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第12話 初めてのダンジョン(2)

11/20 改稿済

 尻尾の上には名前とHPバーが表示されており、【Lionheart(レオンハート)】と書かれていました。


「れおん……はーと?」

 私がそうつぶやくと、その言葉に反応するかのようにトカゲの尻尾がピクピクと動き出しました。


 突然

「んー!んんんー!?」

 というもがき声が聞こえてきました。どうやら下に誰かが埋まっているようです。


 私たちは顔を見合わせ、驚きと好奇心が入り混じった表情で、その動く尻尾をじっと見守りました。


「まあ、これはなんだか面白いことになってるわね。誰かしら、このトラブルに巻き込まれているの?」

 キャロルさんがそう言いながら尻尾に近づきました。


「キャロルがその大根を引き抜くのかしら?」

 りあさんが興味深そうに尋ねながら、ようやく私から手を離し、近づいていきました。

 

「こういう時にはオトメの力が必要でしょう?離れていて頂戴」

 キャロルさんは自信満々に尻尾に手をかけます。

 彼女は力強く尻尾を掴み、力を込めて一気に引き抜きました。


 土が飛び散る中、キャロルさんの力強い引き抜きにより、尻尾と共に土から人の姿が現れました。

 その男性は、その勢いのまま地面に頭を打ちつけてしまいました。「キャロルさん……力が強すぎますよ……」と私は思わず呟いてしまいました。


 

 それでも彼は意外と丈夫なようで、すぐに起き上がり、頭を押さえながら「ああ、死ぬかと思った……」

 と独り言のように呟いています。


「よし……!」

 彼は最後に一言言うと、私たちの方へ振り返りました。


「俺はレオンハルトだ。助力をしてもらって感謝するぞ」

 彼は少し今更な感じで取り繕い始めました。


 その時、りあさんがクスクス笑いながら

「レオンハートではないのね?」

 と確認しました。彼女の瞳はいたずらっぽく輝いていました。


「レオンハート?いや、レオンハルトであっている」

 レオンハルトさんは自信満々に言いましたが、どうやら綴りの間違いには気づいていないみたいです。

 

「あら、レオンちゃん、見た目はハンサムなのにちょっと抜けてるところもあるのね」


「れ、レオンちゃん…?」

 レオンハルトさんはキャロルさんのテンションについていけないようでした。

 

 私は、このままだとレオンハルトさんがりあさんとキャロルさんに永遠にからかわれ続けるような気がしたので

 「収拾がつかなさそうなので、そろそろ自己紹介をしておきましょう」

 と提案してみました。皆の注意をそちらに向けることで、状況を少し落ち着かせようと思ったのです。


 私は少し緊張しながらも前に一歩踏み出し

 「私はたるひといいます。種族は妖怪で、遠距離攻撃がメインになると思います」

 と学校の自己紹介を思い出しながら簡単に自己紹介しました。


 めるさんは次に前に出て、明るく言いました。

「めるだよ!アイドルやってます!」


 私は彼女に向かって

「めるさん、それじゃわかんないですよ……」

 と微笑みながら言いました。


「あ、そっか」

 めるさんは笑顔で答え

「前で敵の攻撃を防いだり、応援したりできる職業かな」

 とプレイスタイルを説明します。


「あたしの名前はキャロル、麗しのレディよ」

 彼女が取り出したのは大きなハルバートで、それを持つ姿には圧倒的な迫力がありました。


 「私はりあ。bow(ボウ)、弓で戦うの。命中精度には自信があるわ」

 と言ってウインクをしました。その様子はとても自信に満ち溢れています。


 レオンハルトさんが、「俺はさっき自己紹介はし…」と話し始めたその時、りあさんが突然言いました。「言ってなかったけど、綴り間違っているわよ」

「え?」とレオンハルトさんが困惑すると、私は心の中で「いまじゃなくても良かったんじゃないですか…」と思いました。しかし、りあさんの直球のコメントに、私たちは少し笑ってしまいました。


「取り乱して失礼した… レオンと呼んでほしい。種族は竜人で、重戦士をしている」

 

レオンハルトさん、いえ、レオンさんは竜人だということが判明しました。彼の群青色の髪とかけている眼鏡は、なんとも言えないカリスマを放っています。頭には小さな角があり、背中からは長い尻尾も生えていました。

 

 「それにしても、隠し種族が解放されてなれるようになったって、条件がなかなか大変でしょ?まだなっている人も珍しいわよね。あなたたちも質問組なのかしら?」

 キャロルさんがそう二人に聞きます。


 りあさんは毛先をいじりながら答えました。

 「そうね、私の場合は弓を使いたかったから、エルフでも良かったのだけれど」


 「俺は深い意味もなく、なんとなくだ」

 とレオンさんは率直に語りました。

 

 「その珍しい子たちが3人もいるなんて、今日はラッキーね!お姉さん、張り切っちゃうわ。それに、前衛3人、後衛2人で、バランスも悪くないじゃない」

 キャロルさんはとても楽しそうに笑っています。

 

「回復とかは大丈夫ですかね…?一応私が全体回復を使えるのですが、回復量に不安があるのです」

 狐雨は状態異常を治すのがメインみたいなので、回復はおまけみたいなものでしょう。

 

「私も回復スキルが使えるから大丈夫よ」

 彼女は天使という種族で、おそらくヒーリング系のスキルを持っているのだと思います。


 


 私たちのパーティーのレベルを確認してみると、レベルは上からキャロルさんが21、りあさんが14、レオンさんが12、私が10、そしてめるさんが9という、結構レベルに差がありバラバラな感じになっちゃいましたね。


「結構レベルに差がある感じになっちゃいました」

 私は少し心配そうに言いました。レベル差があると、戦闘のバランスや協力の仕方に影響が出るかもしれません。


「レベルはあくまで数字よ。大事なのはチームワークとそれぞれの役割を理解すること。あたしたちなら大丈夫よ」キャロルさんは自信満々に答えました。


「互いに補い合えばどうにでもなるわ。心配しなくても狐ちゃんがミスしたら助けてあげる」

 りあさんが微笑みながらいいます。


 レオンさんは

「それに、高レベルのメンバーがいると安心できるじゃないか」

 と付け加えました。


 最後にめるさんが「私も頑張るよ!」と元気よく宣言します。



 私はみんなの言葉に心を動かされ、思わず口に出してしまいました。

「そうですね…!それに、楽しむことが何よりも大事なんですよね」

 その後、私はめるさんとキャロルさんに視線を向けました。めるさんは私の言葉に黙って頷いてくれ、キャロルさんは、陽気なウインクを送ってくれました。


「さあ、行きましょうか。このダンジョンはあたしも一度クリアしたことがあるから、それほど難しくはないはずよ。ただ、ダンジョンボスはランダムみたいだから、それだけは覚悟しておいて」

 キャロルさんが先頭に立ちながら言いました。



 ダンジョンを進んでいる私たちの前にキラキラ光る木のようなモンスターが二体現れる。

 その見た目は、この暗く陰鬱な雰囲気とはまったく異なり、どこか華やかでダンジョンに見合わないです。

 

【エターナルバウム】

 HP: 800


 説明:

 エターナルバウムは、クリスマスを過ぎても撤去されずに放置されたクリスマスツリーの精霊です。長い時間を通じて、このツリーは周囲の魔力や感情を吸収し、独自の意識を持つようになりました。緑豊かな枝葉にキラキラと光る装飾が施されている一方で、その存在はなんとも哀愁を帯びています。


【バウム・センチネル】

 HP: 1200


 説明:

 バウム・センチネルは、エターナルバウムの上位個体です。このモンスターは、長年にわたりクリスマスツリーとしての役割を超越し、より強力な魔力を蓄積し続けた結果、生まれ変わりました。その姿はエターナルバウムよりもさらに堂々としており、装飾もより豪華で輝かしいものとなっています。



「きたわね、このバウムがいい経験値になるのよねぇ」

 キャロルさんが舌なめずりをしながら、すごくいい笑顔をしています。

 ちょっと怖いです。


「ダンジョンでの初戦闘だね!こんなに大勢で戦うの初めてだから楽しみだよ!」

 めるさんが言いながら、彼女の耳と尻尾がわくわくして動いています。

 めるさんは、そのまま勇敢に前へと走っていきました。


「ちょ、ちょっと待つんだ!君は一番レベルが低いだろう!?」

 レオンさんが慌ててついていきます。


 一方でりあさんは、彼女に特有の落ち着きを持って弓を構え

 「ふふっ、騒がしい始まりね」

 りあさんがそう言いながら弓を放ちました。


 ーcriticalー


 「" Too easy(簡単ね)"」


 それが私たちの戦いの火ぶたが切って落とされました。

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