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3話

 事の発端である人族の神エウラロノースが、去ってしまったのはあの臭さのせいにして、解決に至らなかった。

 一旦あの強烈な臭さを忘れる為に、落ち着かせよう。


――――ふぅ。


 俺は、一息ついては、空気を吸う。


――――臭い……。この臭さの元はなんだ?


 眉間に力いれ、残臭を我慢していた。

 あの臭さどうにかしてもらわないと、今度会う時に躊躇していまう。


――――はっ!


 あまりにも臭すぎて、目的をすり替えられてしまった。

 本来の目的は、転移や転生を止める、転移者と転生した魂を俺たちの所に戻す。


 そして、その臭さの次に気になって来たのが、エウラロノースが俺に渡してきたスキル。

 俺は、この世界の人間と同じ様構造をした身体にしてやってきたのだからスキルは、貰えているはずだ。

 だけど、それを確認する方法がわからん。

 異世界物だったら、ステータスと言うと出てくるのか?


――――誰も居ないな……。


俺は、辺りを二度見渡し誰かいないか確認し、小声で。


「ステータス」


………………

…………

……


――――出ない。


――――ふぅ、まぁ、これが普通だ。ゲームじゃあるまいし……うっ。


怒りや恨みの念が篭った低い女性の声が、俺の耳に入ってくる。


「めぇ〜いぃィおぉ〜さぁァまぁっ!!」


 人が居ない筈、周囲を見渡し確認もした。

 だが、聞き覚えのある声が次第に俺の背筋から全身へ悪寒が走っていく。


――――俺は、悪い事してない!断じてしていないぞ。


 それを念仏を唱える様に心の中で再確認し堂々と後ろに振り返ると、俺の妻であるペルセポネが、鬼の形相より般若のお面のような顔で睨んで、身体からは少し暗いオーラを漂わせているかのようだ。


「今の……女。 もしかして浮気? ねぇ、浮気!?」

「は? 浮気なんてし……」

「仲良さそうに話していたじゃないっ。 それをどう見て浮気じゃないと?」

「ペルセポネよく聞け! アイツ、あの女は、この世界の神だ! 神だったんだ!それに、俺はなっ、この世界に初めて来たんだっ!」

「そんな言い訳……信じ……られなっ……」


 ペルセポネは、少し瞳を麗せながら言葉を発し、髪を靡かせて俺に近づいてくる。

 その瞳を輝かせながら、まるでトレンディドラマか少女漫画のような近づき方。

 すると、ペルセポネの顔が曇り鼻を小刻みに動くと共にクンカクンカと匂いを嗅ぐ。


「――――なぁぁ! くっ! くっさぁぁァァァ!!」


 鼻を摘み、顔を青ざめて脱兎のごとく俺から遠ざかる。


「あの女の臭いだっ!」

「あの女のぉ? 匂いを纏わせる程のっ!」

「だから、こんなクセー臭いの女。 誰が言い寄るか!」

「確かに、臭い女なんて……」

「分かってくれたか?」


 目の前にいるペルセポネは、肩からある手と膝から爪先まで白を基調とした身動きし易い鎧を身に付け、そして少し脚が見えるドレス風のスカートを、履いている。

 そして、腰には二本の剣を帯びているペルセポネは、少し黙って鋭い目線で俺を見て何やら考えている。


――――ペルセポネの口が開き。


「その話は、後々に……」

「後々ってなんだよ。 あの女とは何にも無いから安心しろ」

「……まぁ、そういう事にして置いて上げるわ。 それよりも冥王さま」

「ん?」

「臭すぎて、臭すぎて」

「臭いって俺が、臭い原因見たいに言うな」

「現に臭いじゃないですか。 早くこの場から離れた方が良いのでは?」

「あぁそうだな。 あの女の神が、この辺りに勇者がいると言っていたな」

「それなら、近くに街があるからソコに向かいましょ!」


 その言葉を笑顔で放つペルセポネは、鼻をつまみながら俺の前を通り過ぎスタスタと先に進む。

 俺は、その行動に違和感が有りながらも街やら地理を知ってそうな素行のペルセポネの後を追っていた。


 少し黙って辺りの景色を眺めて歩いているが、何故ペルセポネがこの先に街があるのか、そして何故冥府ではそのような衣服では無かったのに現在その格好なのか、俺は聞こうとする。


「冥王さま、あれ街に続く街道ですよ!」


 俺の問いを遮るかのようにペルセポネは、先程の鬼の形相とは全く反対の笑顔で、その街道の方を指さして教えてくれた。


 見渡す限り空が青く山や木々を遠目に、街道を外れると草木が緩やかな風に揺られている。

 冥界冥府もその自然を取り入れつつも、大きな建物が、並び近代化な世界になってしまったと俺は思いながら、再びこの世界に来て異世界物に近い物があるのか少し心が高揚してきた。

読んで頂きありがとうございます。


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