崩壊、
起床。
朝7時15分と言うとても、とても健康的な目覚めだった。とても健康的だった。(大事なことなので2回言った。)
で、いつも通りの朝を過ごし。
いつも通りに家を出た先、ヒナは玄関で仁王立ちしていた。
「おはよう」
「おはようございます姫」
ヒナはフンっ、と鼻息を立ててそれから俺の横に並んだ。
たまに突然。こうやってヒナは俺と学校に行く日がある。
『幼馴染』
とある種のゲームや小説だと、主人公と幼馴染が結ばれるのはほぼ必然、らしい。
それも俺が今まで読んだり見たり、そうしてきた経験の中で。
だから必要以上に俺はヒナに冷たく接していた。それに間違いはないと信じて。
そう、ヒナは俺みたいな奴と結ばれたりする必要なんかないんだ。
でもそれは俺のミスだった。
何かとヒナに辛く当たる俺に対してヒナはよく分からない勘違いをしたらしい。
余計に俺に構うようになったヒナに対して俺は思考しない事を決めた。
あぁ。それでよかったんだ。
干渉しない、それが一番だったんだ――
そんなことを考えながら俺は宙を舞った。
骨の軋むピキピキとした音が先、ヒナの悲鳴が遅れて聞こえる。
理解した。俺は車に撥ねられたんだと。
走馬灯ってもんじゃなかった。
今までの記憶が一瞬で脳を駆け巡る。
小さい頃にヒナに貰ったお菓子を排水溝に落として泣いたこと。
慰めてからもう一個くれようとしたヒナの手を叩いて帰ってしまったこと。まだ謝ってないな……これ。でもヒナの家のポストにお菓子入れといたからおあいこだろ。
小学校の頃に男子に父親のことでいじめられていたヒナを見捨てて帰ったこと。
ヒナはこっちを見てたのに俺は知らん振りをしていた。その後あいつらの後をつけて全員ボッコボコにしたけど。ヒナは知らなかったはず。
中学校の頃に修学旅行でヒナのことを無視し続けたこと。
クラスの男子に何かあるたびに夫婦、夫婦と囃し立てられるのはうんざりだった。ヒナもそうだろうとそういうイベントのありがちな修学旅行だけは避けてた。ヒナはどう思っていただろうか。
地面にドシャリ、と俺は投げ出された。
ブレーキ音。おっせぇよ運転手……
近所のおばさんとか出勤中のおっさんとか皆こっちを見ている。
もう頭が追いつかない。
ヒナがこっちに走ってくる。
痛いとかもう感じなかった。
ヒナが泣きそうな顔をしていて、そんでもって救急車を読んでるっぽいおばさんの顔も真っ青だった。
俺はかなりヤバい状態なのかもしれない。
指の一本も動かない。
おーけーおーけー。
これで俺が死ねばヒナも幸せ街道まっしぐらじゃん。
「……ぁ……、な」
じゃあな、って言ったつもりなんだけどなぁ。
暗転。
めのまえがまっくらになった。
なんだ……結局俺ヒナのこと好きだったんじゃん
ちょいと更新遅れてすいません。
次は年明け……かな