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俺(私)のことが大嫌いな幼馴染と一緒に暮らすことになった件 〜実は二人は両想いです〜  作者: 木嶋隆太


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第十九話 俺は一人で出かける


 昨日夏希と一緒に見た映画が面白かった……。

 ……気になってしまった俺は続編を見るために、映画館へと足を運んでいた。


 普段外に出ることがほとんどない俺が、こうして外に出たのは、すなわち昨日夏希とみたホラー映画が想像以上に面白かったからだ。


 もちろん、一人でだ。映画というのは一人で見るに限る。

 楽しかった部分を思い返しながら、俺はショッピングモールを歩く。


 とりあえず、飯でも食べるか。

 夏希は一日遊ぶといっていたので、俺もたまには外で一日を過ごすのも悪くはないだろう。


 フードコートへと向かった俺は、その瞬間で家に帰りたくなった。

 あまりの人の多さに、驚きしかない。

 ……朝はやくに来て映画を見たときはまだここまで人はいなかった。


 人混みを見て、早速頭が痛くなってきた。

 平日のショッピングモールはまだもう少し人はいなかった。

 一体これほどの人がどこにいたのだろうか。


 そんな事を考えながらも、フードコートのどこかで食事をすると決めたので、適当に店を見て回る。

 家族連れであったりカップルであったり、友達同士であったり……だいたいみんな誰かしらに任せて席を確保しているため、座れそうにない。


 仕方ないな。持ち帰り可能なものでも買って、家で食うか。

 そう思っていた時だった。


「あれ、もしかして湊?」


 まさかこんなところで名前を呼ばれるとは思っていなかったので、俺は普通に無視した。

 と思っていたのだが、とん、と肩を叩かれて振り返る。


 頬にびしっと人差し指が突き刺さり、俺は軽く驚いた。

 いたずらに成功したような笑顔を浮かべているのは、花だった。


「なんだ花か。どうしたんだ?」

「いや、そっちこそどうしたの?」


 内心めっちゃ焦っていた。……夏希がいないのが幸いだ。

 だって、これだとまるで俺が夏希をストーカーしているみたいだからな。

 俺はただ純粋に、映画を見たくてきただけなんだからな。


 と思っていると、夏希たちがやってきた。

 夏希は驚いたように俺を見ている。……すぐに不機嫌そうな無表情になる。

 もう一人の友達はおいっすー、みたいな感じで片手をあげている。


 いや、そんな友達みたいに振る舞われても俺は名前もわからないんだがな。

 ……確かに、夏希の周辺に集まったときに挨拶程度は交わす仲ではあるが。


 とりあえずは愛想笑い程度に返しながら、花を見た。


「ちょっと用事があって外に出てたんだよ。ついでに飯を食べに来た」

「へー、珍しいじゃん」

「さっきも言ったが、そんなに珍しいか?」


 俺が外に出るのが珍しいと知っているのは夏希くらいじゃないだろうか?

 花の連続攻撃に俺は困惑していた。


「前に一緒にでかけた時に軽く話したじゃん。外には普段でないって」

「……そういえば、そうだな」


 アレは文化祭のときだったか? なんかクラスの出し物で足りないものがあるからって無理やり休日に買い物に駆り出された気がする。

 そのときに、特に何も考えずそんな事を話していたような気がする。


 そして、案の定夏希が睨みつけてきていた。……べ、別に友達に変なことはしてないから、そんな怒らないでください。


「それで何食べるの?」

「なんでもいいだろ」

「えー、席確保しておいてあげるよー? 今なら付属で女の子がなんと三人もついてくるし」


 その付属が必要ない。いや、夏希に関してはいいんだけど、夏希と二人きりでお願いしますなんて口が裂けても言えない。


「いや、俺はこんな人混みで食事したくないから……厚意は感謝するけど、先に帰る」

「……うーん、そっか。それじゃあ、また月曜日ねー」

「また月曜日、な」


 そう返事をして、俺はなんとか切り抜けた。

 夏希はせっかくの休日で友達との時間を大切にしているっていうのに、俺がいたら落ち着かないだろう。

 ふう、と息を吐く。……ただ、どっちにしろ、家に帰ってから弁解はしておいたほうがいいかもしれない。


 そんなことをぼんやりと考えていた。


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