表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】毒殺された世界無双の毒魔法使い  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

143/148

激突


『PIIIIIIIII!!』


 炎の不死鳥は甲高い鳴き声を上げながら、両の翼を羽ばたかせてその嘴を尖らせる。

 以前タッデンが使っていたものもそうだが、生物を模した攻撃魔法はその習得の難易度が極めて高く、その分だけ威力に優れている。


 カテーナの最大最強の魔法を迎え撃つため、ロンドもまた魔法発動のために大量の魔力を込めた。

 魔法の威力が最も高くなるのは龍毒を使用した時である。

 故に龍毒を選択すれば、後は魔法をただ構築するだけでいい。


(ぐうっ……やっぱりこうなったか!)


 通常毒魔法は使用の際、自身がどの程度の魔力を込めるかを事前に調整することができる。


 けれどあのクリステラとの戦いを経てからというもの、ロンドの切り札であるポイズンドラゴンの性能は通常の毒魔法とはまったく別物になっていた。


 今のポイズンドラゴンは、ロンドの完全な制御下にない。

 彼がポイズンドラゴンを一度使えば、まるで魔法そのものが生きているかのように、持っている魔力を根こそぎ持っていってしまおうとするのだ。


 ロンドとしてもなんとか抗おうとするのだが、それでもかなりの量の魔力を持って行かれてしまうため、以前のように何発か使うことができるような魔法ではなくなってしまっていた。


 それだけの魔力を吸い取る分たしかに威力もスピードも上がるが、その燃費の悪さもまたひどいものだ。

 だが最後の最後で勝負を決めるためには、やはりこの魔法以外はありえない。


『GAAAAAA!!』


 毒の紫龍が全てを飲み込まんとその顎を大きく開く。

 そして不死鳥と紫龍が激突し、その頭をぶつかり合わせる。


 サイズは毒龍の方が大きいが、魔法としての密度は不死鳥の方が高い。

 食い破ろうとポイズンドラゴンは不死鳥の喉元に食いつき、不死鳥はそんなポイズンドラゴンを突き抜けようと勢いをつけてその身体を貫通させようとする。


 ポイズンドラゴンは明らかに押し負けていた。

 魔法としての格は、ほとんど同等のはうだ。

 けれど魔法使いとしての練度の差によって、カテーナの放つファイアフェニックスがポイズンドラゴンを貫こうとしていた。


 ドクンッ!

 ロンドの背中にある龍の魔力紋が輝きだし、脈動し始めた。

 そして……ズズズッ!

 まるでまだ足りないとでも言うかのように、更にロンドから魔力を持っていき始めた。


 通常魔法は一度発動させてしまえば、あとはその魔法の行く末を見守ることしかできない。


 だがポイズンドラゴンを始めとした一部の魔法は、使用後に追加で魔力を込めることで威力を向上させることができる。


「おおおおおっっ!!」


「はああああっっ!!」


 ロンドが制御を手放してやると、背中の魔力紋の輝きが強くなり、ポイズンドラゴンは更なる魔力を吸い出していく。


 そしてカテーナもまた魔力を追加していくことで、ファイアフェニックスを更に巨大化、高温化させていく。


 二人の魔法はどんどんと大きく、そして力強く変わっていく。

 だがそのペースは、明らかにポイズンドラゴンの方が強かった。

 最初は優勢であったファイアフェニックスは徐々に拮抗していき、そして押され始める。


「う、嘘でしょ!? な、なんで……」


「畜生……全部、持っていきやがれッ!」


 発動当初はある程度調節ができていたロンドだったが、既にポイズンドラゴンの制御は完全に自身の手から離れていた。


 ロンドのほとんど全ての魔力を持っていき、その残りかすすら搾り取るほどの勢いで魔力を吸い上げるポイズンドラゴンは更に巨大に、そしておどろおどろしく変貌していき、そして……。


『GRAAAAAAA!!』


 炎の不死鳥をその顎で食らい尽くし、爆ぜさせてみせた。

 そして自身が潰した魔法によってその身体を崩しながらも、その顎は魔法の制御で無防備になっていたカテーナへと向かっていく。


「くっ……ぎゃああああああっっ!!」


 そしてカテーナは毒の龍に飲み込まれていき……その光景を確認し、彼女の悲鳴を耳にしたところで、ロンドの意識は闇に飲み込まれていった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ