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凡人学生異世界転生生活  作者: 下樹
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第一話 魔法

 転生してしまったのではないか?

 たしかにそれは正しかった。正しかったのだが、僕は最近ある一つの考えに思い至った。僕は先月6歳になった男の子で、名前は裕太改めマーシュとなり、一つ上の姉が一人、3歳下の弟が一人という現状だ。そして最近、ようやく今世での情報を掴めてきたところである。

 僕が生まれた一家は、パイレッジ家という、伯爵家、つまり貴族の家だ。このことでもすでに驚きなのだが、さらに驚くべき事実を僕は思い知った。…………魔法である。そうゲームやラノベのファンタジー系の定番、魔法をこの世界で使えるということになる。

 さらに、パイレッジ家は伝統ある魔法大家であり、さらに僕の父である、ドラグ=パイレッジは優秀な魔法使いとして名を連ねている。

 もはや、魔法を習得するのに最善に近い環境ともいえるこの状況に僕は内心ワクワクしていた。実は僕、前世では中学生の頃、一時期魔法に憧れていたときもあったりした(つまり厨二病)。だが、本当に一時期で、せいぜい一ヶ月くらいの思い出あるのだが、まさかこのような形で実現するとは、流石に想定していなかった。そのため、僕は早く魔法を習得できないかと、楽しみにしていた。


***************


 それから一年の月日が流れ、僕は7歳になり、魔法のついての基礎的な知識をドラグから学んだ。

 魔法とは、自身の魔力をその魔法に適応する魔法陣を組み立て、呪文を詠唱し、最後にもう一度魔力を込めて使う魔法と、自身の魔法を、自分自身に付与する魔法の二種類がある。

 前者は、《属性魔法》と呼ばれている。そう呼ばれている理由は、魔力には必ず、適応する属性を持っており、その魔力を使うことで魔法陣を組み立て、《属性魔法》を使用するからだ。

 一応、魔力の適応しない属性の魔法でも、魔法を行使することは可能だ。ただ、その分通常に比べて圧倒的に使用する魔力と集中力の効率が悪いため、あまり使用されない。ちなみに属性は6つ、炎、水、風、地、光、闇。まぁ定番だ。

 後者は《基本魔法》と呼ばれている。基本魔法はどの属性に適応する魔力でも一律に行使できるため、魔法使い見習いや、魔法をあまり使わない、騎士なども使うからだ。

 僕も半年前から、《基本魔法》を行使するために励んでいる。今のところ習得した魔法は3つ。少ないが、父いわくかなりハイペース行使することができているらしく、通常では今の段階でせいぜい2つ習得できていれば、十分らしい。

 習得した魔法は【身体強化】【簡易治癒】【解析鑑定】の3つである。

 【身体強化】は文字通り自分自身の体を強化する。自身の魔力を筋肉に流し込み、一時的にアスリートを上回る身体能力を獲得することができるのだが、自身の魔力が尽きてしまうと、身体能力が元の能力よりも、一時的に低下してしまう。だが、一時的に爆発的な強化を得られるので、魔法使いを始めとして、騎士などの多くが習得している。

 【簡易治癒】もその名の通り、自身の傷を癒えさせる効果があるのだが、直せるのはせいぜい骨折くらいまでで、致命傷や重症などは治癒することができない。そのため光属性の【上位治癒】などに比べて、自分しか直せなかったり、大怪我は直せないのだが、光属性の魔法を使える者自体少ないので、この魔法も多くのものが習得している。

 【解析鑑定】は習得するのが大変な《基本魔法》の一つだ。目と脳に魔力を乗せることで、本来わからない情報でも、入手できるのだが、入手できる情報はあまり使い道のわからない情報であったり、まず情報を入手できないケースもある。だが、練度を高めれば、有用な情報も入手することができるのだ。だが練度を高めるためには何度も使用する必要があったり、まず行使するのが難しいため、習得しているものは多くはないのだが、上級の魔法使いの殆どがこの魔法を習得しているということで父に勧められ習得に至った。

 《基本魔法》は他にも多くあるのだが、そのほとんどが用途の分からない魔法であったり、かなり有用な魔法であっても、習得難易度が高いなど、とりあえずはこの3つまでと言われた。

 そして本来は半年から一年以上先になるはずの《属性魔法》を行使するために魔力の属性確認行うらしい。属性確認をするためには6つの魔石が必要になる。魔石というのは、分かりやすく言うと魔力が固体化したもので、ゲームで言う魔法使いの持つ杖の先端についていたりするあの石だ。

 魔石は性質がわけがわからない魔力が固形化したものなので、やはり魔石もわけのわからない性質となっているのだが、今は割愛する。今回はそのわけのわからない魔石の性質の一つを使って、自身の魔力の適応する属性を調べるのだ。その性質とは、魔石はその凝縮された魔力と同じ適応する属性を持つ魔力と共鳴し、光を発するのだ。例えば僕の父だと炎と地に適応する属性をその身に宿すので、深紅の色をした炎の魔石と、狐色をした地の魔石と共鳴する。

 僕はそのような説明を受けながら、父に連れられて、今まで入ったことのない奥の間に入り、それぞれの色に輝く6つに魔石が机に置いてあった。


「マーシュ、魔力をそれぞれの魔石に注ぎ込んできなさい。」

「は、はい。」


 そうして僕は父に言われた通り魔石に魔力を注ぎ込み。まずは炎の魔石。………何の反応もなし。次に水の魔石。…………なんの反応もなし。次は風の魔石。…………またしても反応なし。地の魔石、光の魔石も同様に反応はなかった。僕は最後に闇の魔石に魔力を注ぎ込んでいく。………………………………………何も起きなかった。

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