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2話

 ロドリゲスって一体誰なんだよ。俺の顔とかどう考えても日本人顔じゃん。ロドリゲスってアメリカとかそっち系の名前なんじゃないのか? せっかくうまいハンバーグを食って最高の気分だってのにここはどこなんだよ?


「何を言っておるのじゃ? おぬしの名はロドリゲスじゃろう? わしが呼び出したのはロドリゲスじゃぞ」


「だから、違いますよ。俺は竹郎。ロドリゲスなんて名前じゃありませんから。それとここはどこなのかしっかりと説明してくださいよ」


 爺さんが俺の反論黙り込む。


 夢から覚めて今、ここが確実に現実ということだけは理解できるのだが、謎の部屋にいるのは理解できない。俺は寝るときは絶対に自分のベットだと誓っている。それなのに、目覚めてみればここはどこなんだ?


「何じゃと……わしが間違えておぬしを連れてきてしまったのか……なんてことじゃ。わしはとんでもないことをしてしまった……」


 そんな深刻な顔するのやめてくれよ。まるでとんでもないことに巻き込まれてしまったみたいじゃないか。俺は平穏に生きてきただけの凡人だ。特別な体験なんて生まれてこのかた体験したこともない。


「俺はそのロドリゲスって人と間違われてこんなところに連れてこられたんですか? 早く家に帰してもらってもいいですかね?」


「すまぬ、それは無理なのじゃ。一度ここへ来た人間を元の世界に返すことはできない。せめておぬしには異世界に転生する特典は授けようと思う。それでなんとか許してはくれないじゃろうか?」


「え? 本気で言ってます? 俺は帰れないってことなんですか?」


 こんなの納得できるはずがない。俺は毎日おいしいものを食べる夢を見て、楽しく過ごしていければそれで満足じゃったんだ。それが、突然こんな仕打ちを受けるなんてどうなってるんだよ。


「本当にすまない。わしの権限でおぬしには最強の力を授けてやろう。その力で異世界での新たな生活を楽しんでくれ」


「最強の力って何なんですか? 俺は平穏に生活できればそれでよかったんですよ。それが、いきなりそんなこと言われてもはいそうですかってなるわけないじゃないですか? 大体、どうなって俺がここに呼び出されたとかの説明くらいしてくれてもいいんじゃないですか?」


 この状況へ至るまでの経緯を知る権利くらい俺にもあるはずだ。ロドリゲスって人が呼びだされるはずだったのが代わりに俺が呼ばれたってことなのはわかった。でも何で、ロドリゲスと間違えられたのか、ロドリゲスを何のために呼び出そうとしたのか。


「いや、最初はロドリゲスを呼び出すつもりじゃったんじゃが、その……手違いでじゃな、おぬしを呼び出してしまったという訳なんじゃ」


「そんなことくらいわかってますよ。大体ロドリゲスって誰なんですか? 何のために呼び出そうとしてたんですか? 俺が知りたいのはそういうところです」


「……詳しいことは説明しても良いのかわしにもわからんのじゃが、そうじゃな、おぬしには聞く権利はあるじゃろう」


 神妙な顔持ちで俺の方を見つめてくる。

 そんな顔いらないから早く説明してくれよ。


「ロドリゲスじゃがな、わかっているとは思うじゃろうがおぬしの世界の人間じゃ。呼び出そうとしておったのは、世界を救って貰うためじゃったんじゃ」


 いきなり壮大な展開になってきたぞぉ。世界を救うために呼び出されるはずだったロドリゲスの代わりに呼び出された俺って何者なんだよ。一般人だぞ俺は。


「なんでロドリゲスが選ばれたんですか? 何か特別な人間だったり? それともほかに理由が?」


「ロドリゲスは高い適性を持っておったんじゃ。わしが調べて中では異世界で最強の存在になるはずじゃったんじゃ。じゃからわしは適性が一番高いものを呼び出したわけじゃ……うん、待つんじゃ。それでは、おぬしはロドリゲスを上回るほどの適性を秘めているということじゃ!!」


「それ俺の機嫌を取ろうとして適当なこと言ってるわけじゃないですよね? 流石に怒りますよ?」


 今の話だと、世界最強の適性を持っていて呼び出されるはずだったロドリゲスよりも実は俺の方が適性が高かったってことだよな。でもこれって爺さんの下調べ不足だよな。俺だって、素直に最強の存在である俺を呼び出したかったとか言われてたらもっと違う対応になっていたかもしれないのにな。まあ、そんな都合のいい話があるわけない。どうやったら俺に適性があるって判断されるんだろうな。自慢じゃないが、何をとっても凡人だったからな俺なんて。


「嘘を言っておる訳じゃないんじゃ。本当にわしが調べたなかではロドリゲスが最強じゃったんじゃ。それにロドリゲスは余命3か月と診断されておったからそれも選んだ要因じゃったんじゃ!!」


「それはまあわかりましたよ。それで? 俺は何をすればいいんですか?」


 代わりに俺が呼ばれてしまったせいでロドリゲスは三か月後に死んでしまうかもしれない。俺は別にそういうことでもなかっただろうにな。俺のせいでもないのに申し訳ない気持ちになってしまうな。


「そうじゃ!! わしがおぬしの適性を測ってみよう。それでおぬしの適性がロドリゲスを超えておればわしが間違っておらんかったことが証明されるじゃろ? わしが一番強い適性を持ったものを呼び出そうとしたこと自体はほんと何じゃから」


「はあ、そうですか。まあ、別にいいですよ。じゃあ、測ってみてくださいよ」


 俺からしてみればここで適性が高いとか言われたても何とも思わないんだけど……。

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