。でも、2次職がいるブロックになれば勝ち抜くのはなかなか厳しくなるかもしれないわ」


 そして、キャロルさんは私に向かってアドバイスをします。


「いい?たるひちゃん、あなたは多人数戦には向いてないわ。人数が多い予選はなるべく体力を温存して戦闘は少なくしなさい。逃げるのは恥なんかじゃないの。自分の強みを生かしてこそなのよ」


「なるべく考えて動いてみます」

 

「最後に、これは気持ちの問題なのだけれど、どんな相手でも戦う相手に無関心になっちゃダメよ?戦いはただのテクニックだけじゃないの。相手を理解し、尊重することも大切なの。それがあなたの戦いをより美しく、そして強くするわ」

 キャロルさんは私の言葉に微笑みながら言いました。


「相手を理解し、尊重する……」

 私には戦いでそれをすることがどういうことなのかまだよくわかっていません。

 いつかわかるときはくるのでしょうか?


「なんだかキャロルさんカッコいいね!」


「あら、そこは美しいと言ってちょうだい?」


 私たちはついそのやりとりに笑ってしまいます。


「そういえばたるひちゃんはスキル取らないのー?」


 めるさんにそう聞かれて、私はレベルが上がってから全然スキルを取っていなかったのを思い出しました。


 「めるさんはつい先日戦いの最中にとってましたね」


 そう言いながらスキルツリーを開いてみます。


 まず目についたスキルが


 スキル:刹那せつな


 効果:このスキルを使用すると、プレイヤーは一瞬の時を拡大させ、周囲が遅く見える状態になる。

 このスキルが発動すると、プレイヤーは敵の動きをより詳細に捉え、回避や反撃のタイミングを正確に捉えることができる。刹那の間、プレイヤーの反応速度と動作速度が大幅に向上する。 

効果時間 数秒 ※スキルレベルによる。 CT60秒 必要ポイント4


 「これは強すぎじゃないですか?」


 「説明だけ見たらそうね。でも最初は0.05秒とかの可能性もあるわよ?使い方次第でとても強力だけどね」


 「それでもいざというときのためにこれは欲しいです」

 

 私は決意を固め、最初に「刹那」を取得することにしました。


 「あとはトリッキーということなのでこんなのはどうでしょうか?」


 スキル:狐影こかげ


 効果:このスキルを使用すると、プレイヤーは自分の幻影を周囲の物体に投影することができる。

 この幻影は実際のプレイヤーの動きを模倣し、敵を惑わせたり、注意をそらすのに使用できる。

効果時間 5秒  CT20秒 ※スキルレベルによる減少あり 必要ポイント2

 


 「あら、素敵なチョイスじゃない。これはあたしとても好きよ?使い方次第で格上でも倒せる武器になるわ」


 そのとき、めるさんが興味津々で尋ねてきます。

 「たるひちゃん、二人になるんだ!分身の術??」

 

 「幻術だと思います。戦略的には同じくらい役に立つと思います」

 

 スキルツリーを見つめながら、私は「秋葉の舞」と「狐火」が互いに繋がっていることに気付きました。さらに詳しく見てみると、これらのスキルが組み合わさって、新たなスキル「炎狐の舞」が習得可能になっていることが分かりました。

 

 スキル:炎狐えんこの舞


 効果:このスキルを使用すると、プレイヤーは周囲に幻想的な狐の幻影を作り出し、それらが放つ炎によって敵を攻撃する。狐の幻影は優雅に舞いながら、炎で周囲の敵に連続的なダメージを与え、同時に敵を惑わせる。 

効果時間15秒 CT120秒 ※どちらもスキルレベルによって変動します。必要ポイント3



「範囲攻撃…!」と、思わず口に出してしまいました。私の耳と尻尾の先が立つのを感じます。これまで広範囲攻撃と言えば、狐火を自爆させるという選択肢が頭をよぎっていましたが、「炎狐の舞」なら、広範囲をカバーできます。



「いいスキルを見つけたみたいね」

 キャロルさんがにっこりと笑います。


「この三つに決めました!」

 

「刹那」「狐影」「炎狐の舞」と三つのスキルを取得した私は新しいスキルに柄にもなくわくわくしていました。


 スキル欄を確認してみると


 たるひ lv:15

 Status

 種族:妖怪

 職業:子狐

 HP 650

 MP 1000

 ATK 150

 DEF 200 (+50)

 INT 450

 MEN 410 (+70)

 DEX 350

 AGL 325

 LUK 215

 スキル

 トランス(lock)、狐火(5)、管狐(2)、狐雨、秋葉の舞、クレッセントストライク、刹那、狐影、炎狐の舞

 装備

 お正月の巫女服

 木の葉の護符


 「狐火のレベルが上がってますね。ついに5発に……」


 しかし、そこで気になることが目に留まります。私の「管狐」スキルのレベルが2になっていることに気付いたのです。

 「アレ?管狐のレベルが2になっているんですが、2本目もいけるのでしょうか?」


 心の中で竹筒をイメージしてみます。


 【新しい名前をつけてください】


 「どうしたのたるひちゃん?」


 めるさんが不思議そうな顔でこちらを見てきます。



「新しい仲間が増えたんです!いまは名前を決めないといけないのですが……」

 私は笑顔で言いながら、内心では自分のネーミングセンスに少し不安を感じています。


「そっかー!新しい狐さんが仲間になるんだ!どんな子か楽しみだね!」


「実は、名前をつけるのが少し苦手なんです。めるさん、良ければ名付けてくれないですか?」


 めるさんは考え込むような表情をしながら、しばらくの沈黙の後、目を輝かせて言います。

「そうだねー…… ヨミ!ヨミなんてどうかな?」


「あら、可愛い名前じゃない」


「ヨミ……」

 私は新しい名前を嚙み締めるように繰り返します。その名前には、何か特別な意味や力が宿っているように感じられました。


「クダ、ヨミ、出てきてください!」

 期待に胸を膨らませながら竹筒を開けます。その瞬間、二匹の管狐が現れました。

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