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【コミカライズ】毒殺された世界無双の毒魔法使い  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


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まさか

 見れば熊達の死骸が、そこら中に転がっている。

 エルフ達はかなりの量の魔物を討伐していたらしい。


 さっと視線を走らせたところ、目の届く範囲では倒れてしまっているエルフの姿はなかった。

 そのことにホッとしながらも、ロンドは気持ちを引き締める。


 敵の大軍を前にしても、ロンドは泰然としていた。

 もちろん緊張していないわけではない。


 けれど目の前の状況は、あくまでも想定内。

 相手の数が多い場合はどうするかは、事前に十分に対策は練っている。

 であるのなら、あとはそれを実行するだけでいい。


「マリー! キュッテ!」


 ロンドは目についた魔物達に、片っ端から毒魔法を放っていく。

 HPがさほど高くない熊達は龍毒にかかれば数秒で絶命し、そうでない場合でも何発か魔法を食らえば、地響きを立てて地面へ倒れていく。


(けれど、圧倒的に手数が足りない……もっと大量に毒を散布できれば……はっ、そうか!)


 ロンドはぶっつけ本番で、新たな毒魔法を生み出すことにした。


「ポイズン……ミスト!」


 使う毒は龍毒、形状は霧、込める魔力は大量に。


 毒を薄く拡げ、広範囲へ散布させる。

 ロンドの目論見は上手くいき、今までポイズンウェーブでは届かない範囲の魔物にも魔法を当てることに成功する。


 ただしその分、毒も薄まってしまうようだ。

 龍毒にかけても、与ダメージは秒間10ほどにまで減ってしまっている。


 だがそれでも問題はない。

 ロンドは一人で戦っているわけではないのだから。


「ロンド、下がってください!」


 マリーがする仕事は、ロンドの毒だけでは殺しきれないタフネスや自然治癒力を持つ魔物達を相手に、しっかりとトドメをさして回ることだ。


「ウィンドブラスト!」

「「グオオオオオオッッ!?」」


 暴風が吹き荒れ、森がざわめく。

 けれど一見すると無秩序にも見えるその風には、しっかりとした指向性があった。


 吹きすさぶ風は絶命し、倒れたまま動かぬ熊達を避けて、ファイヤーベアのように未だにその足で大地に立っている魔物達へとその矛を向ける。


 全身から血を噴き出しながら、熊達が苦悶の声を上げる。


「ウィンドストーム!」


 マリーは更に大技を使い、敵全体を渦巻く風で包み込んでしまおうとする。

 彼女が風の膜で、自分達と魔物達を分けた時、もう一人の仲間が発動した魔法が顕現した。


「大地よ!」


 キュッテが生み出したのは土の壁だ。

 生み出されたのは、風の膜によって守られていたエルフ達の目の前だ。

 おかげでマリーが使った風魔法が消えてからも、エルフ達が再度の猛攻に巻き込まれることはなかった。


「皆さん、今のうちに!」


 キュッテの言葉に、熊達との激闘が続いたことで全身に傷を負っていたエルフ達は黙って従った。

 今までは役立たずだと思っていたキュッテに助けられ、その言葉に従わざるを得ないという状況に、エルフの精鋭達は歯噛みした。


 けれど、己の傷を回復魔法で癒やしながら、始まった激闘を静観しているうちに、彼らの態度は変わり始める。

 三人のエルフ達は、魔物に打ち勝とうとする、自分達と同数のロンド達の戦闘に見入っていた。


「ポイズン……ミストッ!」


 三人の中で、ロンドの戦闘能力は明らかに隔絶していた。


 彼が魔法を使えば、魔物達がバタバタと死んでいく。

 そして死なない魔物にも触れさえすれば、一瞬のうちに息絶えてしまう。


 ロンドが魔法で出しているのは、火の玉でもなければ風の刃でもない。

 彼らが見たことのないそれは、噂でしか聞いたことのない、魔法に長けた彼らでさえ初めて見る――。


「……系統外魔法」

「バカなっ!? 人間が系統外魔法を使うなど――」


 叫んでいたのは、以前ロンド達が遊撃班として森に分け入っている様を見て、なぜ人間が……とあからさまに見下していたエルフの戦士だった。


「ポイズンウェーブ」


 ロンドが放つ魔法は、たしかに四属性のどれでもなかった。

 系統外魔法である毒魔法によって生み出された毒の波が、ロンド達に向かってこようとしていた魔物達へと襲いかかる。

 そしてその足を止め、その身体を蝕んでいく。


 歩く度に疲弊する魔物達は、そこにキュッテによる足止めとマリーによる追撃が加わることで、まともに近付くこともできないまま、為す術なくやられていく。


 ロンド達はダメージを食らうことなく、一方的に魔物を殲滅していく。

 その様子を見てエルフ達は、言葉を失っていた。


 今まで人間のことを見下していた彼らも、さすがにこれを見せられれば納得せざるを得なかった。

 ロンド達は、自分達よりも強いのだ。

 狩人として誇りを持つエルフだからこそ、彼らは自己の認識を改めざるを得なかった。


 ロンド達はただ必死になって戦っているだけなのだが、結果として彼らは今回の一件を通じ、エルフからの信頼を得ることができるようになっていく――。


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