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27話

 俺とペルセポネにユカリは、数多くの料理が並ぶテーブルを囲んで食事を楽しんでいる。

 もちろん、コベソとトンドも一緒だ。

 夜、急に着いた俺たちを見た支店の人達は、意味がわからない状況であたふたしたいたが、コベソとトンドの顔をみて話を聞いて落ち着き、食事の準備をしてくれた。そして、先にこの支店に戻っていた使用人達も姿を見せて安堵を付いていた。


「この食事終わったら戦場に」

「お嬢ちゃん。 何度言えばわかる? 今、夜なんぞ、夜の移動は危険だ」

「【鑑識眼】を使えば夜間だって動けるでしょ?」

「いくら使えるからと言っても長時間は無理だ。 しかもまだ戦争始めてないだろ!」

「そんなの分からないじゃないですか!! 夜襲して戦っているかもです」

「いやいや、この世界の夜襲は、魔物遭遇率が高い。 だからする事は無い」

「ですが、魔物ったて」

「自分の立場で話すな。 夜襲、奇襲をして形勢逆転を狙うんだ。 作戦中魔物に出会ってしまったら、それが強敵だったら……。 という事を」


 コベソは、ユカリに対して強い口調で言うと、何故か静かになる。


「この夜間、馬車なんて出す事は出来ん。 うちの従業員を危険に晒す事は出来んし、ブラック企業では無いんでな」

「でも……」

「でもじゃなく。 ――――戦争を止めなくてはいけないのは分かるが、朝になってからでも遅くないと言う事だ」


 そんな会話の中でも、真剣に食事を摂るユカリは、納得したかしてないか分からないが頷いていた所に俺は、別の話を持ちかける。


「所で、勇者のユカリに聞きたい事があるんだが」

「なんですか?」

「あの女の神と会うにはどうしたらいい?」

「え?」


 ユカリは、スプーンを咥えたままペルセポネの顔を見るが、ペルセポネは、黙ったまま食事を摂っていた。


「浮気は許せませんよ? 勇者でなく人として」

「はっ?」


 ユカリの発言を聞いたペルセポネが、持つフォークを床に落として、笑顔でテーブルにあるカゴからフォークを取り出している。


「浮気は無い。 あの女がユカリをこの世界に召喚したんだろ?」

「召喚したのは国? 王? だけど最初はエウラロノース様に会いましたね」

「国が召喚か……。 でもあの女の神が、どういう事だ?」

「ハーデスさん。 あの女の神が、勇者召喚をして国に送る。 神託を受けた国は、国力使って勇者を下ろす。それが勇者誕生の仕組みだ」

「それじゃ勇者がこの地に降りて、もう女の神に会う事は無いのか?」

「私は、会えます。 会えますが、魔王を倒せば元の世界に戻してくれると」

「ユカリ。 あんた元に戻ったら死んでるよ」


 ペルセポネの淡々と話す口調に驚くコベソとトンドは、疑問を持ったままユカリの顔を見ていた。


「上手く調整してくれると。『地球の神にお願いして見るね〜』とか言ってくれました」


 俺は、呆れた顔をして頬杖を着く。


「ユカリ、君は一度死んだ。 それは時間を巻き戻しても変える事が出来ない事実。 それは、多くの人々が目撃している」

「えっ? 何故ハーデスさんがそんな事言えるんですか? エウラロノース様は、神ですよ」

「では、女の神がお願いする地球の神は誰だ?」

「そ、そんなの分かりません。 ですが、神様なんですから何かあるんですよ」

「ふぅ。 話が逸れたな。 魔王を倒せば、ユカリは女の神に会えるという事は、あの女の神が居たところに行けると?」

「分からない。 けど、そうだと」

「魔王を倒せば会える。 勇者として使命を全うすれば……」


 コベソとトンドは、静かに話を聞いているのだが、隣のペルセポネは、ケーキやらデザートを眺める様に選別し、気に入った物を皿に盛り付けて目を輝かせている。

 あの女の神と会うには難題を対処しなくてはならなく、突然現れると、心も悪く体にも悪い。

 あの女から発せられる強烈な悪臭に対抗する事が、まずは大事。マスク、鼻栓、防護服等対処方法を考えるが、コベソやトンドにユカリも、そしてこの国の人も、あの強烈な悪臭の耐性がある。

 それなら、その耐性を得られるかもしれないし得る方が先決だ。しかし、その耐性どうしたら取れるかだな。


「ハーデスさん?」

「なぁ、コベソ。 臭いを防ぐ方法あるか?」

「臭い?」


 コベソは、俺の変な質問にトンドの顔を見る。ユカリは、キョトンとしていたらトンドが、眉間にしわ寄せて人差し指中指で眉間を持ち上げる。


「飲み薬で、臭覚を麻痺させるとかなら。 でも一時的な効果と」

「それだ。 それあるか?」

「いや、作るのは出来るが。 作った事無いし材料も無い」

「作れる?」

「あぁ、トンドはこう見えて【製薬】のスキル持っていて、製薬のスペシャリストだ」

「『こう見えて』ってどういう事だ?」

「この腹、技師っぽくねぇって」

「お前の腹の方がやばいだろ!!」

「俺は商人だ。 この腹が貫禄あっていいだろ」

「単なるデブだ」

「うるせー。 トンドお前も同じだ」


 コベソとトンドは、喧嘩をしているよう見えるが、それはまるでじゃれあいなのか、仲良い友達の会話にしか見えない俺だ。


「その腹ヤダ。 だったら、痩せ薬作れば良いだけなのに」


 ペルセポネの言葉が、コベソとトンドの楽しんでいる会話を止め静かになるが、トンドはゆっくりペルセポネに向けて話す。


「痩せる薬はある。 食事制限無し、無理な運動無しで痩せられ、定価より半額以下に割引されているサプリメントを飲んでも効果無し!!」


 熱烈に話進めるトンドの視界に入らない所で、匙が落ちる音がし、次第に鳴り止む。


「嘘……」

「お嬢ちゃん?」

「値段が19800円の所2980円の謳い文句がまさにそれ、そのサプリ。 私飲んでた」

「あっ! ここに居た」

「な、なんで、トンドさんがそんな事を知っているんです。私が飲んでたダイエットの……」

「俺、その類の仕事してたし」

「お嬢ちゃん。 俺たちお嬢ちゃんと同じ日本人だからな」

「あっ!」


 ショックを隠せないユカリは、異世界に来てまで真実を知る事になる。

 だが、そのユカリの体型からしてなんで、そんなサプリメント飲んでいたのか意味不明だが、女性ならではの物だろうと解釈しておく。

 ダイエットのショックを受けているユカリと、タプタプなお腹の男二人が、既に匙を置き食事を終えてる中、今だ隣のペルセポネは、デザートを美味しそうと呟きながら、手にゆっくりとケーキやらデザートを皿に盛り付け、大きな口を開け満面の笑みをし味わっている。


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