いざ
「よし、準備は整ったか」
ランディの情報を手に入れてからしばらく、ようやくラースドラゴンの素材を使って作られたロンド達の防具が完成した。
細かく採寸をしたおかげで、使用感もバッチリだった。
それぞれの戦闘スタイルに合わせて、防具はきっちりと作り分けられている。
中衛として戦うことになるロンドは、しっかりとした革鎧。
グリーブやブーツも作ってあるが、革自体は動きやすさを重視して裏当てをしたり革を重ねたりはしていない。
前衛として戦うアマンダは更に革鎧を分厚く全身を覆えるように作っており、後衛であるキュッテは翼膜を使い、ローブの中にも着込めるインナーと要所要所を守ることができるプロテクターに分けて装着していた。
ちなみにドラゴンの素材は、なぜか革になめす段階で黒く変色していた。
そのため今のロンド達三人は真っ黒な鎧に身を包み込む、かなりスタイリッシュな集団になっている。
ロンドの感性的に悪くはないと思うのだが、これで行動するとあまりにも目立ちすぎるという理由から、なくなく道中は封印するつもりだった。
(防御力は高いはずだからな、少なくとも前回のようにはならないはずだ)
ドラゴンの素材は魔法に対して高い耐性を持つ。
雷魔法に対してどれだけ効くかは実際に戦って試してみるしかないだろうが、事前に打てる手は全て打てたといっていいだろう。
今回ラースドラゴンを討伐して稼ぐことができた額は、その報酬だけで金貨三百枚ほどになった。
更にそこに素材売却益があるため、合わせるとおよそ金貨五百枚ほど。
頭割りをしても、そう簡単には使い切れないほどの額だ。
けれど今回ロンド達はこの全額をアルブレヒト対策に使うことにした。
アマンダも武具をドラゴンの牙を使って補強する形で強化し、キュッテはより魔法発動の補助をしてくれる杖を魔力を大量に内蔵しているドラゴンの魔石を使う形で作成する。
杖を使うかはロンドの方も少し悩んだが、近接戦をする際には邪魔になるかと思ったので今回はやめておくことにした。
代わりにドラゴンの硬皮を使ったグリーブを装着したので、以前と比べると若干だが毒魔法の出力も安定するようになった。
武器と防具以外にも、当然色々と揃えさせてもらった。
というか、素材を持ち寄っていない分そちらを買いそろえる方がはるかに高値になった。
彼らはグリニッジ侯爵領にある魔法石を、とにかくありったけ買い漁った。
魔法石は基本的にほぼ使い捨てだが、そんなことはおかまいなしだ。
この一回でアルブレヒトを倒せばいいと、若干割高だろうが戦いに使えそうなものがあれば攻撃用防御用問わず買っていった。
ロンド達の生命線となるのは、体力を回復させる回復の魔法石になるだろう。
だが回復の魔法石は戦いを生業とする者達によって常に需要が高い。
そのため五つほどを用意するのが精一杯だった。
魔法石が産出するダンジョンか、魔法石を人工的に作ることができる帝国であればもっと値段が安くなるそうだが、こればかりは仕方がない。
「よし、それじゃあ……行くか!」
「ああ」
「行きましょう!」
三人は一路、領都バーゲルスベルクへと向かう。
領都に到着した段階で一度ランディと連絡を取った後、本丸である屋敷へ向かうつもりだ。
アルブレヒトと再び激突する時は近い。
やれることはやった、そう自信を持って言えるからだろうか。
ロンドは若干の緊張をしながらも、自然体なままであった。
少し落ち着いたものの、未だ漂っている街のお祭りムード。
それを見てはにかみながら、ロンド達はモヘンの街を後にする――。




