人生のターニングポイント
クソ酷い出来。でも時間内にこれ以上のものを書ける気がしない、どうしよ
土曜の夜は何をするか。私は勿論決まっている。アニメ鑑賞だ。中学の頃にハマり、高校生となった今では往年の名作から最新の駄作まで、ありとあらゆるアニメを視聴している。そして、今日もまた。配信サイトで最初に目に留まったのは、目の大きな少女が何人も描かれたキービジュアル。要するに、『萌えアニメ』と呼ばれるものだった。
「くら……など……? 聞いたことないな」
レビューを見ると、なんと星4.8。食べログだったらあり得ないくらいの高評価だ。しかもほとんどすべてのレビューに「感動した」の四文字が記されている。そこがなにより、私の心を惹きつけた。
昔は感受性の高い子供だった。些細なことで泣き、嬉しくても泣き、特に何もなくてもとにかく泣く。幼稚園の先生からしたら迷惑甚だしい少年だった。しかし強すぎる感受性は諸刃の剣だ。自らの心を傷つけることにもなる。だから少年はいつからか、泣くことをやめた。いや、泣き方すら忘れてしまった。
だからレビューを見ても、きっと泣けないんだろうなと思った。もうかれこれ六年は涙を流した記憶がない。青年にとって無感情という自己防衛は、このろくでもない現実を生きていくための、唯一の手段だったのだ。
「っ……はあぁ……。なんだこれっ……」
しかし、私の予想は大きく外れた。悲劇的な運命をも乗り越える究極の家族愛。そんな感動に耐え切れず、私のダムはい簡単に決壊した。思えばこれが。私の人生において、一番のターニングポイントだったかもしれない。
アニメ『CLANNAD』を観て、鼻水と涙で顔面がびしょびしょになった私は、大学に入り、趣味のWEB小説執筆に没頭した。あの時の感動を、私も誰かに届けたい。そんな気持ちに突き動かされ、今でも創作活動を続けている。
土曜の夜は何をするか。私は勿論決まっている。物語を創るのだ。強い感受性を持った私にしか書けない、最高に感動する物語を。
起:アニメ見つける
承:レビュー見る
転:泣く
結:今に至る
的な的なテキーラ