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【コミカライズ】毒殺された世界無双の毒魔法使い  作者: しんこせい(『引きこもり』第3巻2/25発売!!)


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ランプ


 二日という月日が過ぎるのはあっという間だった。

 決行が決まったのは草木も眠る夜も更ける丑三つ時。

 ロンド達は宿を出ると、闇夜に紛れる形で歩を進めてゆく。

 向かうのは事前に何度も下見を重ねたグリニッジ侯爵邸。


「今度は俺達が同じ事をすることになるとは……」


「何、問題はない。あちらがやったことを、こっちもやり返してやるというただそれだけのことだからな」


「そっか……それもそうだな」


 小声でやりとりをするロンド達の顔は緊張はしていたが、そこに不安の色はなかった。


 マリーを取り戻してから一体どうするか。

 唯一の懸念だったその点も、ランディの提案によって解決に向かった。

 であれば今の自分達にできることは――


(マリーを取り戻すことだけだ……)


 前を歩くのはロンドとアマンダ。

 その少し後ろにキュッテが続く。


 屋敷の前に辿り着くと、二階にあるランディの部屋の窓からチカチカッとランプの明かりが二度瞬いた。

 作戦に支障なし。

 事前に取り決めておいた合図の通りだ。


 侯爵邸はぐるりとした石壁に囲まれており、入れる場所は普段使いの北側と、使用人達が入る南側の二つに限られている。


 ロンド達が向かうのは、比較的警護がゆるやかな南側……ではなく、二人の衛兵がどっしりと構えている北側だった。


 有事の際に兵達が駆け寄ってくるのは北側。

 ランディの力を借りるためには、こちら側で行動を起こす必要があったからだ。


「な、何やつっ!?」


「俺達が……」


「誰かだと?」


 ロンドとアマンダはそれだけ言うと、口を結んで前に出た。

 慌てて槍を構える衛兵達。

 が……襲い。


 毒魔法を使い加速したロンドと、メイスを構え駆け出すアマンダ。

 二人は交差する形で、槍を構えた男達を強かに打ちのめす。


「あ……」


「がっ……」


 何もなすことができず二人は石壁に重いきり叩きつけられる。

 バタリと倒れた二人の方へ、ロンドはゆっくりと歩き出す。


「決まってる――襲撃者だよ」


 ロンドは彼らの下まで近づくと屈み、胸元を探った。

 彼はそこから火魔法の込められた魔法石を取り出すと――それを起動させ、思い切り頭上に投げた。

 花火のように鮮烈な光が、夜空を照らす。

 ロンド達のマリー奪還作戦が幕を開けた――。


 突如として上がった物音に、屋敷の中からドタドタと足音が聞こえてくる。

 数分もしないうちに、屋敷の中を巡回している兵士達の姿が見えてきた。


 ランディの言葉を借りるなら、彼らはグリニッジ侯爵の下で甘い汁を吸うことができている者達。

 故に侯爵に忠誠を誓っており、ロンド達に対話の余地はないだろうということだった。


「ここは私がやる」


 ロンドが再び拳を握ると、目の前にスッと腕が伸びてくる。

 彼より前に出たアマンダの、白くしなやかな腕だ。


「鬱憤が溜まってるんだよ、やらせてくれ」


 どうやらアマンダは、完全にキレてしまっているらしい。

 今回の襲撃と前回の襲撃が重なり、気持ちが抑えられなくなっているのだろう。

 下手な説得は逆効果なように思えたので、ロンドはとりあえず彼女の好きなようにさせることにした。


 やってくる衛兵達の数は四人。

 うち三人がこちらへやってくるが、残る一人は少し後方で足を止めた。


「ウィンドショット!」


 放たれた風魔法の弾丸を、アマンダは手甲で受ける。

 本来であれば人を吹き飛ばし人体を貫通するほどの威力のある一撃は、彼女の前髪をふわりと上げるだけだった。


「なあっ!?」


「流石ドラゴン素材なだけのことはある……なっ!」


 魔法使いの驚きの声を聞きながら、アマンダは更に駆けた。

 前衛の三人は風魔法によって態勢が崩れたところを狙うつもりだったのだろう。

 当初のもくろみが崩れたところで浮き足立っているところを、一人また一人と倒していく。

 なんとかして彼女の動きを阻害すべく風魔法が放たれるが、それらはすべてドラゴン素材で防げばそよ風に変わっていた。

 魔法に対する強力な耐性のあるドラゴン素材。ロンド達も何度か試してみてはいたが、実戦でも問題なく使うことができそうだ。


「ふぅ……少し落ち着いたぞ」


「それならよかったよ」


 最後に風魔法使いを屋敷の壁に叩きつけたアマンダ。

 キュッテは倒れた衛兵達を持ってきていた縄で縛り、更に逃げられないように土魔法を使い拘束する。


 戦いの音を聞きつけて更にやってきた衛兵達を、アマンダが再び蹴散らし始める。

 屋敷の中で戦闘音が聞こえなくなたタイミングで、詰め所からやってきた兵士達がぞろぞろと現れ始めた。


「侯爵家を襲撃する不届き者め! 捕らえろ!」


 指揮官らしき男が叫ぶ。

 彼ら全員と戦うことになれば、流石のロンド達も消耗することは避けられないだろう。


 だがロンド達は戦うつもりがないことを示すように、ゆっくりと手を下げた。

 その様子をいぶかしみながらも、兵士達がにじりよってくる。

 するとそれにタイミングを合わせたかのように、コツコツという靴の音が聞こえてくる。


 ランプに照らされてあらわになるその者の正体は――


「何をやっている」


「これは……ランディ様っ!?」


 マリー奪還の手助けをすると自ら提案した、決意をその瞳に宿すランディその人であった――。

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